第10話 第7問
『第7問!!』
いつも通りの効果音が入る。
『貴方は千早より、電子の方が信用でき、好きである。イエス・オア・ノー!!』
地雷踏んだよね!?今確実に地雷をポチッと踏んだよね!?
『さぁ!どっち!!』
正解はもちろん、イエスだ。だって、千早嫌いなんだもん。信用出来ないもん。女王様気取りの腹立つ女だもん。
そんな冗談は置いといて、本気でマズイ。ノーと言えば死、イエスと言えば正解で無事解放されるのだけど、
『この問題は最終問題なので、全プレイヤーに独占生配信中でーす。これは白黒はっきり着くし、さっすが私だよね〜。』
AIはとても素晴らしい笑顔で言う。ってかマジで要らねー事してくれたな!!おい!!
『早く答えてくれません?皆暇しちゃうよ〜。』
もうそろそろ答えないと、どちらにせよマズイ。
『切っても良いかな〜?』
「恥ずかしいからさ、暗号式で答えてもいいかな?」
もちろん、苦し紛れの提案だが、
『おぉ〜!!面白そうだね〜。良いよ〜。それじゃあ、3・2・1どうぞ!!』
仕方ない。やるか。
「いまこそ動き出せ。
イエスやノーを答えずに
回数を重ね、鍛え上げたその技で
そのドス黒い感情を曝け出せ!!」
厨ニ病っぽいこと言っちゃったよ。恥ずかしいよ。出来るだけ声低く言っても恥ずかしいものは恥ずかしいよ。
『なるほどぉ〜。そう答えちゃいましたか〜。中々カッコよかったですね〜。』
ウルへーやい!
『まぁ、きちんと正解を答えたのも腹立たしいですが、今回はプレイヤーの勝利です。それじゃあ、賞品の選択をしてくださーい。』
AIがそう言えば、俺の目の前に『経験値10万』か、『記憶を40%加算』かのボタンが現れた。
俺は悩んだ。鬼上司の指示は前者だが、俺が抜け出す為には後者も捨て難い。だけど、死ねば終わりかもしれないこの世界。レベルが上がれば自然にHPも上がるという無理矢理な理由で前者を押した。
『それでは、経験値10万をプレゼント〜!!』
すると、俺のレベルは超高速で上がっていく。バグってるのじゃないかって思えるぐらいにだ。
最終的に、俺のレベルは39まであがり、残った経験値で90%を超えている。もちろん、この時点で最強だろう。
『ではでは〜。全プレイヤーでたった1回の尋問クエストは終わりだよ〜。皆頑張ってね〜。』
その声がトリガーになっているのか、俺の頭の上の爆弾が消え、俺の周りから光が発光し始めた。
そして、次の瞬間には、クエストNPCが居た場所へ戻っていた。
「お疲れ様。最後の暗号は誰にも言わないであげる。」
やっぱり鬼上司にはバレていた。
「それで?次はどうする?」
「次は一緒にこの村に行く。この層の1番大きな村。」
その村は、俺等のいる村の北東4kmって所にある村だった。
「その理由は?」
「そこにこの層のボスがいるかもしれないから。」
つまり、攻略する気だ。
「ボスのいる建物を見つけたら、すぐに私に知らせること。そして、そのまま偵察をしつつ、可能なら個体撃破。」
俺のレベルは39。コイツが15ぐらいだとしても、余裕で倒せるであろうことは目に見えている。
「余裕じゃん。」
「油断しないで。ボスと通常モンスターは格が違い過ぎる。それに、貴方はたった今、鬼の様にレベルが上がった。体が馴染まず、死ぬのは火を見るより簡単。だから、何戦か交えつつ村に行く。」
「了解。」
もちろん、この女の言う事なんて信じてなかった。だが、それを俺は後悔する。それに気付いたのは大分遅かった。
暗号が簡単過ぎるのは許してください。