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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

『向こう側の小宇宙』より。

キョウキ

作者: 砥眞 芳矩

さて、聴いておりますかね?

結論を先に申し上げよう。


君は狂っている。


まあ、そんなに喚かないでくれたまえよ。理由をこれから申しあげるからさ。


人間ていうものはさ、詰まるところ欲望の塊なのだよ。

で、それを抑制するために、理性というものがある。


理性とはなにか?

それは、明瞭に言うならば、人にどう思われているか、どういうことをしたら好かれるか、はたまた嫌われるか。

それを判断基準に抑えたり吐き出したりする、そういうものだ。


ただし、吐き出したものが必ずしも思い通りにならぬこと、も侭あるのは知っているよね。

所詮、人間は相手をどう思いやろうとも他人、全く違う生物。

故に、勝手に憎しみは生まれるし争いが生まれる。


それはまるで自分が正しいかのように正当化し、他方、相手を非難する。

何が正しいのかなんて、立ち位置が変われば判らないのにだ。

それを勘案せず非難する。


これのどこが狂っていないと言い切れるかね?


寧ろ、狂っている、と判断している、自己評価を下している人間こそが正しいとは思わないかね?

己の有り様をちゃんと判断しているのだからね。


ん?それこそ勝手な言い分だって?


ああ、ああ、そうかも知れないね。


だが、考えてみたまえよ。そういう君だって現に頭ごなしに非難しているではないかね。


時代背景によってだ是が非となり、非が是となる。

全く狂った世の中だよ。


この世の中を回しているのが、人間。

狂っているとは思わないかい。


そうかい、まあ頑なに拒むのも君次第。所詮は他人、なんだからね。


ん?はっはっは、この考え方が狂っている、か。

生憎自覚はしているのでね。


では、頃合だ、君もこの世界の、狂った世界の糧になって戴こうかね。






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― 新着の感想 ―
[良い点] 実はよくある議論の一編とも思いました。 [一言] 文に惹かれましたので他作品も覗いて来ます。
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