第12話 決闘
「だから、俺と勝負しろと言っている!!」
「断る」
あれから15分。俺はまだ勝負を拒み続けている。だって面倒臭いじゃん。
「何故だ!!何故勝負を受けない!!」
GMに会えるのは、確かにいいと思う。けど、
「こっちの損失を考えると、嫌だ」
そう。行男は、俺が負けた時の事を言わないのだ。
「良いだろう。そんなに聞きたきゃ言ってやる。お前が負けたら、死ね。」
「は?」
いやいや。釣り合わなさすぎだろ。俺が負ければ死ぬ?ふざけてるにも程があるだろ。
「じゃあ、こっちも追加。俺が勝てば、お前の金、持ち物、情報の全てを吐け」
つまり、行男にも死刑宣告する。そりゃそうだろ。裸で外にいる上に、宿にも泊まれない。つまり、餓死するしかない。
「良いだろう。その条件で受けてやる。但し、本当にそれで良いんだな?」
バカだ。こいつバカだ。
「いいよ。俺負けないし」
という訳で、俺は、盛り上げる為に、アイテム『即興実況者』なるものを使った。ボス部屋で。
『さ〜て。始まりました〜。土井信次vs火友行男。この勝負のレートは……』
五月蝿い。失敗のアイテムだった。
『ルールは、相手のHPが2/3を切らせれば、勝ちの単純明快ルール。それでは、レディ・ファイ!!』
実況の長い説明が終わると、すぐに始まった。
行男は、全く動こうとしない。構えを見ても、カウンター狙いなのが、見て取れる。となると、俺も動かない。というか、動けない。だって、カウンター狙いの奴に、突っ込むバカは、早々いないだろう。
『両者全く動きません。野次からは、『さっさと動け』などの罵声も飛んでおります。』
どこからか湧いてきた野次もうるさい。マジで集中出来ない。
「来いよ。カスが」
「え?なんだって?」
「だから、来いよ!カスが!」
「え?なんだって?」
「お前わざとだろ」
「大正解」
こんな軽く話してるが、決闘中だという事を明記しておこう。
残り時間は、1分を切ったあたりで、行男が何かを呟いた気がした。
と思えば、いきなり、動き出した。俺は、少し遅れ、躱すも擦り、少しだけHPバーが左に動く。
「ッ!!」
反撃しようとするも、向こうの思う壺の、カウンターで、こっちの体力はバンバン削られ、遂には、3/4を切るまでとなった。
(残り時間30秒弱。こうなりゃ、最終手段を使いますか。)
俺は、使う予定のなかった、最終手段を使う事にした。