第九話 『すまんアリス。負けてきた』
おひさしぶりですみなさんみなさんこんにちは!
しばらく更新していなかったので今回はこちらを進めることにしました。
同時に進行させることができたらいいんですけどねーどうも難しいです。
あまり多い量ではありませんが
本編どぞ!
ゆっくりしていってね!
第九話 『すまんアリス。負けてきた』
side 秋
Mayが帰ってからおれは置き去りにしてきた相棒を拾って家に向かっている。
カバンは消えていたので誰かが拾ったのだろう。
とりあえず歪んだせいで押して運ぶことも困難になった自転車に四苦八苦させられながらアリスに今日のことを報告するため家まで急ぐ
家についてチャリを止めるがいなや衝突する勢いで扉をあけ靴を脱ぐのももどかしいといったようそうで家に入っていく。
もちろん靴を脱いで入るし衝突もしてないのだが・・・
「アリス!!!」
名前を叫びながら居間の扉をあける
目の前にはたいそう呆けた顔でテレビのエクササイズをやっている銀髪の少女がいた。
格好は英語のロゴが入ったピンクのシャツにホットパンツ・・・朝出ていくときとは違いすごいラフな感じだ。
「・・・・・・なっ!?」
一瞬で顔を百面相させたのち最終的に呆れた顔に落ち着く。
「・・・学校はどうしたの?」
「いや道中Mayに襲われた。一応報告のためともう授業始まってるから諦めて帰ってきた。」
「ふーん。Mayがねぇ・・・まぁなんとかなったみたいだし大丈夫じゃない?とりあえず街中にいればあいつも手が出せないわよ」
「街中で襲われた俺はいったい・・・」
「おおかた逃げ回ったあげくどんどん人気のないほうに逃げていったんでしょ?Mayはそんな民衆の目があるところで巛を使わないもの。いい?秋、Mayはゴーストになったばかりの新参が勝てるほど優しい相手じゃないの、ましてや巛が使えないならなおさらよ。さすがに挑んだわけではないだろうけどもう一度死にたくないなら回りを犠牲にしてでも帰る意志をもつか逃げおおせるだけの力と知恵をつけるかしなさい。」
「その事なんだけどな」
「なによ?」
「いや、Mayが言ってたんだ。『私の目的は君を連れ帰ること』的なことを。でも俺ってシードだぜ?無茶苦茶じゃないのか?てか俺なんか捕まえてどうするつもりなんだ?」
アリスのお小言を聞いて少し疑問をぶつけるとアリスはとたんに考え込んでしまう。ブツブツと聞こえる呟きに強化された耳を傾けると『まさかMayの捕食は初めから狙われたもの?たしかに偶然にしては調子のよすぎる話だけれど・・・なんにせよ特殊ケースを渡すわけには・・・というか狙うのはなぜ?何かある?いやいや昨日の夜から朝にかけて観測した魂は既に普通のシードと変わらないことになっていた。確かに魂の総量と濃度はすごくても結局はそれだけの・・・』なんていってるのが聞こえてくる。にしても何をいってるのかわからんな。
少し待つと自分の中で結論が出たのか俯かせていた顔を上げてまっすぐにこちらに向き直る
「一応シードをグールに変えることはできるわ。私たちが何よりも嫌い、そして本能的に望んでいることだから。」
「本能的に望む?」
「私達シードやグールに食事は要らないといったわよね?」
「あぁ、体がないから。」
「そう、でもMayはあなたを食べたでしょう?」
「・・・そうだな。つまり燃料は要らないけれどそうじゃないものとして魂を食べてるわけか。んじゃあなんのためにそんな人を殺してまでそんなことをするんだ?」
「目的はいくつかあるわよ、1つは単純に仲間を増やすため。いったと思うけどグールに食われて霊体化するときはほとんどが異化してしまう。だから自分達の勢力を増やそうと思ったらそこらの人間から適当に食らえばいいのよ」
「んじゃあ俺は運悪くそのそこらの人間に該当しちまったのか?」
「いいえ。秋の場合は別・・・グールが人を食べる二つ目の理由は力をつけるためよ。グールにlevelがあるのは話したわよね?というか人の魂を食べて成長することも言ったわよね?つまりはそういうこと。もちろん魂の質が良ければよいほどその力は上がっていくし味も良くなる・・・秋が狙われたのはそれが理由。」
魂の質・・・ねぇ?
いきなりいわれても自分ではよくわからないのだが・・・
「魂の量は若ければ若いほど多く年を取ればとるほど濃くなっていく。若さは活力、長生きは経験。だから本来そんなに生きていない秋の魂がそんなに濃いはずがないのだけれど・・・まぁいいわ。また考えることが増えて少しまいっているのだけれど・・・続きは帰ってからにしましょう。」
「考えること?なんだそりゃ」
「あぁ気にしなくていいわよ?それより靴を履いて鞄を持ちなさい」
「え?」
「いいからはやく。」
「嫌でも俺鞄無くしちゃったんだけど」
「それならここにあるわよバカ。」
そういって鞄を投げ渡すアリス
「それよりも早く靴よ靴」
な、なんで靴?
「ちょ、わかったから押すな!・・・ったくなんなんだよ。」
なんでかはわからないがとりあえず言うことを聞いておく。
「それで?靴を履いたらどうすればいいんだ?」
「なにもしなくていいわ、たってるだけでいいのよ。住所は昨日確認したしMayを追い込むときに地図を覚えたから間違いはないでしょ。あ、着地はちゃんとしてね?さすがに現物を見てないからどこに飛ぶかわからないわよ?」
「・・・?なにをいって───
おれの口がその先を紡ぐことはなかった
「いってらっしゃーい!ついでにいうと晩御飯は和風がよかったりして☆」
アリスか
そういいながら俺に手を振ると足下に突然黒い穴が空き何かをする余裕もあたえず俺を飲み込んだ
「え?いや!ちょ!?」
必死に手を伸ばすも掴むのは空気ばかり・・・最終的には全身が穴に飲み込まれ落ちていった
「ったく、次から次へと問題を持ち込んでくるなっての」
再度誰もいなくなった家で一人アリスが呟く声が響くのだった
*******
場所は変わって市立泉暮高校屋上。
───のわっ!?」
ドスンッ!という音とともに何かが落下してきた。
もちろん秋である
「いてててて・・・ん?ここは・・・学校?」
そう。ここは学校、秋が通っている高校の屋上なのだ
「な、なんで・・・ってアリスか。」
状況把握もそこそこに鞄を持って教室へ向かう。
もうここまできたならば仕方がない、遅刻ということにして今日は出席することにする。
屋上をでて階段を降り廊下を曲がり途中の扉の前で止まる
見上げれば『2-B』という表札が目にはいる
深呼吸をして呼吸を整えてから思いきって扉の取手に手を触れ思いきり引く。同時に足を一歩踏み出し高らかに声をあげる
「遅れてすみませ───ん!!?」
言い切る前に目の前からチョークが飛んできた
前までなら飛んできたことにも気づかず眉間への直撃コースをそのまま受け止めるしかなかったのだがいまはちがう・・・見える!見えるぞ!
高速で飛んでくるチョークの腹に手を合わせ閉じる。
───勝った。
声援をあげる皆に答えながらも勝者の顔で先生の顔を見る
首の角度を変えた瞬間眉間に走る衝撃・・・狙撃主による第二射が僕の頭を撃ち抜いた
「学校についたのならばさっさと教室にはいれ靴をはきかえろチョークを無駄にするな」
地に倒れ付した俺に上から声が降ってくる。
少し頭を持ち上げてそちらを降りあおげば驚くほどの美人が目にはいる
触れれば切れるような雰囲気を醸し出す彼女は芦村 切。到底女の子につける名前とは思えないのが彼女のなま───ひぃっ!!
第三射が顔の横を通過して地面に突き刺さる
「喜佐見・・・なにやらおかしなことを考えてはいまいか?」
「め、滅相もございません芦村教官!では早速靴をはきかえてまいります!」
うちの担任でありちょうど今やっている古典の授業を受け持つ彼女は親しみと敬いと畏怖を込めて『教官』と呼ばれている
俺は手にもつチョークを教卓の上に置くと逃げるように教室をあとにする
「喜佐見!!廊下を走るなっ!!」
「すいません!!」
それ以降は止まることなく下駄箱へと駆けていった
ど、どうでしょう?
とりあえずしばらくはもうひとつの作品と交互に書いていきたいと思います。
是非もうひとつの作品も見ていってください!では!