駄目駄目なあたしが年上彼氏を作るまで!
短編ですが、どうぞ。
「ハァハァ……」
真っ暗闇の中で聞こえる息遣いはとても荒くて、聞いてても良いモノじゃなかった。
力が入らないあたしがこの腕で重たい『布団』をどけるとその隙間から、すぅっと入ってくる空気は新鮮でとても解放感があった。
「ハァーー。 スッキリした! やっぱり、風邪で潜るのは良くないわね」
風邪で暇を持て余してたあたしは何となく、布団に潜ってみました。
誰に言われたわけでもなくね。
別にどこに居たわけでもなく、自分の部屋のベットに潜ってただけで。 お昼を回った頃、いっぱい眠ったあたしの眠気はすっかり覚めてしまい、眠る事を拒んでいた。
暇つぶしに、授業中であろう友達にスマフォでLINEを送るけど、反応も無いし……
「あーーっ!もう!ひま!ヒマ!暇ーーっ!」
等と思わず叫んでも、家の中に居るのはあたし一人っきりで突っ込む人すら居ないわけで。
(いっそのこと、オシャレなんかしちゃって街にでも出かけよっかな?なんて……)
なんて、あたしはよからぬ事を考えたものの——
「ううんっ! 駄目ったら、駄目っ! もしも、これでお巡りさんに捕まったりでもしたらホント、上手い言い訳なんてあたしの頭じゃ浮かばないし」
安易な考えしか浮かばない、あたしの頭は誰譲りなのよ!なんて思いながら、この部屋から見える窓の向こうのお向かいさんは確か……
「居るじゃない! ちょーど都合のいい暇人が、め・の・ま・え・にね」
よからぬ事もとい、いい案を思いついたあたしは完璧なファッションに着替えると、さっそくあの人のもとへ——
「おじゃましまーす!」
「んなっ!? おまえ!どっから入ってんだよっ!」
予想通りのリアクションをする『あの人』に対し。
素直にトビラから入ると門前払いを受けるのを知っていたあたしは、策として『窓から侵入』することにしちゃいました!
「良いじゃない? あたし達って、そんなよそよそしい仲ってわけでも無いんだし。ねぇ、そうでしょ……結城お・に・い・ちゃん!」
「――――――んなっ!!」
流石、演技力が無いあたし。
我ながら、ゾッとする演技だわ!なんて、内心で汗を流すあたしと、それに絶句する2つ年上のルックスはまぁまぁの冴えない大学生。
(見た目だけなら隣で腕を組んでも申し分無いんだけど……ねぇ)
なんて思いながら、あたしは座っている結城兄さんをまじまじと見ちゃったりして。
「どうでもいいけど。お前……学校はどうしたんだよ? 今日は登校日だろ!」
「えっと、その…………。そう! 結城兄さんに会いたくて休んだのよ」
「……嘘だろ。お前が最後に俺の家に来たのは、確か…… 俺が小学校を卒業して以来だろ……?」
「…………」
(ちゃんと覚えてくれてたんだ…… あたしが最後に結城兄さんとお話をした日のこと)
結城兄さんはもう覚えてないと思ってたあたしの大切な想い出、今頃になって、忘れかけてたあたしの記憶を思い出させた。
「結城兄さ……」
「なんだよ?」
いつの間にか、乙女チック脳になってたあたしを止める術も無いままあたしは—— この後のことを思い出すだけでも、うぅっ! 吐き気がぁぁ……
※※※※※
「えっと、その……結城兄さんが良かったら、これからデートに——」
この後、上手く行ったかは皆さんの想像にお任せしますっ!
では、また何処かでお会いしましょう。
今度は、彼氏と一緒に——
楽しめた方で感想などを頂ければ、またこの様な小説を考えようと思いますので、喜んでお待ちしております。