試験三日目
魔力とは魔法を使う際に使用するエネルギーのこと。魔力量とはそのエネルギーの量のこと。
気力は身体強化をする際に使うエネルギーのこと。気力量とはそのエネルギーの量のこと。その二つはどんな生物も最低でも微量を持っている。
そして限られた者だけが持てる『加護』。これは神が生物に与える特別な力の事。
この検査はその数値を調べる試験だ。その数値で合否が決まりクラス分けの要因にもなる。
自慢じゃないがこの世界の平均と比べて俺の魔力気力量は、圧倒的に多い。だが、面倒ごとを任されないくらいのそこそこ優秀な生徒を目指す俺にとっては邪魔なものだ。
俺は朝早くに起きてバスに乗り込んでいた。この検査は時間がかかり検査機も数が限られている為朝早くに行われる。
目的地に到着し何も特徴がない白い建物に入る。中に入ると何本かの列が出来上がっていた。俺は一番長い列に並ぶ。理由は、機械がどんな物か出来るだけ長く観察したかったからだ。決して心の準備がしたいとかではない。
俺は検査機を見る。昔は血液を使った検査で数十分かかる。結果は割と正確で重宝されていた物だ。
列が少しずつ進んでくに連れて機械の全貌が露になる。俺はその機械を見て軽く絶望する。その機械は血液ではなくヘルメットみたいな装置を頭につけコードがモニターに繋がっているような機械。能力使うしかないか。
俺の番が来る。担当の先生が俺に装置を被せる。俺はその装置のズレを直すと見せかけヘルメットに触り能力を発動させる。
英雄スキル『支配』
これはどんな能力かというと、抽象的だが触れた物全てを支配つまり、完璧にコントロールする事ができる。
俺は機械に偽の情報出させるように指示を出す。担当の先生がモニターを見る。その時間が長く感じて心臓の鼓動が早くなる。神様今だけ助けてください!
「よし」
「ありがとうございます」
先生がパソコンに打ち込みながら短くそう言う。俺は爽やかな笑顔で礼を言った。
俺はバスの待ち時間をスマホを弄りながら時間を潰す。この時代に来て感動した物の一つ。それがスマホだ。
周りの俺と同じ受験生はほとんどグループを作り談笑している。俺の交友関係の目標は広く深くだ。出来るだけ沢山の関係を持つと将来有利だ。だからといって深く関係を持ち過ぎると行動が制限される。最低でも敵は作らない生活を送ろう。
ちなみに、俺の中学でこの学校に来た者は一人もいない。俺の中学はかなり田舎だったしほとんどが地元辺りの高校に通うことになっているらしい。
そんな事を考えているとバスが到着する。今回の試験は筆記の時にあった不安は少ない。唯一の不安は支配の能力を久しぶりに使ったから制御出来てるか心配だ。
失敗した時のプラン練っとくか。