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憧れの悪役令嬢に転生したからと言って、悪役令嬢になれる訳では無い!!  作者: 瑠美


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16/32

16.夜会にて

社交界で交流を持つ。

これもまた日常の一幕。


今日は夜会に出席予定。

あの派手派手ドレス達を着ていかねばならない……。


もう少し時間があれば刺繍が全部終わったのに……。

せっかく作っていたドレスは、まだ完成しないので、実際に着られるのはもう少し先になりそうだ。


仕方なく、クローゼットに並ぶドレスの中から、ギリギリ着られそうなものを選んだ。

それでも胸元を強調するスタイルの、デザインの派手さは否めない。


髪を下ろして、なるべく肌が隠れるようにして、胸元には大ぶりの飾りが着いたペンダントをつける


姿見の前でニーナに手伝ってもらいながらコーディネートを整えてむかう。


馬車の前でレオンが待っていた。

「………。」

レオンが何かを言いかけてこちらを向く


「………。いや。なんでもない……。」



え。めちゃめちゃ気になるんですけど……。

「……そ、そう……。」

気になる気持ちを抑えて、素っ気なく返事をする


レオンと共に会場に着くと、しばらくしてレオンの周りに人だかりができた。


我よ我よと女性が押し寄せてくる。


私、一応婚約者じゃないの?!

圧に負けた私は、レオンと離れた場所で静かに時間が過ぎるのを待とうとした。


が、噂話や何やらが耳に入ってくるのが社交界というものだ。


「レオン様は、まだ探しておいでなのかしら?」

「運命の姫君ですわね?」


?ん?

運命の姫君?


「でも婚約者がいらっしゃるんでしょ?」

「表面的な婚約なんて良くあることよ。世間体が保てればそれでいいんですもの。本命と結ばれれば、後は捨てられるだけ。」


「お相手の婚約者も、男遊びが過ぎるという話ですのよ?」

「レオン様の愛がいただけないからって、お恥ずかしい話だわ」


そう………なのか…?

レオンは運命の姫を探してる?

じゃぁ、なぜ私は婚約者なのか……。


気になってあちこちで咲く噂話に耳をそばだててしまう。


「まぁ、どうせ運命の姫君が見つかるまでの繋ぎなんだから、早く自分からレオン様の元を去って行けばいいのに。」

「今日も派手ねぇ。きっとそのうち男性をはべらして帰るわよ」


「レオン様も早く婚約解消して、もっと自由にお付き合いなさったらいいのに~。」


………。

そういう関係……だったんだ。

あっちからも、こっちからも、アレコレ聞かない方が良かった噂話を聞いてしまった気がする。

離れた場所にいるレオンを見ると、女性に囲まれて、普段目にしないような表情をしている。


楽しそう……。

同じ屋敷に住めども、滅多に会うこともなければ、そんなに言葉を交わすこともない。

そんな私に比べたら、レオンの周りの女性たちの方が親しそうだった。


婚約者ってなんだろう……。

運命の姫君を見つけたら、私は捨てられるのか。

使用人が嫌がらせするのも、早く私に出て行けと言うことだったのかな……。

パズルのピースがハマっていくように、色んなものが芋ずる式に繋がっていく。


私がしょんぼりしていると、

「あれ?1人?」

1人の男性が声をかけてきた


「………。」

今は1人だけど……。モヤモヤした気持ちで言葉にならない


「どうぞ?」

そう言って、男はワイングラスを差し出した。

ぶどうの甘い香りと、アルコールが混ざった良い匂いがする。


センチメンタルな気持ちを忘れるように、そのワインに口をつける。


美味しぃ~!

口当たりもよく、香りも芳醇で、なんと美味しいワインなのかっ!!


「なにか嫌なことが?」

男性は優しく問いかけた

「……。ないです」


私はアルコールに頼って、今の状況を整理することを放棄した。


「そう?浮かない顔をしているけど……。僕で良かったら少し話を……」


男性が優しく話しかけてくれているのを横目に、私はワインを飲み干した。


すると、なんか平衡感覚がおかしい

クラクラする。

頭はボーッとするし、あんまり思考回路は回らない。


これは、俗に言う、『酔ってる』という現象か?

私の異変に気づいたのか

「大丈夫?」

と言って私の腰に手を回し、体を支えてくれた。


「らぃじょーぶ、でふ」


自分の事ながら、全然大丈夫では無さそうだ……。


「別室で少し休もうか?」

そう言って、大広間から出て、小部屋の扉が並ぶ廊下にエスコートされる。


男性に支えられながら歩いていると、目の前からレオンが女性と歩いてくるのがボヤっと目に入った。


ピンクのふんわりしたドレスを優雅に着こなした黒髪の女性は、私の姿を見て、レオンの腕にグッと抱きついて挨拶を送る。

「ごきげんよう。」


目に入る情景が遠くの光みたいに霞んで見える。

――あぁ、綺麗な女の人……。


そう思った瞬間、ぐらりと世界が傾いた。

視界が波のように揺れて、音も遠くなっていく。


レオンの声が聞こえた気がした。

けれど、もう何も分からない。

私は、黒髪の女性に挨拶を返すことなく、そのまま崩れ落ちた。


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