0006 テエス神殿を目指せ! その1
お、遅くなりまして申し訳ありません。半年の忘却でございます。しかも短いのです。
何もしませんが、お許しを……。
衝撃の事実と言ってしまえばそれだけのことではあるのだが、カオリは驚きを隠せないらしかった。
「せ、設定……?」
「設定だ。性別に使用武器、ポイントの数字、成長具合」
そんなものがあるなどと聞いてはいなかった。そういう顔だが、カオリがそういうことを試しもしなかったということもまた事実だ。しかしどうやってそういう画面を呼び出せばいいのかもわからなかったし、自分はパソコンとは違うという意識もそれをさせないでいた。
性懲りもなく出てきた情報神は、プレゼントボックスを開ける寸前の子供のように目を輝かせている。
『性別の変更を押さないんですか、パソコンくん?』
「いや…… 何らかのリスクはないのか」
『ないと思いますよ。神が怒らなければ』
「たらればの話は好きじゃないな」
実際にはテエス神殿と言うところがあり、男のような女は男に、女のような男は女になることができるということを情報神は知っていたし、ちょっとしたいたずら心にあふれた彼が転生者を意識とは違う性別の体に入れてしまったりするのを知っていた。なにせ管轄が違うもので、突っ込みにくいところである。
まず転生する場所が決められ、その世界に特殊な才能のようなものがあるかどうかによって才能が決められる。これは半自動的だが、その自動が事故を起こさない保証はない。いわゆるぶっ壊れ性能の上に神らしきものの存在が見当たらないとなれば、まず故障であろう。他の神に怒られるのが怖いので見て見ぬふりをしているのである。そもそも神に魅入られた人間などと言うものの数が少ないこともあるが。
体に付随する性能を決めるものは、生まれ方によって違う。たとえば遺伝であったり、生物として生まれたのでなければ神のデザインするところとなるのだ。つまり今回魔力によって転生したことになるカオリとパソコンは、神のデザインした最高レベルの体を持っている、ということである。実際にわざわざ顔を赤らめる人間がいないのは「ド田舎に訪れたもの」が強かったり美しかったりするのが当然だからであって、カオリたちが美しくなかったわけではないのだろう。
『テエス神殿を目指せばいいって言いましたよね?』
「言ったが…… 問題はないのか?」
『まあ、神様が怒らなければいいんです』
『私は怒ってる』
『きゃー!?』
存外にかわいらしい悲鳴を上げ情報神は視界から消えた。さっきから立ち位置が違っていなかったのだろう、当然の帰結である。
神々の事情(謎)をかみしめながら、三人は進路を決めた。
「テエス神殿か……。よし、行くぞ」
「はい。ご両名は、不審には思われないのですね」
神々のいたずらという言葉があるように、神々はときに戯れ言で人を惑わす。ほかならぬ神のいたずらによってこちらに飛ばされたような異世界人が、なぜ神の言葉を信ずるのか。オルハは不思議でならない。
「俺には明確な意識がない。それが手に入るなら御の字だ」
「そうそう。ふふふ」
気味の悪い笑い方をするカオリを怖いと思いつつ、歩き出した二人についていくオルハだった。
次からはバトルやら困難が立ちはだかる…… 予定。
敵の設定はすでに考えてあるんです。大丈夫、書くだけ(何日かかるか不明です)!




