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憧れの悪役令嬢に転生したからと言って、悪役令嬢になれる訳では無い!!  作者: 瑠美


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24/32

24.お客様

「ルミ様っ!」


ニーナに起こされて、私はグダグダ支度中。


使用人には昨日の家出案件はどう伝わっているのか分からないけど、屋敷の空気は妙に平常運転だった。


「………。」


気が乗らない……。

なんでこんな支度してるかって、レオンの友達?が来るんだって。

婚約者もぜひ同席をって、


昨日の今日で?

ましてやこの状況で??

婚約者って紹介するの???


この気持ちを整理して、屋敷を出る気でいたのに、婚約者としての仕事はその時まできっちりこなしてもらう。ということなのだろうか……。


私がモヤモヤぐだぐだしている中、ニーナがテキパキと、支度を仕上げてくれる。


コンコン。

迎えが来たようだ。


「ルーミエール様。ロベルトでございます。ご準備はいかがでしょうか?」


「今行くわ。」


扉を開けると、ロベルトが頭を下げて待ち構えていた。


「ご案内致します。」

そう言って、頭をあげると、先導して歩き始める。



コンコン。

「失礼致します。ルーミエール様をご案内申し上げました。」

ロベルトが扉を開け、どうぞ。と、中に促した。

客人は既に到着しているようだった。


気まずい……。と思いながらも、俯きながらソファーに向かって歩いていく。


こちらに背を向けているレオンがソファーから立ち上がる気配を感じる。


「ルーミエール。こちらが、俺の古くからの友人。ラルフだ。」


私はゆっくり顔を上げる。


レオンの前には黒い長い髪の紳士が立っていた。

「!!っ!………。あっ………んえ?!…」

挨拶より先に変な声が出た。


いや。だって、そこには、昨日。いや?既に今日?どっちでもいいや。助けてくれた、あの男性が立っていた。


どとど。どうしたらいいの!?


私が困惑して固まっていると

ラルフは私の目の前まで歩いてきて、すごい近い距離で手を握り、口元に近ずけると、チュッと挨拶のキスをする。


ちちちち!近すぎません?!


そのままグッと手を引かれ、耳元で囁かれる

「僕ではダメかな?」


えっ?!どういう意味っ?


私の脳内はパニックだ。

パニックすぎて、気まずいとか、気が重いとか、そんなんどっかに吹っ飛んで行ってしまった。


ラルフは、私を片腕に抱き入れたまま、レオンに向かい、

「レオン。君が随分前から探してる愛しの君は見つかったかな?見つかってたら嬉しいんだけど……。」


ラ……ラルフさん……。どーいう状況です?これ?


レオンは何も言わなかった。

髪に隠れて、表情を伺うことも出来ない。


ラルフは続ける。

「人の婚約者に手を出すなんて世間体が悪いからね。君が想い人を探したらどうせ、彼女とはサヨナラ。そういう話だったね?では、それまでずっと縛り付けておくのかい?君の都合だけで。」


「彼女が昨日、目を赤らめてここから逃げ出してきたのは君が原因なんだろ?」


当たり前だけど、色々全部バレてる!!でも、まぁ、そうだけど……そうではなくて……。

アワアワ


「僕は、彼女をきちんとした婚約者として迎えたい。ダメかな?」


ええっ?


どーゆー話の流れ?

修羅場?いや……?

レオンは婚約者という名目があればそれで良くて、別に私でなくてもそれは務まるわけで……。


あぁ。でも、世間体的にどうなのって話か?

うーん……ラルフさんっ?一体何を考えておりますの!?


私がラルフを見上げると、ラルフは、こちらの視線に気づき、

「僕は本気だよ?」

と、真剣な眼差しで私を見つめた。


「わかった。」

レオンが静かに口を開く。


「婚約を解消する。君は今日から自由だ。今まで……すまなかった……。」


その先の言葉をなにか言いたそうにして、奥歯を噛み締めながらレオンは俯いまま、目が合うことは無かった。


言葉にすれば実感するわけで…。

悲しい…。

今まで私が一喜一憂したものは、全て偽りでしたっていうのを、突きつけられてみると、心の中がグチャっとなった。

辛い……。


ラルフは、私の手を引き、

「じゃぁ、そういうことで。」

と言って、そのまま玄関へ歩いていく。


えっ?!ちょっとまっ……


振り返ると、レオンが少し悲しそうな顔でこちらを見てた。


私はそのままラルフの乗ってきた馬車に乗せられた。


「あのっ!!!」


私は、流されるだけ流されてここまで来てしまった流れを止めた。


「ん? 今朝送っては来たものの、あの家に居るの気まずいかな~?と思って連れ出したんだけど……。」

ラルフがサラリと言ってのける


その通り過ぎて反論の言葉も出ない。

私は大人しく俯くことしか出来なかった。

私がどこにいても、何をしても、きっとレオンの気持ちは変わらない……。


ラルフの屋敷に着くと、用意された部屋に通される。


「ここを自由に使ってくれて構わない。荷物は後で運ばせよう。何か必要なものがあれば使用人に言ってもらえれば手配する。」


そう言って、ソファーに私を座らせると、自分も隣に腰を下ろす。


昨日の今日で、私の人生が一変した。

いや。この世界に転生した時点で既に一変はしてたんだけど、それはさておき。


もぅ、これで本当にレオンとは、何の関係もなくなったんだ……。

私、ちゃんとレオンのこと好きだったんだ…。

そう思うと、どんどん悲しくなってきた。


ラルフは私を抱き寄せると、

「そんな顔しないで?とりあえず、お試しで僕と付き合ってみるってのはどうだろう?」

っと耳元で囁く。


まってっ!ちょっ……距離感近くありません?!

私は、ぎこちなく手をすり抜けてラルフを見つめる


「私を可愛そうだと思って、慰めるために言ってるのなら…」


そーゆーリップサービスはもぅ要らない。

恋愛に免疫がない私は、どれがホントの言葉で、どれが建前かなんて分からない。


言葉の通りに、その行動に、また勘違いをしてしまう……。


「いや?半分は君とレオンへの興味からだけど……。」


興味?!結局、そーゆー感じなんだ……。


でも、ラルフの真剣で少し甘い視線は、まっすぐ私を見つめた 。


「半分は、『本気』だよ?」

真剣な声色にドキッとする。


この人、本気モードだと、色気と距離感が半端ない……。


「君、本当にルーミエール?」

「はい……。」


「……。まぁいいや。じゃぁ、なんて呼べばいいかな?」

「……ルミ。で」


すると、ラルフは、ニコッと柔らかく笑って顔を近づけ、耳元で

「ル・ミ?」

と甘く囁く。


ととと……糖度高くありません??

私はとっさに体をそらし、ニヤケ顔を隠しながら、「は…はぃ?」っと、距離をとって小声で答えた。


「ふふふっっ。ふハハッ!!」

ラルフはいきなり笑い出した


「どうしよう。ほんと、君には興味があるな~。」

ラルフは天を仰ぐと、片手で顔を覆い、その指の隙間から私を見つめる


「本気で僕と婚約する気はない?」

「………いえ…。」


「ん~わかった。1回僕とデートしようよ。僕のことも知ってもらいたいし、ルミのことも、もっと知りたい。ね?」


そもそも、このバグった距離感がいけない!!

いちいち色気のある声色に、耳がソワソワする。


「レオンとはどんなところに行くんだい?」

「……。」


無い。

そんな2人でどこかに行った記憶なんて………無い。


「??」

二人の間に沈黙が流れる


そして、察しのいいラルフが言った

「まさか、デートしたことないの?」

その通りなので、コクリと頷いた。


「あ~~~~~………。」

ラルフはなにか深々と納得したようだ。


「わかった。とりあえず、どっちがいいか選んでくれるかい?誰もいない大自然か、人がわんさといる街中。」


「………街中で。」

私はとりあえず2人っきりは、なんか耐えられない気がするから、人がいっぱい居そうな街中を選択した。


「了解。じゃ、明日……」

そう言って、ラルフはソファーから立ち上がる。

私も自然と立ち上がって見送る姿勢をとると、

ラルフは、私に向き直り、片手を手に取ると、そのままぎゅっと引っ張った。


わっ!!


バランスを崩してラルフにもたれ掛かるように体を預けると、ラルフは、耳元で、

「明日まで君と離れるのは名残惜しいが、今晩は、君のことを考えながら眠りにつくとするよ」

と囁き、首元にチュッとキスをして私を解放した。

私は自然と首元に手を触れる。


「おやすみ」

そう言い残してラルフは部屋を後にして行った。


パタンと、ドアが閉まると、私はストンとソファーに崩れ落ちた。


明日……ずっとこんな甘々なんです?

今まで冷たい視線や、使用人にまで冷遇された扱いしかされてこなかったので、免疫が……。


顔が徐々に熱を帯びていくのを感じる

パタリとソファーに横になると、顔を両手で覆った。

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