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11.黒騎士、お嬢様と話をする

あの後リズとナミネはそれぞれ浴場の前で別れると各自自分の

自室へと戻るのであった。



~黒騎士自室にて~


部屋に戻るなりリズはサジタリウスを手元へと出現させる。

心なしかサジタリウスは少しだけ輝きを失っており最初に

リズが手にした時よりもその光は鈍く弱いものとなっている。

それを確認したリズはすぐに詠唱を始める。


「我星の名を持つ弓を受け継ぎし者、我が魔力をこの弓に注ぎ込もう」


そうリズが言うと脱力感と共にサジタリウスが光り始めた。

その様子にリズは息を吐きだし


「これでよし、後は数時間置いておくだけですね」


と言った。

そしてリズはサジタリウスを仕舞うとそのままベッドに横になり

眠ろうとした直後突然コンコンと部屋のドアがノックされた。


「開いています」


とそうリズが言うと扉を開けて入ってきたのは魔王の娘だった。


「な、お嬢様!?こんな夜分にどうして」

「シー、声を潜めてお母様にバレないよう部屋から抜け出してきたのだから」

「も、申し訳ございません」


とリズはそう言うと部屋の外を確認し周囲に誰も居ないことを確認すると

すぐさま扉を閉めた。


「それで、こんな時間に一体どうしたのですか?お嬢様」

「アリス」

「え?」

「私の名前よ、私と貴方の二人だけの時はそう呼びなさい」

「しかし、私と貴方は主と従僕という関係ですそのように

名前で呼び合うのは」

「いいの、どうせ学園に入ったら私とあなたは親友として

振舞うつもりだから」


とそうアリスは言った。

そんなアリスの言葉というより体に染みついた感覚に従い

リズはアリスにこういった。


「分かりました、アリス様と今後は二人だけの際にそう呼ばせていただきますね」

「それでいいの」

「それで、このような遅い時間帯に何故私の部屋に?」


とそうリズが問いかけるとアリスは


「貴方と話したかったから」

「・・・私と?」

「ええ、この前は顔合わせした程度だったからあの後お母さんに

貴方とお話をしてみたいって言ったら猛反対されちゃったから

こうやって、静かに反抗したわけなの」

「なるほど、そうなんですか」

「ええ、じゃあさっそくだけど貴方は何処から来たの?」

「私は、魔族国家研究所で生まれました。」

「へえ、じゃあなんでそんなに強いの?」

「私にはあらゆる魔族の細胞とそして私の前任である

騎士の技術が埋め込まれていると聞きました。」

「えっと、じゃあ勇者についてどう思っているの?」

「私に与えられた命令は魔王とその家族を守ることですので

もし現れた場合私は貴方様と魔王様を命を懸けても守らせていただきます」


というリズの言葉にアリスは少しだけ黙っていたがそれを聞くと

納得したように頷きこういった。


「そう、ありがとうねえ最後に一つだけ聞いてもいいかしら」

「なんでしょうか?」

「あの貴方の事リズと呼んでもいいかしら」

「・・・ええ、それが貴方の望みであれば私は受け入れます。」

「ありがとう、リズじゃあおやすみなさい」

「ええ、おやすみなさいアリス様」


とそう言って見送って数分が経つとリズは窓から外へと視線を移すと


「・・・どうやら歓迎していないお客が来たみたいですね」


とそう呟き部屋を後にするのだった。



魔王城前

魔王城と魔族国家をつなぐ巨大な橋の上に三人のローブの人物が立っていた。


「なんとかここまで来れましたね」

「ああ、前とは違って警戒されずに来ることが出来たな」

「二人共、今日の私たちの目的を忘れてはいないよね?」


と三人の中で一番小柄なローブの人物が二人に向けて言うと

その二人は頷きそれぞれ


「分かっています」

「ああ、分かってるぜ」


そう返事をする。

二人の反応を確認した小柄なローブの人物がいざ魔王城へと

足を踏み出そうとした次の瞬間、その足元に一本の矢が刺さった。


「!?」

「そこまでです」


という声にローブの三人組が前を見るとそこにはいつの間にか

青く輝く弓を構えた黒い鎧に身を包んだ騎士と黒い猫耳の生えた

仮面をつけた獣人の魔族が立っていた。


「いつの間に!」

「気配すら感じなかったぞ!?」


という二人の言葉に騎士は弓を構えたままこういった。


「今のは牽制です、その場から一歩でも進めば問答無用で

私たちは貴方達を()()()()。」

「さっさと逃げた方が身のためですよー」


と黒い騎士の横に立つ魔族がそう呟く。

そしてその二人から放たれる殺気にローブの三人組は自然に

武器を構えるのだった。

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