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第4話 左側の体温

それからも私は、先生と少しずつ会話を増やしていった。


そして気がつけば、教育実習が終わるまであと一週間。


先生がもうすぐいなくなってしまう。


そう思うだけで寂しかった。


あのドラマも、前回に続いて見ていた。


教育実習生。


その言葉が出るたびに、なんだか切なくなる。


来週このドラマを見る頃には、もう先生はいないんだ。


そんなことを考えるだけで胸が苦しくなった。


また明日、先生と話そう。


そう思いながら眠りについた。


翌日。


部活が終わった私は、いつものように体育教官室へ向かった。


ノックをすると、先生がいた。


先生の顔を見ただけで、疲れが吹き飛んだ気がした。


先生は何やら作業をしていた。


明日の授業の準備らしい。


忙しいのかなと思いながら声をかけると、先生は笑顔で言った。


「ちょうど終わったところだから大丈夫だよ〜。座りな〜」


私は先生の向かい側に座った。


真正面で向かい合うと、なんだか急に緊張してくる。


でも先生はそんなことも気にせず、いろいろな話をしてくれた。


先生はこの高校の卒業生で、高校時代は野球部だったこと。


今も大学で野球を続けていること。


大学生活のこと。


将来のこと。


先生の話はどれも面白かった。


そして先生は、とても熱い人だった。


スポーツに対する思いが強くて真面目で、一つ一つの言葉に説得力があった。


私もバレーに対する気持ちは強かったから、先生の話を聞く時間が好きだった。


たくさん話をしてくれる。


たくさん笑ってくれる。


もしかしたら、自分だけ特別なんじゃないか。


そんなことまで思ってしまった。


楽しかった。


本当に楽しかった。


しばらくして先生が時計を見た。


「そろそろ遅いし帰ろうか」


本当はもっと話していたかった。


でも迷惑はかけたくない。


私は小さく頷いた。


「はい」


先生と並んで玄関まで歩く。


いつもなら何とも思わない廊下なのに、その日は少しでも長く続いてほしいと思った。


先生は玄関で立ち止まると、


「また明日。気をつけて帰ってね」


と言ってくれた。


また明日。


その言葉を聞けるのも、あと何回だろう。


そう思うと胸が締め付けられた。


先生と別れ、一人で歩き出す。


さっきまで隣にいたはずなのに。


私の左側の体温だけが、少しずつ下がっていく気がした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


楽しい時間ほど、終わりが近づくと急に切なくなりますよね。


この頃の私は、先生と話せる時間が当たり前のようでいて、実は限られた時間だということを少しずつ実感し始めていました。


次回も読んでいただけたら嬉しいです。

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