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 エンデュス王国の言語翻訳:ブラウザ上のGooglラテン語翻訳から古ラテン語を参考にしています。

 発音と言語は、ウィッキーペディアの古ラテン語を参考にしています。

 ジリリリン。ジリリリン。時代遅れなベルが鳴り響いた。

「はい。業務係、係長席。うん。うん。分かった」

 チン。

 けたたましく鳴っていたのは骨董品とも言える形の電話である。しかし、黒でも赤でもなく、青であった。

 ベルが鳴り響いた部屋は、ビルのフロアーを思わせる柱が目立った場所であり区画された壁はおろか間仕切りのパーティションですら区切られてはいないが故に、そのベルの音は部屋の隅々まで届いたようである。その証拠に部屋内で立っていた者も座っていた者も、そのベルと共に全ての動きを止めていたからである。

「緊急の依頼が発生!」

 業務係長が一際大きな声を上げたところ、動きを止めていた全員が一斉に動き出した。更に、近くから「緊急体制!」と声を上げる者がおり、それは伝播して部屋全体が慌ただしく動き出したのである。

「課長!」

 大声を上げたのは業務係長であった。

「係長、招集!」

 声を掛けられた課長は、直ぐさま係長の全員を課長席前に集めた。

「……揃ったか。緊急要請が入ったようだ。倉庫深度課はこれを仮受領とする。体制を整えた上で待機を指示する」

 集まった係長を前に、課長決裁でこれを受領した。企業であれば通常の流れとしては、課長から部長を通す必要がある。場合によっては社長に伺わねばならない物もある。しかし、緊急を要する場合に備えているのであろうこの会社では、課長にその権限を与えているようである。

 課長からの指示を受けた各係長は、自席に戻って担当する体制を整えるための指示を出していった。

 係長達に指示を出し終えた課長は、受話器を取ってダイヤルした。

「倉庫深度課課長です。緊急の要請が入りました。社長への連絡をお願いします。……業務係長! 緊急要請の書類を準備!」

「はい! 既に作成に入っています」

「頼む」

 緊急体制が発せられているのだ、係長である以上何をすべきかは分かっていると言うことなのであろう。


 その頃、緊急要請を受けた会社社長は……。

「桃井だ。どうした。……うん。分かった、今は舞王にいる、こちらの社長と一緒にそちらに向かう」

 携帯を切った桃井はその足で、株式会社「舞王」の社長室へと向かった。

 “舞う王”と書いて“まおう”と読むこの会社。キャッチフレーズは“世界に舞う王(飛躍する会社)”と言うものであるが、読みだけを聞くと何やら曰くがありそうな会社である。

「社長!」

 開口一番、大きな声で社長室のドアを開けて入ってきたのは桃井である。

「美朗か。何事でもあったか」

「ありましたよ、社長。空間倉庫に緊急要請です」

「おぉ、そうか」

「暢気な返答はしないで下さい。安芸久社長!」

「分かっている。空間倉庫に行くのだな。だが、表向きは病人になっているのだがなぁ」

「はぁ。そうでしたね。車いすを用意しましょう」

 桃井美朗は、踵を返すと秘書室から車いすを持って現れ、安芸久を乗せ社長室を後にした。


     *


 業務係に緊急要請が入ってから一時間程後の空間倉庫の会議室……。

「皆様には、緊急にお集まり頂きありがとうございます。空間倉庫社長の桃井美朗です。お集まり頂いたのは当社に緊急の要請が入ったためです。時間もありますので前置きは手短にしまして、臨時の依頼受理会議を始めさせて頂きます。議題はこの緊急の要請を何処で受けて頂くかです」

 美朗の進行で、臨時に招集した依頼受理会議が開かれたのである。とは言え、既に仮受領していることもあり、会議の内容はもっぱら要請を受けるのが何処であるかに絞られたのは言うまでもない。そうは言っても各社人員を割く余裕はなかった。

「今回は、舞王さんにお願い出来ないか?」

「由宇さんの所は来ていないのか?」

「あそこは社長自ら仕事をしているからな。緊急では無理であろう」

「この要請元は……。テーリア……。ふむ、以前にもあったか。……あぁ、由宇さんの所が受けたのか。いてくれれば助かったが」

「いないのであれはしようがないだろう」

「……そろそろ決議をとりたいのですが、よろしいですか?」

「そうですね」

「筆頭株主でもある舞王さんにお願いしたいですね」

 話があちこちに移ろってしまうのはいつものことと言えばそれまでである。緊急の場合には尚更であろうか。何処も人員が不足しており、直ぐに動かせない事情もある。誰かが必ず“舞王”を名指しするのは発言の事情も手伝っているようである。

「それでは決議をとります。今緊急要請は、株式会社舞王に任せる、賛成の方、挙手願います」

 反対する理由が見当たらないこと、筆頭株主に楯突ける会社もいないだけではなく頼っている節もかなりあるようである。満場一致となるのは当然のことのようである。

「いやぁ、舞王さん。今回もよろしくお願いしますよ。お体をお大事に」

「ありがとうございます」

 会議が終わると緊急であったことから、仕事の途中で出てきた社長や取締役が多く、そそくさと空間倉庫の会議室を後にしていった。

 残った久は、徐に携帯をとりだしてダイヤルする。

「秘書室だな、久だ。まだ空間倉庫にいる、もうしばらくは社には戻れない、それでだ、派遣課に人員選定の指示を伝えてくれ。……それと、人事課の安芸智課長に指揮を執らせると両方に指示を伝えてくれ。頼む」

 秘書課に連絡を入れた久は、車いすに乗ったまま会議室の窓から外を眺めていた。傍らには桃井美朗が付き添っていた。


     *


 緊急要請が入ってから二時間程が経った頃、空間倉庫本社に併設された倉庫一階の西奥、そこに五人ほどの人物達がいた。

「何度も来てはいるんですが、一人だと迷いそうですね」

「そうですか? 加勢さんは久し振りでしたっけ」

「大和さん……。班は一緒ですが、これでも他部署要員ですから……」

 加勢と呼ばれた人物は加勢理。二八歳の男性である。

 大和と呼ばれた人物は大和文佳。二六歳の女性である。

 他部署要員とは、株式会社舞王では、基本的に派遣課に所属する人員のみが派遣されることになっているのだが、そうは言っても会社組織の人員には限りがある、そのための措置であり策であるのが派遣課以外の部署に所属させた要員と言う事になる。

「……確かに、俺も随分と久し振りだ。たまに来ないと本当に迷いそうだよ」

「安芸課長もそうですか、そうでしたね」

 安芸と呼ばれた人物は安芸智。二九歳の男性である。社長の安芸久とは親子の関係である。

 智も理に同意しているが、更に久し振りのような口ぶりである。智もまた理と同様に他部署要員と言うことになる。

「課長はそろそろよしてくれないか。向こうに行った時に出てしまうぞ」

「あっ、そうですね。では、安芸さんと呼びます」

「まぁ、それでもいいが。加勢とは一つしか違わないから“さん”は付けなくてもいいんだが?」

「そう言われても、管理職ですからねぇ」

 智は呼び方を訂正したいのだろうが、課長であるならそうならざる終えないのがサラリーマンと言うものである。それでも、何故かそう呼ばせたくはないようである。

「今回も、あの子のように頑張ろう。忍さん」

「あの子? ま、まさか……」

「うふふふ、そう。六月に必死に帰ってきた小惑星探査機の事よ」

「う~。文佳さん……。またその話ですかぁ」

 文佳も気合いを入れているようであるが、元になっているのが衛星である機械というのもどうかとは思うが……。実は、日本人の大部分が故障を起こしても尚目的を果たし、地球に帰還したことに感動を覚えていたのである。

 忍は、それ以来事ある毎に文佳の感動を聞かされたようで、流石に辟易していると言ったところのようである。

「ふん。加勢」

「はい、角館班長。何でしょう」

「相変わらず運動はしていないようだな、前より太ったか?」

 角館と呼ばれた人物は角館勇次。三一歳の男性である。班長と呼ばれているのは、社内外のイベント要員としてその都度選ぶのではなく、四人程度を一つの班として班編制をしているためである。

 ややぶっきらぼうな喋り方ではあるようだが、周囲への気配りはあるようである。

「それは失礼ですよ。……でも、そうですか?」

「それくらいは大丈夫です。加勢さん程度の太り具合なら問題なしです」

「えっ?」

「あれ? そ、そう言う意味じゃないです。男の人でも太っちゃうこともありますから、まだ大丈夫です。やせれます」

「あ、ありがとう。細川さん」

 細川と呼ばれた人物は細川忍。二四歳の女性である。

 理の口調も手伝っているのかもしれないが、この班ではいじられ役なのかもしれない。

「着いたぞ。全員通行証を翳して」

 お喋りしている間に、どうやら目的地に到着したようである。到着したはいいが、扉らしき物はどこにも見当たらず一面壁である。その一面が壁の右端に、五㎝四方の箱が飛び出ており、智に促されて一人ずつが通行証を翳していった。

 ガコン。と音がすると箱の左側にある壁が動き出した。奥に少し動いた後、左右に開いていった。

「いつ見てもからくり屋敷ですよね、ここは」

「そうですねぇ、忍者屋敷かもです」

 偽装が施された入り口に感心しながらも、開いた場所から中へと入っていく面々であった。五人が中に入りきると開いていた偽装扉が閉じていった。

 入った先は何の変哲もないどころか、テーブルや椅子と言った類の物すらないがらんどうの部屋であった。

「業務係の小埜瀬です。智さんゼロクにいらっしゃい、いつ以来になりますかね?」

「大分ご無沙汰してます、業務係業務長の小埜瀬さん。株式会社舞王から参りました五名です。派遣課から預かっている今回の名簿です」

 出迎えが数人いたが、業務係の担当者が殆どのようである。

「肩書きはよして下さい。業務長は他にもいますからね。それでは拝見します。なるほど。班の指揮を今回は安芸智さんが執るんですか。了解しました」

「なんだとぉ。何でだ、ヤカタ班の班長は俺だぞ。どう言うことだ!」

 小埜瀬が名簿から読み上げた内容に、納得がいっていない勇次が憤慨したようである。

「説明はありませんね。しかし、貴社からの正式な書類ですから諦めて下さい」

「それじゃ、俺が前に出られないだろうが」

「静まりなさい」

「誰だ……。桃井副社長……」

「説明が欲しいですか」

「欲しいです」

「緊急要請を角館君には任せられないと判断されたからでしょう。不服ですか?」

「……ぐぅ」

 突然の来訪におののく面々だが、美朗が出てきたことで勇次を抑えることは出来たようである。そうは言っても、勇次の表情からは納得しているようには見受けられなかった。

「続けて下さい」

「しゃ、社長。分かりました。……では改めて名簿との確認をとります。安芸智、経営管理部、人事課所属。剣闘士担当」

「はい」

「角館勇次、宣伝部、派遣課、ヤカタ班所属。勇者担当」

「……おう」

「大和文佳、宣伝部、派遣課、ヤカタ班所属。剣士担当」

「はい」

「細川忍、宣伝部、派遣課、ヤカタ班所属。弓士担当」

「はい」

「加勢理、販売購買部、購買課、ヤカタ班所属。術師担当」

「あっ、はい」

「名簿との確認を完了します。勇者一行の標準装備に着替えるように」

 小埜瀬からの儀礼的な確認が終わると、五人は入って右にあるロッカールームへと向かった。

 勇者一行の標準装備について、彼等が着替えている間に解説しておこう。

 服装は上下が分離した長袖に長ズボンとブーツからなっており、色彩は地味な黒、あるいは深い緑か茶であるが、迷彩服と言える程ではない。服の生地は耐久性を追求した繊維で編まれており、ちょっとやそっとでは破れることはないそうである。

「いつも思ってるんですけど……。あっ、分かってはいるんですよ」

「何のことを言ってるの? 忍さん」

「……あぁ、そうですね。この服ですよ。男性はともかく女性もこれってどう思います?」

「戦う時に服装を気にしなくていいと思うけど?」

「えぇ~。余所に行くんですよ? おしゃれな格好の方がいいと思いますけど」

「忍さん。最初に説明は受けたでしょ。行く先々でどんなものに出会うか分からないって。で、肌の露出は控えないと未知の感染症にかかる恐れがあるって」

「それは分かってますって。……でもぉ」

 女性用の更衣室内で、忍が改めて服装について愚痴を溢しているようである。そう。特筆すべきは女性も男性と同じ服装であること、これは赴く先に生息する小さい生物から身を守るためである。どんなに可愛く装飾しようが、素足や素肌が露出した物は禁止されている。

 装備する武装については、銃器の類は一切装備しない。個々人毎の特性に応じた武装を装備する。剣や刀を扱う者は、鍔かあるいは類する部分のみを携行し、刀身は現地で調達することになっている。例外として術師や呪術師のみステッキをコンパクトに畳んだ物を携行する。これは現地調達が出来ないことが最大の理由である。その他には、最終手段となるサバイバルナイフを装備するのみである。

 ロッカーのドアが開いて智達が出てくると……。

「智君。ちょっといいか」

 美朗が智の肩を組んで他のメンバーから引き離していく。

「あの。小埜瀬さん」

「何ですか? 加勢さん」

「久し振りですので、ここで魔法現象を発動してもよろしいですか?」

「……あ~、無物質特異化現象ですね。ふ~む。そうですね、小規模の物であるならばいいでしょう」

「ありがとうございます。小規模ですか、だとすると模擬戦モードの方がいいですね、収束率を落としてますから……。でもまぁ。良くこんな不安定な元素を見つけましたよね」

 礼を述べる理は、無物質特異化現象の発動準備に取りかかった。小埜瀬が言い直したのにも理由があり、理が使った名前は俗称であり、正式には認められていないと言うことである。

 無物質特異化現象とは、分かりやすい例を挙げるなら火である。火を熾すには、火花あるいは摩擦を燃やすための燃料に移すことを行う必要がある。その全ての行程(着火に始まって正常な燃焼までである。また、燃やし続けるために燃料を供給することも含まれる)を、何もないところで発生させることを指している。

「確かに。大戦前には計測されていなかったというのだから驚きですね。戦後に、当社と貴社の初代社長が発見に貢献されたと言いますからね」

「……そうでしたね。……化学式も現象の推移に合わせて変化するんですから、何がどうなっているのか。僕には理解しきれませんよ……。見づらいなぁ……。これで良し。……あっ、こんな話しても大丈夫でしょうか?」

「ん? あぁ、例のことですね。……多分、大丈夫でしょう。お互い知っていることですから」

 理は、ステッキに内蔵している液晶を操作している。小さいが為に操作がしづらいようであるが、何とか模擬戦モードに変更が出来たようである。

 模擬戦モードとは読んで字の如くであるが、発動に際しての破壊力を下げつつも命中したことが分かるように設定が出来るようになっている。銃器で言えば所謂ペイント弾に相当すると言える。

「それでは、小規模な水蒸気を発生させます」

「どうぞ」

 無物質特異化現象によって、何もない空間に水蒸気を発生させると宣言した理は、伸ばしたステッキを口元に近づけて……。

「水蒸気」

 そう吹き込んで腕を上方に伸ばした。するとステッキの前面部分でチカチカと点滅が起こり、ものの数秒でステッキの上方で水蒸気が吹きだした。

「停止」

 ステッキを再び口元に寄せて吹き込むと、吹きだしていた水蒸気が止まった。しかし水蒸気が直ぐに消えることはなく、結局、理を含めた周囲にいた数人が水蒸気を被ってしまった。

「あっ、あれ? 模擬戦モードは収束率三〇%にしていた筈……。あ~、すいません。五〇パーセントになっていた上に、部分的に蒸気ではなく水滴に設定してました。若干濡れちゃってますね、申し訳ありません。あっ。まさか、これが例の事故ってやつでは……」

「……いや、この程度なら仕方ないでしょう。……それと加勢さん。これはいわゆる人為的ミスですよ」

「……そ、そうですね。……すいません」

 理はややはにかんで申し訳なさそうにしているが、小埜瀬は一向に気にする様子はないようである。

「智。お前はまだ若い、今回の件も経験だ」

 美朗が、やや大きめの声で智を激励して智の背中を叩いていた。

「……ですが、貴方の星の術は使わないようにして下さいよ」

「あぁ、分かっている。最終手段でしか使わない」

 今度は小声で智に何やら注意を与えている、いや釘を刺していると言った方がいいようだ。

「よし。智、頑張ってこい!」

 一際大きな声で智の背中を叩いて激励しながらその場を離れていった。

「準備はよろしいですね。それではゼロクホールに移動しましょう」

 美朗が離れ、理の試しも終わったことから、小埜瀬が移動を指示する。

 ゼロクホール。そこには、虫食いの穴のような物がいくつも浮遊していた。

「説明はしなくてもいいかもしれませんが、不用意にワームホールに近付かないで下さいよ。弱くとも力場を持っていますから下手に触れると千切れますよ」

 ワームホールが乱立する中にある一つに、“TERRA”と書かれた立て看板が置かれていた。何故立て看板が置かれているのかと言うと、以前は区画を切っていたのだが、位置が微妙に動く、あるいはずれるため、区画した壁が破壊されてしまったためである。

 立て看板からやや離れて、智を先頭に一列に並んだ。

「それでは、いつも通り派遣の約束事を説明します。これから向かう惑星上に住む知的生命の文明と文化に影響を与えてはならない。これから向かう惑星上で、我々の文明の痕跡を残してはならない。緊急事態の場合は優先的に破壊すること。それから最近になって増えた事柄なのですが、派遣に出したところ“知っている世界ではない”という文句が増えておりまして追加したものです。この先に存在するいかなる物も現実であり、空想上の産物、つまりはゲーム上で起きている事ではないことを肝に銘じること、以上。派遣業の遂行をお願いします」

 小埜瀬が語った“派遣の約束事”とは、勇者一行の派遣業務を行う上で最も重要なことである。ワームホールが繋がっている先は、誰かの空想や想像した物ではなく、智達が存在する宇宙と同一に存在する別の惑星上であること。今のところ繋がっている先の全てには知的生命が存在しているが、文明の進み具合もまちまちで方向性も多様である。そのことから、地球の文明や文化を押しつけてはならないと言うことである。

 最後のゲーム上で起きていることではない、と言う説明については、徐々に増え始めたゲーム世代に対しての忠告と言える。違いに対する腹いせか現実であると認識しきれないのか、現住生物などを殺戮してしまう輩もいることから、念押しで追加されたようである。

「なんとも……。んん。それでは本日、二〇一〇年九月一五日、一一:〇〇。派遣の約束事を守り派遣業務を遂行してまいります」

 智は、小埜瀬の最後の部分に反応してしまうが、業務の遂行を宣言すると、まだふてくされている勇次を先頭に、順次ワームホールの中に消えていった。

登場人物

 桃井ももい 美朗よしろう

  西暦1953年06月18日生まれ/57歳/男

  株式会社 舞王まおうの副社長、株式会社 空間倉庫の社長

  生真面目であるが、温厚であり、計算高い。仕事の姿勢と同じだが、他者に対して厳しいところがある。


 安芸あき ひさし

  西暦1948年09月05日生まれ/62歳/男

  株式会社 舞王まおうの社長

  現在は荒くれ者は成りを潜めているが、こと戦闘になるとたがが外れることがあった。現在は、体を壊しているが社長は継続している。


 加勢かせ おさむ

  西暦1982年09月15日生まれ/28歳/男

  株式会社 舞王まおうの販売購買部、購買課。ヤカタ班の術師担当を兼務。

  仕事も含めいい意味でのんびりとしている。つまりは慌てず騒がずマイペースと言ったところ。それでいて、状況が揃えば決断は早いほうである。


 大和おおわ 文佳ふみか

  西暦1983年11月06日生まれ/26歳/女

  株式会社 舞王まおうの宣伝部、派遣課、ヤカタ班。剣士担当。

  幼少の頃から現住所に住んでおり、割合と自然と戯れる事が多く、ややおてんばである。想像力がたくましすぎ、妄想を止められなくなる事がある。

  背が低いため中学2年生以降、出来ると感じた事は手を上げて率先して行うようにしていたところ、その全てが癖になっている。


 安芸あき さとし

  西暦1980年10月10日生まれ/29歳/男

  株式会社 舞王まおうの経営管理部、人事課、課長。班に属していないが剣闘士担当。

  社長の息子である。現在は荒くれ者は成りを潜めているが、こと戦闘になるとたがが外れることもある。

  性格はお人好し寄りで来るものは拒まない。だが、出て行こうとすると泣きついてでも引き留めるもろさがある。


 細川ほそかわ しのぶ

  西暦1985年11月16日生まれ/24歳/女

  株式会社 舞王まおうの宣伝部、派遣課、ヤカタ班。弓士担当。

  人が犯す大抵の事は許す事が着る程おおらかである。現象や事象に対しては許す事が出来ず追求してしまう。

  元々身軽ではあった物の大学のサークル活動を経て、忍びがしたであろう事までをこなせる程になった。


 角館かどだて 勇次ゆうじ

  西暦1979年06月24日生まれ/31歳/男

  株式会社 舞王まおうの宣伝部、派遣課、ヤカタ班班長。勇者担当。

  他人より目立つ事をしたがる。常に人の前に立っていたいともう反面、目立てないと判断するとどんな状況であっても立ち去ってしまう。目立つためであるなら努力は惜しまない。


 小埜瀬おのせ

  株式会社 空間倉庫の倉庫深度課、業務係、業務長。


舞台

 株式会社 空間倉庫

  東京都青梅市に本社を置く。倉庫賃貸業を生業としているが、同一宇宙のどこかの惑星と繋がった虫食い穴の管理と運営を裏の仕事としている。


 株式会社 舞王まおう

  東京都府中市近郊に自社ビルを構えている。アンティークショップである「まうティーク」のチェーン展開し、異業種のRPGともシミュレーションとも言える「SALTANさるたん」ブランドのゲームを展開している。

  裏では空間倉庫が管理する虫食い穴を使って宇宙のいずこかの惑星に勇者一行を派遣している。

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