最近の二次元はロリコンに優しい
やあ!俺は真太郎!今補習室から連れだそうと耳引っ張られてます。
「いだだだだだ!いった!」
俺の痛みなどおかまいなしに突然現れた女子生徒はぐいぐい耳を引っ張る、あんた耳引きちぎろうとしてない!?
「なんなんですか!?てか誰ですか!?」
パッと見は美少女、といったところだ、茶髪のセミロングの杏奈と対照的な黒のロングヘアー。
現在進行形で杏奈も横にいるので比べると本当に正反対だ。
「おや、てっきり知っていると思ったんだが…まあいい、私は原由佳里だ!ユカリンとよんでくれ!ちなみに二年だ」
原由佳里?………………どこかで……
「おい、由佳里!お前アニキになんてことを!」
相川まで補習室に乗り込んで来た。もうなんだよホントに、皆こっち見てるし杏奈なんかまた処理落ちして煙出してるし…
ん?相川…原由佳里……あっ!!!
「お、おい!相川!ちょいこっちこい!」
「はい!アニキ!」
相川はドアから一秒で部屋の後ろの方にいる俺の前に来た、めっちゃ速っ!?忍かお前は!
いや、それはどうでもいいとして
「相川、この人まさか…お前の好きな人じゃ…」
こそこそと耳打ちする。
「そうっすよ!いや、俺由佳里に「お前に言われたことの答え、凪真太郎って人のところで探してみる」って言ったら、ここ数日アニキについて色々聞いてまわったりしてたんすけど…まさかこんなことになるとは」
やっぱり、校舎裏で「見た」相川の好きな人だったか。
しかしなぜ俺がこの人に補習室から連れだされなきゃならん、どうしてこうなった?
「とにかく!凪真太郎!こっちに来たまえ」
また由佳里は真太郎の耳を引っ張る。
「だからいてーって!やめてマジで!」
こんどこそ有無も言わさず廊下に引っ張り出された。
ユカリンこと由佳里先輩は満足げな顔で「一仕事終えたー!」みたいな雰囲気を出している。
なにも終わってないんすけど、むしろこっからカオスな方向に進んでいく気配がするんてすけど!?
杏奈も一緒に廊下に出てきたようだ、本当に優しいな、こんな状況に一人だったら俺泣いてたかも。
「さて、凪真太郎君!君に話がある!」
「お断りします、知らない人とは接するなってじいちゃんに言われた気がするんで」
そう言って軍隊ばりのまわれ右を行い補習室に戻ろうとする。
ちなみにこの理論に従い行動すると当然ボッチになる、だってみんな最初は知らない人だもの。
「待ちたまえ、話ぐらい聞いてくれてもいいだろう?」
しかし由佳里先輩は蛇のような滑らかさで俺の襟を掴む、同時に俺の首も締まる。
この人の疑問系は決定事項のように感じる。
「…わかりましたよ、なんですか?」
観念して訪ねる、ほんとうなら耳を塞いでいたいけど。
「私の部に入ってくれ!」
「部?部活ですか?」
部活か…確かに俺は無所属だ、部活となるといやでも友好的な人間関係が求められる、そんなのは断固拒否する。大体そういう団体に限って「こいつとだけは仲良くなれない…」みたいなやつがいるんだよな、あの確率以上。
「そうだ、[なんでもお悩み相談部]通称[NO相談部]だ!私が作った、いまは私一人が部員だがな」
NO相談部ねぇ…
「わかりました、答えはNOです」
こんな見ず知らずの人しかいない部になんか入れるか、てかそもそも俺は部活には入る気がない入りたくない。
「ああ、すまない、言い方が違ったな。私の部に入部してもらったからこれから仲良くしてくれ、だった」
どう言い方を変えようと、…って「入部してもらった」?
「はぁ!?どういうことすか!?」
「そのままの意味だよ、君はもうNO相談部の一員だ。入部届けも受理されている、ちなみに部長である私の許可なく退部は出来ないぞ」
「入部届け!?なにやってんだあんた!てかハンコとかは!?」
「そんなもの百円ショップのハンコで十分だよ」
「……」
「すいませんアニキ、こーゆうやつなんす…」
相川、今もう一度このありあまる気持ちを拳に変えてお前にぶつけていいか?
「シ、シンタロー、どういうこと?」
杏奈、それを俺に聞くか…
「どうやら俺はこの先輩が作ったNO相談部とやらにすでに入部させられているらしい」
説明すると杏奈は腕を組み少々考え
「ええーー!!?」
と叫んだ、マジで理解出来てなかったのかよ。
「え、ちょ、なんで?なんでシンタローが?」
杏奈は焦った顔で由佳里に問う、いやそんなテンパった聞き方せんでも…
「先日、そこの相川から彼のことを聞いてな、以前からちゃらんぽらんのチャラ男と言われていたこいつを更正させた人物なら、力を借りたいと思ったんだ」
おい、ちゃらんぽらんのチャラ男!やっぱお前のせいじゃねーか!
「私個人としても興味があるし…」
ん?なんか言ったか?なんかいきなり男勝りな声が女の子っぽくなった気が…
ついでに説明しとくと、由佳里の声は普通に女の子の声だ、ただ喋りかたがアレなんで男っぽいというか、女の子らしくなく感じる。
さらについでだが由佳里先輩の好感度は70%、いくら相川から聞いていたとはいえこれは高過ぎじゃなかろうか。
いや、杏奈に対しても62%だし、最初から人に好感をもつタイプなのだろう
かわいそうなのは相川だな、40%だ、そりゃフラれるわ。
「じゃ、じゃあ私も入る!」
「杏奈!?」
「なんかシンタローかわいそうだし…ようは人助けの部ですよね!そういうの興味あったし!」
なんだか必死に理由を説明しているが顔がまっかだ。
由佳里はそれを見てなにか悟ったような笑顔を俺に向けた、え?なんで俺?
「まあ部員が増えるのは大歓迎だ!杏奈だったね、先日はそこのバカが迷惑をかけた。これからよろしく頼むよ」
「は、はい!よろしくお願いします!…シンタローも、よろしく」
こんどはバカ呼ばわりか…ひどい言われようだな。
「俺も、アニキが入るなら当然入ります!」
「おい当然ってなんだ、その流れはまったく自然じゃねーよてかもう帰れよお前」
「はいはい、バカ一匹も追加。あ!杏奈ちゃん、あとで入部届けだしてね」
「わかりました!」
なんだかこの人相川の扱いに慣れてるな…
「もしかして由佳里と相川ってなんかあんのか?あ、付き合ってないのは知ってる」
さらっと相川を傷つけることを忘れない、さすが俺。
「俺と由佳里は幼なじみなんすよ」
「ああ、そう」
なるほど、でも幼なじみで好感度40%ってすげーな…お前なにやったんだよ…
「じゃあ真太郎君!アドレスと番号教えてくれ!部活など色々連絡を取るときに、知らないと不便だからな!」
「いいですけど…」
色々ってなんだ…?まさか部活以外でも連絡してくる気じゃあるまいな、やめてくださいよ?勘違いしちゃうから。
「あ!私も!シンタロー、いいよね?」
「おう、もちろん!」
おお、まさか杏奈のアドレスが俺の携帯に…
赤外線を向かい合わせ、連絡先を交換する、感動で手が震える、…くそ!静まれ俺の右手!
ピロリーンと音が鳴り、交換が終わったことを告げる。画面に新しい連絡先が表示される。
[西條杏奈] [相川隼人] [原由佳里]
…あれ?
相川に目線だけで説明を要求する。
「俺のも交換しときました!いつでも呼んでくださいっす!」
俺は飛び後ろ回し蹴りを叩き込む、親指たててんじゃねぇよ!
「いやー、真太郎君がバカの相手してくれると楽だね~」
相手をしているつもりはない、むしろ駆逐したい、一匹残らず。あれ、一匹しかいないか。
「それじゃ、また後日!頑張ってくれ!」
そう言って由佳里はダッシュで帰っていった…なんでもありだなこの人。
「では俺も、アニキ、頑張ってください!」
いやだから速いなこいつ、もう見えなくなったぞ。大体なにを頑張るってんだ。部活なら頑張る気はないけどな!
「凪君!西條さん!」
「ん?」
「あっ!」
声をかけてきたのは身長150センチジャストの女性だった。
「ダメですよ!先生がいない間に抜け出そうとするなんて!」
そう、この「小学生?」と最初は誰もが思う人はあれだ、最近のアニメとかに出没する「実年齢に対して体と精神年齢が釣り合ってない大人ロリ」だ。
俺もホントにいると知ったときは驚いた。
由佳里と相川が逃げたのはこれか。
「いや、違うんですよ、これにはわけが…」
「まったく!二人とも後で職員室ですよ!」
………これだよ、この先生、ロリだしかわいいんだけどこれだけは皆ニガテなんだよな。
この人はなし聞かないっていうか会話が成り立たないんだよ。
「だから、これは二年の先輩が…」
「とにかく補習室に戻ってください!」
「話を聞けえぇぇぇぇぇ!!」
やっぱり俺の生活が平穏を取り戻すことはないらしい…
結局この後職員室で30分怒られたし。