10.黒騎士、ナミネとお風呂に入る
ナミネとの決闘から五日後リズはクロムと共に修練に励んでいた。
クロムが剣を振り下ろすとリズはそれを避けると一気に踏み込んで模擬刀を
クロムの体に叩き込む。
しかしクロムはそれをギリギリで避けるとリズにカウンターを叩き込み
修練場の隅まで吹き飛ばした。
そしてリズが大勢を立て直すと首元に剣が突きつけられた。
「・・・・参りました」
「甘かったな、今の踏み込みと攻撃はよかったんだがそこで止めたのが
駄目だったな。あそこから何発か追加で攻撃を加えれば良かったと思うぞ」
「はい、ご指導ありがとうございます師匠」
「ああ、とりあえず今日はここまでとしようさっさとシャワー浴びて飯食って
はやめに寝るんだぞ?」
「はい」
とそんなことを会話して解散するとリズはそのまま浴場へと足を運ぶのだった。
そしてリズが部屋に戻るとそこにはベッドに腰掛けるナミネがいてナミネはリズを
見ると笑顔を浮かべて駆け寄る。
「お疲れ様です先輩さっそくお風呂に行きましょう!」
「何回でもおもうけれど貴方って態度が急に変わりましたね」
「ええ、そりゃ先輩に負けちゃいましたしそれに・・・・
ファーストキスも奪われましたし」
「何か言いましたか?」
「いえ、何でもないですよ、今日も先輩のお背中流させていただくっす」
とそういってナミネはスポンジに泡を付けるとすぐにナミネの背中を洗い始めた。
ゴシゴシという音だけが二人の間に流れその間に二人は互いに
言葉を交わすことはしなかった。
そしてナミネは木桶にお湯を組むとすぐにリズの背中にゆっくりと掛けはじめた。
「先輩、流し終えましたよ」
「ええ、ありがとうナミネ。では今度は私が洗ってあげます」
「え?いやいいっすよ、そんなの悪いですし」
「いいから、毎回貴方にやって貰ってばかりというのも悪いから」
というとリズはナミネの背中をこすり始める。
そして会話をする必要はないとナミネが思っていると唐突に
リズがナミネにこう問いかけた。
「ナミネはあの方の事をどう思いますか?」
「あの方?・・・もしかして魔王様ですか?」
「ええ、ナミネは魔王様をどう思っていますか?」
「・・・・なんとも思ってないっていえば嘘になりますね」
「では、やはり今もあの方が憎いですか?」
「ええ、今でも自分は魔王になりたいと心のどこかでは思っているんす、けど」
「けど、」
「なんかもうどうでもよくなっちゃったっす」
「それはなぜですか?」
「先輩にキスをされたからですよ」
「キスですか?」
「ええ、なんかあれのせいでなんか全部どうでもよくなりました」
「そうですか」
「それに、先輩の事しか考えられなくなってるしある意味呪いっすねこれは」
「呪い?」
「いや、ただの独り言っすよ」
「そうですか、背中流しますね」
といいリズがナミネの背中を流すとナミネの背中に一つだけ大きい傷が
あることに気が付いた。
「これは、何の傷なんですか」
「え、ああそれは魔王様に挑んだ時につけられた傷っすね」
「魔王様に?」
「ええ、手の上で元遊ばれていることに気が付かないでそのまま後ろから」
「それは、大変ですね」
とそう言ってリズがそっと傷に触るとナミネの声から
「ひゃん!?」
という可愛らしい声が漏れた。
その様子にビクッと驚きリズが指を止めるとナミネは
「先輩・・・・・傷に触りました?」
「触ってない。」
「触りましたよね?」
「・・・・・触ってないよ?」
とリズが目を逸らしながらいうとナミネは
「そこ、魔王様に掛けられた呪いのせいで敏感なんですよ」
「そうなんだ」
といいつつもう一度リズが傷を触ると
ビクンとナミネの体が震えた。
「ナミネ?」
「・・・・・ってなんていない」
「?」
「達してなんていないっす」
「そうですか、では湯船に浸かりましょう?」
「・・・・はい」
というナミネの手をリズは引いて共に湯船の方へと向かう。
リズは見ていなかったがその時のナミネの顔は羞恥心からか
真っ赤に染まっていた。
お風呂シーンの百合は良きかと思う