第七話
「栄都…栄都!」
その後栄都が目を覚ましたのは、午後15時辺りだった。
「父さん…UMA達は」
少しばかりなっている頭痛を抑え、南音に問う。
「公家君と凜花ちゃんが来て、無事に倒してくれたよ」
「そうか…すげえなあ、あいつら」
栄都の中に、公家と凜花の顔が浮かぶ。
「俺もすぐに行かないと…っと!」
体の節々がまだ痛む。何故だろうか、そこまで激しいことはしていないはずなのに。
「栄都、お前の体は今お前が思っている以上に傷ついている。少し安め」
「そんな事言われたって、じゃあUMAは」
「あの子達に退治してもらう。栄都はしばらく休んでいろ」
南音はそう告げ病室を出て行った。
「突然なんなんだ…この前まで戦ってなかったあいつらが、UMAを倒せるようになった?はは、すごい事だな」
栄都に溜まるのは喜びの心だけではない。
テレビをつけた。
そこには戦っている公家の姿が、少しだけでが映っていた。
全身が黄金に光っているその姿。
「なんだこれ…公家の新しい技か」
だが、関心したわけではない。
「俺の方がもっと力を出せるに決まってる…俺も開発を――」
「凄いじゃない、公家君!この国を救ったわね!」
「いや俺はそこまで大したことしてないんですけど、凜花のお陰ですよ」
「そんなことないわ。公家の短所はズバリ、ストイック過ぎるところよ」
「それは短所なのか…?あ、突然すみません来てしまって」
2人はUMAを倒した後、すぐに凜花の家に来た。
「大丈夫よ。遠慮なく上がって行きなさい。それより公家君は、両親が心配したりしてないの?」
「いや、あの人達は…大丈夫ですよ」
公家は堪えて笑ってみせた。
「そう…それじゃあ、私は居間へ戻るわね」
凜花の母は玄関から去っていった。
「公家、公家!」
公家は少し考え事をしていたため、凜花の呼びかけに反応できなかった。
「ちょっと公家……!」
凜花は公家の急所(主に下半身の)を蹴る。
「グハァ!痛てぇえええ!!」
「無視した罰よ」
「もうちょっとマシな罰の仕方もあるだろう…使い物にならなくなったらどうするんだ!」
「使い物って、何に使うの」
「そりゃ勿論――」
公家がその言葉を発した瞬間、凜花の右手ビンタが顔面に当たりそうになったのでしゃがんで避ける。
「最低!男ってこれだから嫌なのよ!」
「凜花…その言葉は、僕に対しても言っているのかい?」
階段から降りてきたその男は…
「父さん!」
「公家君。うちの娘が迷惑を掛けたようですまないね」
「いえいえ…いつも迷惑掛けてるのは僕の方なので」
「君は本当に出来た人だ」
「そいつに騙されない方がいいわよ、父さん!この人、さっき私に最低な事言ってきたのよ!?」
「お前がその前に最低な事したからだろうが!」
「まあ一部始終を見てたからわかるが」
地味に凜花の父さんは光景を見ていた。
「凜花、男ってのはそういう生き物だ。わかるだろう?」
「父さん…それは、わかるけど…」
「じゃあ認めてやる努力もしなきゃいけない。もう高校生なんだから、覚悟はしておいたほうがいい」
「う…ごめん父さん、私まだそういうの慣れてなくて――」
「よしそれじゃあこれから3人で私のDVD鑑賞会と行こうか!いやー結構増えたからね!期待しても」
「何アホみたいな事してるの」
「…か、母さん…」
凜花の父が冷や汗をかく。
背後にはいつの間にか、妻の影。
「今からそのDVDとか言うの、全部持って来なさい…わかったわね?」
「は、はい!勿論ですとも!」
凜花の父は急いで階段を登っていく。
「……部屋行こうか、公家」
「ああ、そうだな」