第十話 『平和だなぁ。誰も殺そうとしてこないし誰も俺をこきつかわない・・・かと思ったら襲われた』
こーんにーちわー。
どもども野菜連合にございますです。
お久しぶりですねーええお久しぶりです。
・・・遅れて申し訳ない、
書いてるのが学校なので前書きは早めに終わらせますねー。
ゆっくりしていってね!
第十話 『平和だなぁ。誰殺そうとしてこないし誰も俺をこきつかわない・・・かと思ったら襲われた』
side 秋
「うあぁぁ・・・疲れた」
あれからもうひとつほど授業が終了したので今は昼休みだ。しかし飯を買いにいく気力すら起きない・・・
「よーう、災難だったな秋」
「よくもまぁ教官の授業中に入ってきたわね、私ならもう一時間フケてから来るわよ。」
「えぇ!?サボっちゃダメですよ愛ちゃん!」
「冗談よ、そんなマジに受け取らないでも大丈夫だから」
「冗談ですか?・・・っとそれより問題は秋君です!おサボりなんてよくないです!それに外靴で校舎内に入ってくるなんてどうしちゃったのですか?私見損ないましたよ!」
「まぁまぁ未琴ちゃん、落ち着いて」
ゲッ・・・いきなり疲れる奴らがきた
「・・・今日は厄日か」
「おいてめぇそりゃどういう意味だ?」
隣から拳をならす音が聞こえる
「だから愛ちゃんも落ち着いて!?てか秋てめぇほんとそれどういう意味だコノヤロウ」
どういう意味って・・・帰ってたらいきなり通り魔に襲われたり甦ったり家に居候ができたりトラブったり朝イチで追いかけられたり家に帰れば落とされたり学校につけば教師に殺されかけたり・・・ついでに凶暴な同級生を引き連れたバカと秀才達にエンカウントしたり・・・
「いやぁ・・・生きるのって大変なんだなぁってさ」
「秋くんはたった一日で何があったですか!?てか答えになってませんですよ!?」
・・・はぁやる気だすか。学校来たのにこんなにウダウダしてるのは良くないからな。
そうと決まれば購買で・・・今からじゃ残り物しかねぇか。
「ちょっと購買行ってくるわ。先食っといてくれよ友人方 」
「お待ちなさいな友人。ほら定晴さっさと秋の分出しなさい」
「・・・扱いに差を感じるんだがまぁいい、ホラよ。」
俺の数少ない友人たる井境定晴が手に持つビニールからパンを三つほど取り出す。
気が利くな。
「元気無さそうだったからな。何人もの屍を越えて確保してやったんだ、感謝しろよ?」
・・・なんかそういわれるとなぁ
俺はそのパンを確保しながら一応の感謝をのべる
「表面上だけありがとう」
「いや心から待てテメェ」
あん?
「秋くんはちゃんとお礼を言わなきゃダメです。定晴君は秋くんのために頑張ってたですよ?」
「そうだぜ?校内一の激戦区第三購買での俺の奮戦奮闘・・・見せてやりたかった」
「んで?本当は?」
「愛ちゃんが取ってきました・・・っ!?しまったです。」
「な、何でばらすのよ!黙っといてってあれほど」
なんと!これは暴力的女子日本代表の第二友人の日田鞠愛が取ってくれたらしい。その腰まで伸ばした綺麗な茶髪の戦神に沈められた男の数は数知れず。歩いたあとには草木一本残らないという
「あ、でもでも!定晴君も頑張ったですよ?」
「ンニャその通りだぜおれも頑張ったことに変わりは───
「参考までにのべると俺は結果を重要視する人間だ。」
───さすが愛ちゃんだな!!」
はぁ・・・それとさっきからやたら丁寧に喋ってる小さな女の子が第三友人の梨川弥生ちゃんである。このグループの良心的存在であり成績優秀な参謀でもあるのだ。
勉強ができない俺らとつるんでることが不思議なくらいの優等生である
「とまぁほんとにサンキュな。マジで感謝してるよおまえら。」
「おう、気にすんなって。」
「べ、別に!未琴がかわいそうだっていうから仕方がなく・・・」
「はいはい、ツンデレ乙」
あ・・・
「なにかいったかしら?」
・・・遅かったか。愛の手によって恐ろしい速度で地面に捩じ伏せられた定晴・・・ちなみに途中の過程は見ることが叶わなかった。
「・・・秋くんも愛ちゃんも素直じゃないです。」
「だから俺はちゃんとお礼をいったろうに。」
「む・・・だから私は別にそんなんじゃないってば!」
さすがの愛も女の子には手を出せないのだろう・・・弥生ちゃんずるい
「まぁバカはほっといて飯を食おうぜ」
「そうね、運動したからもうペコペコよ」
「え・・・いやあの定晴さんは?」
ん?弥生ちゃんは不思議なことを言うなぁ
「「ほっときゃ復活するからそこに転がしときゃいいんだよ(のよ)」」
愛が僕に被せるように同じことを言う
「・・・ごめんなさい定晴君。弥生は数の暴力に屈します」
ちょっと疲れたように・・・それでいてとても申し訳なさそうに床に伏した定晴に謝る弥生ちゃん
「ちょ・・・まっt───ふごっ!!」
定晴の言葉は最後まで紡がれない。このメンバーの良心たる少女にまで見捨てられてショックを隠せない定晴が上げた顔に定晴が自分用に買ってきた『丑三つ時の黒茶』という名前の2リットルのペットボトル飲料が直撃したからである。犯人はもちろん泉暮の番長愛だ。
「あーらごめんね定晴。ゴキブリがいたからあんたの飲み物で潰しちゃった」
・・・悪魔のような番長だった。弥生ちゃんが震えている
「とりあえず食うか。っておいおいプレミアム焼きそばパンじゃねぇか・・・よくてに入ったな。」
この学校の戦場とすらいわれる購買のなかでも一日五個限定のこれは商品のなかでも1、2を争う人気だ。
「ん?なにそれそんなすごいもんなの?確かに他の時より飛びかかってくる有象無象が多かったような気がするけど・・・」
「いやあれはもうそんなレベルじゃなかったように思ったのですけど・・・」
「ほんとにいいのか?」
ちなみにこのプレミアム焼きそばパン・・・内容は焼きそば、牛カツ、天ぷら、テリヤキ、チーズ、生ハム、ケバブである。
牛海老鳥豚羊という恐ろしく重いように感じるこのパンだがなぜか食べてみると欠片も重さを感じない・・・らしい。これぞマジックといえる
「あんたのためにとってきたんだから当たり前でしょ。それくってシャキッとしなさい」
「そうなのですー。それ食べて元気出すです!愛ちゃんの愛情入り───」
弥生ちゃんがなにかを言い切る前に風が吹きすさび弥生ちゃんをさらっていく・・・横を見ると愛がいないので恐らくあいつの仕業だろう。
・・・はて?なぜだ?・・・というかこの机の上に広げられた弁当やら戦利品の数々はどうしたらいいんだ?
僕はそう思いながら考えることをやめた
「ま、いっか。さっさと食っちまおう。」
にしてもアリスが言うのもわかるわ。確かに今まで考えもしなかったけど食ってのは案外大きな娯楽なのかもな。
そんなことを考えながら復活した定晴や顔を真っ赤にして帰ってきた愛、ニヤニヤしながら遅れて帰ってきた弥生ちゃんと賑やかな昼休みを過ごしたのだった。
時間は流れに流れて放課後
またMayと会うのも嫌なのでアリスの言う通り寄り道せずに帰ろうとしたところで部長につかまった。
俺は前述の通り陸上部に入っている、得意は短距離走で自分で言うのもあれだけど部内でも優秀な成績をおさめていた。とはいってもそれは過去の話・・・今では幽霊部員だ。それをもったいなく思ったのかしょっちゅう部活に顔を出すよう言ってくるのが我らが陸上部部長、坂月渚先輩だ。事情を知っているので強くはいってこないがそれでもやはり陸上を続けてほしいという気持ちがあるようだ
そんなわけで俺は今・・・
「喜佐見、陸上はいいものだ。常に己の限界に挑戦し自分を高めることができる。陸上とは残酷なものでな・・・他のスポーツとちがい記録がいちいち正確だ。相手に相性はなく自分との勝負になるしとても辛い・・・だかそうやって出した記録は自分が越えるべき壁として、自分を高める為の目標として存在する。私はな喜佐見・・・陸上競技ほど自分を知れるものはないと考える。どうだ喜佐見?陸上・・・やってみないか?」
坂月先輩より直々にご高説を受けている
坂月先輩は毎度のごとくこれを言ってくる。正直一言一句たがわず覚えてしまいそうなぐらいに言われている。
いつもはこの誘いを
『すいません坂月先輩・・・今は自分探しよりもタイムセールが先です』
何て言って断るのだが・・・今の僕は少しその言葉に惹かれていた。
昨晩アリスに話を聞いたとはいえ結局のところ自分がなんなのかの答えに納得することができていない。
まぁ分類上はシードということになるんだろう。名前は喜佐見秋性別男・・・だがそういうことじゃないんだ。
今までのような平凡に生きて無難に受験、普通に就職して異常なく結婚し問題なく老後を過ごし何事もなく死んでいく・・・そんな普通の人間をやめてこれまでの自分を失った俺は人生・・・ではないかもしれないが生きる道に迷っている。
たまには参加してみるのもいいかもなぁ・・・
「・・・そうですね・・・久しぶりにやってみようかな。」
そう結論を伝えると坂月先輩は目の前で固まってしまった
・・・?
「どうかなされましたか?」
「・・・ハッ!?い、いやなんでもない。ただ珍しいと思ってな。よし、思い立った日が吉日、善は急げともいうほら走れ!さっさといくぞー!!」
・・・なんなんだろう。
というか・・・俺はどれくらいの力で走ればいいんだろう?
「わかってますから引っ張らないでください先輩。」
そうして僕はトラックまで引き摺られていくことになった。
部室でおいてあった部活着に着替えて準備運動や慣らしをしてから軽く走ってみたが途中力加減をミスって記録がおかしなことになったり、また先輩が騒ぎだしたりと色々あったが特に何事もなく部活は終わり俺も日常を感じることはできたものの肝心の自分探しはできなかった。
「すっかり遅くなっちまったな。・・・まぁ寄り道じゃねぇしセーフってことで」
自分でいってて苦笑いしそうになる発言だが急にそんなことをすれば回りからの評価は変人で決定されてしまう
、表情筋を全力で固定した。
「・・・まぁ一応近道していくか。」
そう一人呟いて町の大通りから離れるように体を反転。狭い路地を通り抜けて朝Mayを殴り飛ばした公園を通り家にまっすぐな道を選んで進んでいく。
正直ここはあまり使いたい道ではなかったりする。
理由は簡単でこの先にある墓地が不気味なのだ。
高校生にもなって何をと思うかもしれないが本当にあそこはおかしい・・・墓地の松の下で首を吊る人は後を絶たないらしいしその顔はこの世の地獄をみたかのように恐怖に染められたまま固まっているのだという。
これだけの理由でそう思うのは不思議かもしれないがまぁもちろんそれだけではない。これは僕だけのことらしいが・・・あそこを通ると体が熱くなるのだ、疼いて堪らない。
知らない俺がなにかを求めてるようにあの墓地に反応するのだ
墓地が見えてくる
やはり体は熱を持ち始め僕の体じゃないかのように制御を外れ震え始める・・・それも恐怖ではなく歓喜に染まった震え方。
やはりおかしい・・・
「さっさと帰ろう」
そう結論付けて少し屋根をわたろうと少し足に力を込めた段階でそれは来た
月明かりが照らすこの墓地沿いの道・・・そこにある僕の影の上に何か別の影が上塗りされたのを霊になって強化された僕の両眼が捉えた
「──ッ!!」
僕は足にいれた力の方向を変えて横っ飛びに墓地に突っ込むようにその影から外れる
瞬間凄い硬い落下音とともに何かの飛び散る音が聞こえた。
恐る恐る振り替えればそこには綺麗に磨かれた面が見え隠れする石の残骸が散乱していた。
砕ける前はずいぶん大きかったのか集めれば子供ぐらいの大きさにはなりそうだ・・・
「なんで墓石が───グゥッ!!?」
言葉を最後まで紡ぐことはできなかった。突如後ろから加えられた巨大な圧力。
地面に叩きつけらることでようやく目撃することができた・・・この墓の主・・・俺のこの不思議な震えの理由。
「──グール!!」
俺の目の前にはその丸太のような腕で俺を地面に捩じ伏せている巨大な鬼がいた。
回りには青白い炎のようなもの・・・あれはどこかで見た記憶がある・・・どこだ?
とっても馴染み深いような・・・人魂みたいな形?
そういえばMayにきられたとき胸から同色の靄みたいなものが出ていたような気もする。
つまりあれは魂ってことか、そりゃ馴染み深いわけだ。前まではあれがからだのなかに入ってたらしいからな。
・・・しまったなんか落ち着いちまったけ状況的には俺ピンチなんだっけ?
現に目の前の鬼は俺を縫い付けているのとは反対の腕を構えて・・・ってヤバッ!!
いまだに自分の巛がなんなのかすらわからないがそれでもこれぐらいならば腕力だけで軽く押し返せる。・・・正直みたまんまパワータイプの鬼のこの力を軽いと思える時点で俺はどうにかなってしまったようだ。
「ま、とりあえず・・・どけ筋肉だるま」
地に捩じ伏せられたまま強引に腕を持ち上げ鬼の手と自分の間に隙間を作るとそこに足を滑り込ませて蹴っ飛ばす・・・のはよかったんだが・・・腕が消し飛んだ。
いやそりゃもちろん鬼の。・・・力ありすぎだろ・・・迂闊に全力出せねぇ・・・てか朝より力上がってねぇか?
「UGYAAAAAAAAAAAAA!!!!」
「やっかましい!!近所迷惑だろうが」
そのままネックスプリングの要領で起き上がり勢いを利用して鬼の顎目掛けてジャンピングストレート。
さすがに手加減したが今度は力が足りなさすぎたらしい
(・・・やっぱり難しいな。)
鬼は口から血をダラダラと流しながら自分の回りに浮いている人魂を掴み口元へ運ぶ
「・・・っておい!!なにして───再生した?」
鬼がその人魂を喰った瞬間ひしゃげていた顔はもとの輪郭を取り戻し消し飛んだ右腕が傷口からはえてくる・・・まじかよ。
俺の驚いた様子を見て幾分か余裕を取り戻したのか暴れるのをやめて再び拳を持ち上げる。
もちろん不意討ちでもなければあと程度の拳わけなく避けられるのだが・・・降り下ろされた拳は先程よりも力が増しているように見えた。
(あの人魂を食うと力が出るのか・・・そういやグールはそうすることでレベルをあげるんだったか?)
まぁなんにせよあんまり時間を取られるわけにもいかないし墓場がボロボロになってしまう。
人魂を食べてパワーアップするというのなら食わせる間もなく殺せばいい・・・バカの一つ覚えのように拳を振るう鬼の攻撃の軌道上にあえて降り立ち拳の進路に掌を合わせておく。
結果は拳の停止ではなく粉砕だった。
何度もいうが力加減の出来ない俺じゃスマートに受け止めることなんてことが出来ないらしい。
まぁ別に何か問題があるわけでは無いしさっさと終わらせるとしよう・・・
粉砕した拳を鬼が抱えるよりも先に掴み固定する。
そのまま手首を上に向ける、そうすると目の前の巨大な影も手首の動きに合わせて持ち上がっていく・・・見た目からして数百キロは下らないこの鬼を手首だけで持ち上げられるとか・・・これはバドミントンやボーリングも気を付けなくてはいけないな。
眼前で何が起きているのか理解できず呆けている鬼はいいのだが持ち上げても特にやることはなかった。投げても叩きつけても被害が増えるだけだ。
まぁこの体制なら人魂を喰うことも叶わないだろうけど・・・さーてどうしたもんか・・・何て思っていると困惑が極限に達したのか考えることを放棄した鬼が口を開きその身を赤く染めていく・・・これは・・・炎!!?
急いで上空にぶん投げて様子を見る・・・完璧に炎を纏っている。
あれが巛か・・・Mayのもアリスのも見たけどどちらもそんな派手なものじゃなかったからなぁ・・・なんというか今になってようやく巛らしいものを見た気がする。
(どーしたもんか。・・・実力的には負けてるとは思えない・・・それどころか圧倒していると言ってもいい。問題は炎・・・一瞬だったからいまいち熱さというのがわからなかったが巛なんていうとんでもパワーの生み出した炎が普通なわけがない・・・身体能力が上がっても耐火才能が上がっているかはわからない・・・仮に上がっていても所詮元が元だ。案外ああいうのが俺の天敵なのか?まぁよくわからんけど・・・炎・・・一瞬なら大丈夫なのはわかるけど不安なものは不安なのだ・・・しゃーない。あいつが壊したんだ・・・憎むならあの鬼を憎んでくれよ誰かのご先祖様。)
心のなかで結論を出した俺は近くに転がるあいつの壊した墓石の塊を一つ掴むと案外落ちてきていた鬼に狙いを定めて全力で投擲する。
直後俺は自分の軽率な行動を後悔するはめになった。
投げた墓石が鬼を撃ち抜くまではよかった・・・というか触れる前に鬼が蒸発した。・・・だけどそんな速度でものを打ち出したらどうなるか?
答えは簡単、中学生でもわかる。
ソニックブーム・・・超々速度で打ち出された墓石は一瞬で宇宙速度に達して空気の層を突破し自身すらも削りながら多大な被害を撒き散らして鬼を消滅させた。元々いくら石とはいえそんな速度で打ち出された墓石はすぐに消滅したがそれは墓場がメチャクチャなったあとではすでに遅い。なんで俺は力加減を忘れるんだ?バカなのか?学習しろほんとに。
そうしてまるで局地的ハリケーンの痕のようになった墓場から逃げ出すように飛び出して放置されていた鞄を手に取り家に向かって力加減しつつもできる限り急いで向かう。
これは夏休みに入る前に多少アリスに頼み込んで力の制御を覚えるべきだ、少し情けない気もするが仕方がない。
そうして帰ってことの顛末をアリスに話すとあきれられた・・・やはり夜というのは霊が活発になるらしい。特に墓地なんかはそれが如実で本来僕ら霊は他の一般霊達を刺激しないように近づかないようにしなくてはならないらしい。特に近くで俺という霊が誕生したりレベル4クラスが近くに潜伏している今は大変デリケートな時期らしかった。
・・・つまり原因のほとんどが俺にあると・・・何てこったい。
とアリスもアリスで何か活動していたらしく今日はもう寝るとのこと、ちなみに風呂にはすでに入ったらしい。
それにしても気になることがあったから聞いたんだが・・・今日見た鬼の巛を見て思ったのだがアリスのアイテムボックスの様な巛でなぜレベル4クラスを相手取ることを許可されるSランクになることができたのか。もちろんそれが狭き門であることは聞いているだけでよくわかる。なんたってSランク以上のシードは今のところ九人だけなのだ・・・はぐらかされて終わってしまったが何かあることは間違いないだろう。
まぁなんにせよそれを知ったところで何かが変わるわけでもない。ただの自己満足でしかないのだからここはおとなしく引いておこう。
(それにしても・・・)
「お土産ってなんなんだ?」
Mayのその一言だけはどうにも気になる。
嫌な予感というのはよく当たるのだ・・・見逃してはいけない何かを見逃しているということだけは理解できる。
夜はまだ明けない
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数分前まで戦いが繰り広げられていた墓地の上に一つの人影・・・
空を見上げては笑いをこぼす
「ここまで強いのかぁ。適当な人間を喰ったかいがあったってもんだー。・・・フフフッ☆」
強者は一人恋慕にその身を焦がす
「あぁ・・・いいね・・・すごくいい。恋愛ってのはこんなにも私を日常から離してくれるものだったのかー。・・・これを知ってたら私もこんなのにならなくてよかったのかな?」
ようやく視線を下ろし自らの肢体を艶かしく眺める。
「・・・まぁなんにせよシュー君を手に入れるにはあの女が邪魔だ。」
途端に桃色に染まった雰囲気を『変化』させて狂気の色を覗かせる
「・・・すぐ迎えに行くからね・・・シュー君。」
まぁ当たり前の話ですが所詮倉庫な巛でレベル4との戦闘は許可されません。
つまりなにかがあるということで・・・まぁ楽しみにしておいてください。