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憧れの悪役令嬢に転生したからと言って、悪役令嬢になれる訳では無い!!  作者: 瑠美


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17/32

17.ワインは程々に

「………。」

頭がぼーっとする

体は力が入らないし、顔は暑いし、なんかフワフワする。


意識が戻ると、どこかの個室のソファーの上で、レオンは無言で肩を貸してくれていた。


ルーミエールがアルコールに弱いなんて知らなかった……。

ワイン1杯ですよ?

確かに、食事の際も、一切のアルコール類は出されなかったな……。


私の意識が戻ってきたのに気づいたレオンが

「何か盛られたか?」

と聞いてきた


盛られる?

美味し過ぎるくらい美味しいワインのどこに?


「………?」


頭に、はてなマークを付けて首を軽く傾けると、レオンはグラスに入ったお水を口元に差し出した

「飲めるか?」


グラスに手を添え、少しづつお水を飲む

ぼーっとした思考と視界は、少しだけクリアになった。


そして、少しクリアになった思考は

レオンと一緒にいたあの女性はどうしたんだろ……。

という心のモヤモヤを掘り返した


「はぁ……」

レオンは悩ましげにため息をつくと、

「帰ろう。立てるか?」

と言って、手を差し出す。


力弱くその手を握り、立ち上がろうとして、よろめいた所を、パッとレオンが支えてくれた


「あ……ありが…」


返事を返すまもなく、腕を首に回させる。


ええっ!!

「いや。ちょっ……!」

動揺で言葉にならない。


「大人しくしていろ。」

レオンはそう言いながら、私の顔を自身の肩に埋めるように抱き抱えた。


力が入らない私は、抵抗することも出来ず、大人しくレオンの腕の中に納り、体を預ける。


レオンの抱きしめる腕が優しくて…

ちょっと安心している自分がいる


レオンは人目を避けるように馬車に乗り込んだ。


何で優しくするの?

レオンは探してる好きな人がいるんじゃないの?

レオンの探してる運命の姫君って。どんな人

なんだろぅ……


レオンの腕の中で、先程の噂話を思い出す。

アルコールで忘れたかった現状は、アルコールによって偏った方向に思考を導く


こうやって優しくしてくれるのも、探してる女性が見つかるまでの『婚約者』としての体裁を保つためなんだ。きっと。


そう……なんだ。


自分の中で出てしまった答えに、傷ついてる自分がいる。


さっきの女性はどうしたんだろ……。

黒髪の可愛いらしい女性。

レオンの好みなのかな……。

婚約者って何?

私って……。


気づいたら屋敷に着いていて、フラフラと馬車から降りると、

ベルが

「お連れ致しましょうか?」

と、語りかけてくれる


「良い。私が運ぶ。使用人は全て下がらせろ。」

そう言ってレオンは、ベルに指示を出すと、ふらつく私を先程と同様に抱き上げた。

「じ!…じぶんれ…あるけましゅ……」


なんとも説得力のないろれつに、レオンは眉間にしわを寄せながら答える

「無理だと思うが?」


そのまま強制的に抱き上げられたまま部屋まで進む。

扉を器用に開けると、寝室は月明かりが差し込み、夜なのにランプをつけなくても明るく照らされていた。


ベッドに私を降ろすと、

「ゆっくり休め。」

と言って、私の前髪をサラリと撫で、レオンは静かに部屋を後にした。



………なんか複雑な気持ち……。


私はベッドの中で、少し酔いが覚めた思考回路で、今日の出来事を振り返る。


使用人があんな感じなのも、私が自分から婚約を破棄させるために違いない。

使用人を利用して悪役令嬢を作り上げて、印象操作をした挙句、『こんなところには居られないわっ!』

っていうのを待ってるんだろうな。

これが私という悪役令嬢の真実なのか。


あんな派手なドレスを送られるのも、着られるものなら着てみろ的なあれだったのか?

それとも、君は好みじゃないという遠回しなアレか?


ルーミエールの方から婚約解消を言い出すように全てが動いているように感じる。


嫌われてたんだ…。

誰からも好かれてなかった。


そっか。

そうだ。

パズルのピースがかち合った。


………。

悲しい………。


レオンが優しくしてくれるのも、きっと世間体や体裁を守るため。

浮かれてた自分が恥ずかしい……。

なんだろう、この気持ち。

好きになってしまう前に戻りたい。

はぁ……


頬を冷たい涙が伝う。


だったら、優しくなんてしないでよ。

こっちは慣れない言動にちょっとだけ期待して、ほんの少し、信じてしまったのに。


酔いが覚めてくると、残された現実がくっきりと浮かび上がって見えるようだった。


まぶたの裏で、レオンの背中が遠ざかる。


婚約者としての私。

運命の姫君を探す彼。

その間にある「私の気持ち」。

揺れる心に蓋をするように、私は静かに眠りへ沈んでいった。

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