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憧れの悪役令嬢に転生したからと言って、悪役令嬢になれる訳では無い!!  作者: 瑠美


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2.転生した私は

パチッ。


目が覚めると、見たことの無い天井が視界に拡がった。


金の糸で繊細に刺繍された天蓋、タッセルの揺れるカーテン。まるで映画の中みたいな豪華な部屋。



何ここ!!?


すると、隣から男の人の声がする。

「お目覚めかい?ルーミエール」


ルーミ……?えーる??

どこかで聞いた名前。ってか。誰??


私は体をおこし、キョロキョロ見回す。


隣の声の主は、ベッドの縁に乗り上げると、自分の栗色の髪をサラリと整え、胸元のボタンを外しながら距離を詰めた


ギラついた視線に身の危険を感じる

「あっ……。ちょっと…待っ……」

私は後ずさりすると、窓ガラスに映る自分の姿が目にはいり、その見慣れない姿に驚愕した。


ブロンドのウェーブヘアに、胸元がぱっくりあいたワンピースドレス。

そして、ルーミエールという名前。


それは、私がさっき読んでいた小説の主人公、悪役令嬢そのものだった。


「こ、この私に気安く触れられると思って?」

咄嗟にそれっぽいセリフを吐いてみる


「君が誘ってきたんだろう?」


えっ……ちょっと待って。そんな話なの!!?


「何を勘違いしたか分からないけど、あああ…あなたに興味はないわ。」


「………チッ……」

男は舌打ちしてベッドから降り、上着を掴むと、

「そーゆーつもりで呼んだんじゃなかったのかよ」

と、吐き捨てて部屋を去っていった。


た……助かった……。


私はとりあえず状況を整理した。

小説通りなら、私はルーミエール。

使用人に悪態をつき、婚約者の屋敷で生活するけれど、婚約者とは名ばかりで、二人の間に愛情なんて欠片も存在しない。


冷えきった関係性


お互いに連日他の相手と遊び歩いていた。

きっと、さっきの男も、その1人。


私は車のライトとその衝撃が記憶を掠めた。


私死んだはず……

夢だと思いたいけど、感覚も匂いもリアルすぎる。

どうやら私は、本当に“悪役令嬢”になってしまったらしい。



なってみたいとは思ったけど、いざ、どうぞと言われると、どうすれば良いか分からない。


コンコン。

ドアをノックする音が聞こえる。

「はい。なにかしら?」

思わず“貴族っぽく”返事してみる。


「お茶をお持ちしました。」

使用人の声が聞こえる


「いただくわ。」

自分のようで自分では無い言葉遣いに違和感を覚えつつも、返答する


入ってきたのは、二人のメイド。

銀のワゴンを押しながら、わざとらしくカチャカチャと音を立てている。


「もう少し静かに準備できないのかしら?耳障りだわ。」


――え? 今の、私が言った?

思ったより口調がキツくて、自分でもびっくりした。


普段、こんなことでイライラすることは無い。

自分なのに自分じゃない。

変な感じ…。


「申し訳ございません。」

謝りながらも、どこかニヤついたような表情が

妙に不自然だ。


なにか違和感が……。


そして、私の目の前に紅茶とスコーンが並べられる。


ティーカップの持ち手に手を伸ばし、ソーサーから持ち上げると、反対の手を添えて紅茶の匂いを嗅いだ。


普通なら、芳醇な茶葉の香りがふわっと湯気に乗って香ってくる。


が、


なんだか少し焦げ臭い?

そして、ティーカップに触れていれば分かる。

暖かくない。


小説の中のルーミエールは、毎回メイドに何かと理由をつけてはお茶の入れ直しをさせていた。

酷い時は、罵るだけののしって部屋から追い出した。

そんなワガママに振る舞うことに何の意味があるんだろうと思ってたけど……


「…………。」

私は、なんて言っていいのか言葉に詰まった。

悪役令嬢に転生したからと言って、中身は私だ。


さっきは咄嗟に出た言葉にびっくりしたのに、今は何も言葉にならない。



リアクションできずにティーカップを見つめているうちに、メイドたちは、またカチャカチャ音を立てて茶器を片し、悪びれもなくワゴンを引いて部屋を出ていった。


なんだろう……この違和感…。


私はテーブルに置かれたスコーンを目にとめながら、ティーカップをソーサーに戻した。


コンコン。

再度、扉をノックする音が聞こえる。


「何か用かしら?」


「失礼致します。ニーナでございます。」


今度は先程のメイドではないメイドが現れた。


入室を許可すると、ニーナというメイドはドレスを持って入ってきた。


「夜会のドレスが仕立て上がりましたので、お持ちしました。」


ドレス!?

私は職業柄興味津々で身を乗り出し、そのドレスを眺めた


艶やかな絹の上質な生地。

紫に染め上げられた鮮やかな染色。

体のラインがいやでも丸見えになるタイトなシルエット。

そして、大胆に太ももくらいまであいたスリット……。


一体誰がどこで着るんだろう……こんなハデハデドレス……。


「……ルーミエール様?」


ハッとしてドレスから目線をニーナの方に移す。

何度か呼ばれていたのに気づかなかった。

ニーナは申し訳なさそうに声をかけ続けていた。


そうた私はルーミエールだった。

慣れないな…。


「あ、えっと……ニーナ?これからは私のことをルミと呼んでちょうだい?」


これで何となく解決するのでは?


と思ったのだけど、ニーナは困惑しながら頭を下げた。


「あの……。」

言いにくそうに言葉を選んでいる。


「ルーミエール様を愛称でお呼びすることは禁じられております……。」


お……おぅ……。

私のことはルーミエール様とお呼びなさい。

って事だったんだろうか。

それとも、メイドが愛称で呼ぶなんて何事かしら?みたいな感じなのか?

貴族ルールはわからん。



でもとりあえず、長ったらしい慣れない名前に別れを告げたい。


「私の世話をしている時だけでもいいわ。」

それを聞いたニーナは顔を上げ、

「かしこまりました。ルミ様」

と言って、丁寧にお辞儀をした。


さて、これで少し馴染みある環境になった。


「それではルミ様。」

改めてニーナが私に呼びかける。


「こちらのドレス……いかが致しましょうか」


私は、もっと細部まで見たいという欲に負け、

「そちらにおいて置いてちょうだい。」


と、部屋に止めおくことを指示した。

異世界のドレスの仕立てを拝めるなんてまたとない機会だ。


「では、いつも通り、右側のクローゼットに、お入れしておきます。」


いつも通りということは、ドレスルームのクローゼットには、ドレスが山盛り入っているのだろうか?

楽しみすぎる。

社畜よろしく悪役令嬢よりそっちの方に興味津々な私。


ニーナはテーブルに残されたティーカップを見て、険しい表情をした。


「ルミ様。厳しく言っていただかないと……。」


ニーナはなにか物言いたげに紅茶のティーカップを眺めた。


確かに、あのメイドたちは何かちょっと様子が変だったけれど……。


「何度も申し上げておりますが……。お口になさるものはお気をつけください。そして、きちんとお示しください。」


ニーナは確か、この家のメイドでは無い。

ルーミエールが幼い頃から世話をしてきた専属メイドだ。

メイドを引連れこの屋敷に婚約者としてやって来た。


さっきのメイド達は敵なのか?

そして、ニーナは味方なのか?

んー……分からない。


ティーセットを端によせ、ニーナはドレスとは別のイブニングドレスをクローゼットから取り出す。


「ルミ様。こちらに。」

言われるがままドレスに着替えた。


食事の度に着替えるとか、大変……。

とりあえず、上手くルーミエールとして振る舞えるように頑張らなくては。


私は部屋を探索しながら。夕食を待った。

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