22.帰宅
扉を静かに、こっそり開けて、ひっそりと中の様子を見ようと覗き込むと、何故か、そこにはレオンがいた。
えっ!?なんで??
こんな夜が明けるか明けないかって時間に?
タイミングよすぎません?
いや。悪すぎません?!
レオンはハッとした顔をして、勢い良く扉に手をかけた。
私は焦ってドアノブを力いっぱい引っ張り、扉が開かれるのを阻止する。
まだ顔を合わせる心の準備なんてできてない
っ!
言い訳がっ……言い訳の準備っ…がっ……!!
すると、扉を引く力がふっと緩んだ。
代わりに、静かな声が届いた。
「すまなかった。ルミ。君が無事に帰宅したことに今は安堵している……。」
あ……。
レオンの気配が遠ざかっていくのを感じ、
私は改めてそっと玄関の扉を開けた。
シンと静まり返った吹き抜けの天井。
目の前には螺旋を描く階段が目に入る
転生初日、体調が悪いくせに見事に迷子になったものだ。
その時に私を見つけて、助けてくれたのはレオンだった。
そんなことを思い出しながら静かに扉を閉めた。
扉の脇には一脚の椅子。
そして、毛布がぽとりと床に落ちている。
まだ、温もりの残るその毛布を拾って椅子の背もたれにかける。
もしかして、ずっとここで待ってた?
辺りを見渡しても人の気配がしない。
屋敷の中をトボトボと歩いて部屋まで向かう。使用人はどこにも居ないようだ。
不思議だ。
いつもは、誰かしらに監視されて、陰口を耳にし、
嫌がらせのような扱いには、それっぽい小言を発しなければならなかった。
婚約者が家出して朝帰りとか、格好の餌食だと思ったんだけど……。
部屋に着くと、ベッドメイクがされていた。
ポフンっと横になって、ぼんやりと天井を見つめる。
これから、どうしよう……。
考えることを放棄するように、ゆっくりと瞼を閉じた。




