第十一話 狂色の夜
今回からタイトルを少し変えますねー。
さて最新話がちょっと携帯の充電ヤバイのでこんかいは前書きはここまで!あとがきもなしです!
ゆっくりしていってね!
第十一話 狂色の夜
side 秋
なんだろう?
先程から嫌な予感がする。
Mayのいう土産・・・何をたくらんでいるのかなんて俺が考えたところでわかるはずもないのだが俺の本能が思考の停止を許さずに警鐘をならし続ける。
なんだ?俺の心が動くもの・・・該当するのなら友人や家族だが家族は外国だし友人に関しては彼女は知らないだろう。まぁだれであろうと人質を取られれば無視するわけにはいかないのは確かだ。
「秋!ちょっと出てくるから!!」
でもMayならそんなことせずとも俺をつれていくことができるはずだ。
もっと俺が心のそこからグールのもとに行きたくなる土産ってことか?
・・・ん?
「あれ?・・・アリス?」
返事は無い・・・風呂から飛び出てくる音は聞こえたけどな。
そういえばなんかいってたような気もする。
なんだったんだろうな?
結局その日はアリスが帰って来ないままに終わりを迎えた。
この時俺はもっと不自然に思うべきだったのだ。
俺ですら感じることのできていた鬼の嫌な感じを・・・さして離れてもいないところにいたアリスが感じ取れていなかったことを・・・
結局アリスはその日帰ってこなかった
**************
結局昨日は案外ゆっくりすることができたので学校での調子も周りから不自然扱いされない程度には回復していた。
朝のHRの時に最近多発している破壊行為について言われたときは少しビックリしたがまぁばれてないようなのでよしとする。というかばれることはないと思いたいが・・・道路の破壊とか倉庫の屋根とか墓地とか・・・わずか二日間で壊しすぎじゃね俺?
「秋~、聞いてくれよー。」
いやいやまてまてあれは不可抗力だ、俺は悪くない。仕方なかったんだから。うんうん
「なぁー、秋~?」
いや・・・でもさすがに墓場のはやり過ぎた感じも・・・いやいやでもでも
「・・・おーい秋くーん」
力加減を忘れたのはあれだったけどなれてないのは仕方がないんじゃ無いかなぁ・・・うん。俺はそう思う、だからそうなんだ!
「ダメだこりゃ・・・愛ちゃーん!秋がなんか飛んじゃってるから治したげて」
「へ?秋が?なんで?」
「まぁいいからいいから。」
「・・・いいの?」
「いいのいいの、思いっきりやっちゃって!」
「定晴くんはゲスですね。」
「たまには俺以外も犠牲になれってなぁ、まぁいいから見てなって未琴ちゃん。」
となると本当に早めに制御を覚えた方がいいな。
このままだと日常生活にも異常をきたしそうで・・・なんか嫌な予感がする。
危険を告げるアラームをならし続ける本能に従い急いで椅子を立ち横にずれる。
「うりゃぁ!!」
ズガンッ!!!
・・・え?
・・・・・・・・・いやなんでやねん。
「あら?なーんだ、別に飛んで訳じゃないんだ。」
「なんで君そんな冷静なの?君僕の椅子砕いたんだよ?」
後ろでバカの笑い声が聞こえる。
お前の仕業か。
「まぁたしかにこれは怒られるかなぁ・・・定晴、あんたのせいよ。」
「アッハッハッハ!・・・え?今なんて」
「ほら、秋が飛んでるとか嘘ついたあんたのせい、というわけでこれよろしくね。」
といって足のつぶれた椅子を定晴に渡して定晴の椅子を俺のところに置く愛。
「え?・・・いやいやちょっと待ってくれよ愛ちゃ───」
「うるさい、よって死刑。」
「──フギャァ!!」
・・・また粗大ごみが増えた。
「なんでこんなことになってんだ?」
「気にしたら敗けですよ秋くん。」
「・・・そうか。」
とりあえず元定晴の椅子に座り気分を落ち着かせる。
今になってようやくわかったが強化されたのは身体能力だけではないらしい、いや身体能力だが外面ではなく内面の強化。
感覚や反射神経、動体視力なども上がっているようだ。
何よりも第六感というべきか危機察知能力も上がっている。
まぁこれはアリスに聞いたら死に近づいたからーとか言われそうだが。
「ふぅ、存外しぶとかったわねあの虫。」
「おつかれー、てか結局なんで襲われたの俺。」
そう素直な疑問を口にすると二人が顔を見合わせる
「「定晴のバカのせい」」
うん詳細はわからないけどそんな気がしてた
「・・・はぁ・・・一人の時間がほしい・・・」
「なにいってんの、あんた家ではいつも一人でしょうが・・・」
げっ、しまった。
「え?そうなんですか?」
「・・・ま、まぁ。妹が海外の学校に行っててさ。親父は仕事で、母さんは妹についていっていまは俺家に一人なんだ。」
「ほぇぇ、大変ですね。」
「そうでもないよ、もう慣れたからね。最近はちょっと疲れたけど昨日は休めたし」
「そういえばいってましたね。なんでしたっけ?『生きるのが大変』とかなんとか?」
「あぁ・・・まぁ色々とあったんだよ。」
本当に色々と・・・
「ふぅーん・・・ちょっと気になるわね」
「どうしたんですか愛ちゃん」
にしても・・・アリスはどこいったんだ?
「だってそうでしょ?遅刻なんかしたこともない秋が昨日はいきなり遅刻、しかもなんかすごく疲れてたみたいだし一人の時間が欲しいとかなんとか・・・これじゃまるで・・・」
ん?なんか名前が出たみたいだけどなんの話だ?
なんで未琴ちゃんは顔を赤くしてんだ?
「あ、秋くん!い、いけませんよそういうことは!まだ早いです!いや、興味があるのはわかりますけど!で、でもそういうことはよくないです、はやいです!」
・・・なんの話だ?
「いや、あの未琴ちゃん?・・・おい、愛。何を吹き込んだ」
「アハハハ!ちょっとした冗談よ。ほら未琴も本気にしないの、こいつにそんな相手がいるわけないじゃない。というかそれ以前にこいつに女の子を連れ込める度胸があるもんですかっての!ねぇ秋?」
あ・・・・・・
「・・・え?なにその反応・・・それじゃまるで───」
「い、いや連れ込んだ訳じゃないんだ!むしろ押し掛けてきたというか・・・っとそれも少し違うか?」
「~~~っ!どういうことよそれぇ!!」
いきなり胸ぐらを掴まれた
のわっ!く、くるし・・・
「あ、愛・・・離せ、く、くるしぃ・・・」
「ねぇ!どういうことよ!どこのどいつよそいつ!!吐きなさい!そらいますぐに吐きなさい!!・・・一人の時間がほしいって・・・もしかしてそいつ今も秋の家にいるの!!?」
「あがっ!・・・ゆ、揺らすな!気持ち悪い」
「いいから答えなさい!」
うぷっ・・・吐きそう。
「・・・いいわ・・・どうしても吐かないっていうなら・・・今から確かめにいけば早いわよねぇ?ねぇ?秋ぃ?」
「ヒィッ!!」
気持ち悪さとか一瞬で吹き飛んだ、そんな笑みだった。
そしてそれは不味い、今家にはアリスの洗濯物がある。ついでに俺がアリスが帰ってきたときのために書いた書き置きも・・・まずいまずい
「あ、愛ちゃん落ち着いて。今行ったら教官先生に怒られちゃいますよ!」
ナイスだ未琴ちゃん!
「・・・それじゃあこうしましょう・・・秋、あんた帰り私たちをあんたの家までつれていきなさい。」
げぇっ!! それはまずい
「い、いや今日は忙しくて───」
「あっらぁ?おかしいわねぇ?家事のせいで部活もできないあんたの用事ってなぁに?親族も外国だものねぇ・・・他からの用事なんてないはずだし・・・買い物ぐらいなら手伝うから気にしなくていいわよ。・・・さてもう一度言うわよ?秋、あんた帰り私たちをあんたの家までつれていきなさい。」
・・・まずいまずいまずい。
「あ・・・いや・・その・・・・・はい。」
こうなったら皆にばれないうちに証拠品を処理するしか・・・幸い処理するべきものはそう多くない。
基本的にアリスは自分のものを巛に収納しているし先程のべた洗濯物とアリスに当てたメモ帳ぐらいでいいだろう。アリスが帰ってたなら隠れてもらえばいい・・・勝負は玄関から居間までの廊下・・・やれる!
「ふふん、そういうことなら俺もいこう」
「うわっ!あんたもう蘇ったの?ホントにしぶといわね」
「失礼だな愛ちゃん、我が親友の自宅訪問とあらばこの俺が寝ている訳にはいくまい!久しぶりだなぁーこいつの家にいくのも・・・あ、春ちゃんの部屋って二階の右手前だっけ?」
「妹の部屋の位置なんか聞いてどうするつもりだこの変態。」
「そりゃあもちろん戦利品を──」
「・・・殺れ愛」
「当たり前よ!くたばれこの色情魔ぁ!!」
愛放った拳が唸りをあげて敵を討つ・・・かわした!?
「なっ!?」
「フッ・・・この程度か愛ちゃん!!」
「な、なんで!今のはあんたに避けられるはずがないのに・・・」
「甘い・・・甘いぞ愛ちゃん!ひとつ教えてあげよう・・・エロスは・・・限界を越えさせるのだよ。今の俺には愛ちゃんの拳が止まって見えるよ」
な、なんだと!?
「くっ!ならしかたがない、普段は使わないと決めてるけど・・・空手の型で・・・」
「甘いよ愛ちゃん。おれがどれだけ女子の部活を覗いてきたと思っているんだい?愛ちゃんの空手だって今の俺には・・・遅すぎrブベラッ!!!」
といきなり変な悲鳴をあげて顔からたおれる変態。
(な、なにが・・・)
ん?・・・あ、あれ?み、未琴ちゃん?そ、その手に持った分厚い本はいったい・・・
「そういうことはまだ早いのです☆」
・・・少々ゾクッとするものがあった。
*********
時は流れて放課後。
俺達は正門で待ち合わせ早々に僕の家に向かうことになった。
メンバーはいつもの通りの定晴、愛、未琴ちゃんに俺という四人組。
本来ならチャリで通う距離であったりするのだが愛と定晴も自転車なのでちょうど2ケツすることで足を確保する。・・・誰にいうわけでもないけれど真似しちゃダメだよ?
いつも通りの帰り道、皆と帰る今は普段よりも楽しいはずだった。
しかし再び俺のなかのなにかが警鐘を鳴らす
みんなの言葉が頭に入らずてきとうに返してしまう
(なんだ?何が起きてるんだ?)
何かに急かされた俺は自転車を漕ぐ速度をあげて家に急ぐ
「ちょ、ちょっと速いよ!どうしたの!?」
「わりぃ愛!少し急ぐ、あとでこい定晴!!」
なんだ?なんだなんだ?なんなんだ!!
何が起きてる?
「くっそ!」
家につき半ばドリフトに近い形で家の前に止めると鍵を取り出して急いで家に入る。
誰もいない家・・・アリスすらも居ないその家は不気味なほどに静かだった
「ちょ、ちょっと秋?」
後ろから愛ちゃんが追いかけてくるが返事をしている余裕が俺にはない
急いで居間へ続く扉を開けると机には紙がおかれていた。
おれが書き置きした紙とは違う・・・目にいたいショッキングピンクの紙・・・
俺は急いでそれを手に取り内容に目を通す
『拝啓 シュー君へ
本日はお日柄もよく・・・とこれは少し違ったっけ?日本のことはよく覚えてないや、あまり来たことがなかったしねー。さてさてお待ちかねMayちゃんですよー\(^o^)/なんと今回はですね・・・素直になれないシュー君のために贈り物を用意しました。是非受け取ってくれると嬉しいなー。私はいつでも待っています。といってもずっといることはできないため今週中はずっといるつもりです、場所は昨日あったところでいいよね?いい返事をお待ちしております。
敬具Mayより・・・あれ?最後って敬具であってるよね?』
・・・贈り物?ふと目線を上げれば家族の写真を貼ったコルクボードに見覚えのない写真が一枚混ざっている。
そのなかには透き通るような銀髪をもちどこか幼馴染みとにた雰囲気を持つ女の子・・・アリスが拘束された状態で写っていた
「───なっ!!?」
急いでかけより剥ぎ取る。
な、なんだよこれ・・・なんでアリスが?
「秋、秋ってば!ねぇどうしたの?」
これがお土産なのか?
「ちょっと!返事をしなさい!」
助けないと・・・でもどうやって?
「こいつ・・・あぁぁぁっもう!!い・い・か・げ・ん・にぃ、しろっての!!」
「のぅわ!!」
いってぇ・・・な、なにが
「どうしたのよ秋!さっきからボーッとしてまるでこの世の終わりみたいな顔しちゃって」
「い、いやそんなことは───」
「そんなことあるわよ!!」
・・・
「・・・ごめん、やっぱり今日はお開きだ。ちょっと出掛けてくる」
「・・・なにがあったかは教えてくれないのに随分と勝手ね。」
「・・・本当にごめんな」
「いいわよ別に。・・・よくないけどなにか理由でもあるんでしょ?ここでいかせるのがいい女ってやつじゃない?あんたはせいぜいそれを頭に入れておくことね。」
「愛・・・ありがとう。んじゃ定晴たちによろしく!」
「自転車使う?」
「いやいい、走るわ。んじゃな!」
そういって俺は走り出す。目的は港の倉庫。
日は・・・また沈む