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憧れの悪役令嬢に転生したからと言って、悪役令嬢になれる訳では無い!!  作者: 瑠美


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14.鶴の恩返し

俺は自室の書斎で、本を読む訳でもなく、ただペラペラとめくりながら、物思いにふけっていた。


「いかが致しましたか?」

そんな様子を不思議に思ったのか、ベルが声をかけてきた。


「いや……。」


短く答え、頬杖をつく。

脳裏に浮かんでいたのは、ルーミエールのことだった。



もともとは外出好きで、日中は部屋を空けて街に出ることが多かったと聞く。


が、最近は、ずっと部屋に引きこもって使用人も寄せ付けないようだ。


最近様子が変だ

変と言うより、別人にでもなったかのようだ。


まさか書庫にまで足を運んでくるとは思いもよらなかった。

レオンは先日の書庫でのやり取りを思い出す。


使用人に、

「ルーミエールは何をしている?」

と、様子を聞いても、

「自室でお過ごしのようです」

としか返ってこない


パーティに出れば、そこで知り合った男性と日中を共にしていることもあると言う。

心にモヤッとした感情が浮かぶ。


でも、それなら報告が上がってくるはずだ

誰も知らないのは何故か?


………静かだな………。


パタン。

本を閉じて立ち上がる。

扉を開けると、ベルが控えていた。


「どちらへ向かわれますか?」

「散歩だ。」


ベルには着いてこないように指示して、書斎を後にする。

屋敷内を歩き回り、気づいたらルーミエールの部屋の前に立っていた。


出来心でドアに手をかける。

静かにドアノブを回し、少しだけ扉を開くと、その隙間から彼女の姿が見えた。


ハーフアップに結った髪。

袖の短いシンプルな装い。


テーブルに広げたドレスの裾を整えながら、

サクサクハサミでとカットしている。


そして、針に糸を通し、ピンクの淡い色のシンプルなドレスの上に描かれた下絵に合わせて、刺繍を施していく。


遠くでニーナの声が聞こえる


『ルミ様。こちらの染まり具合はいかがでしょうか?』


ニーナは、淡く色づいた布をルミの元に届ける


『良かった。綺麗に染っているわ!これならこのドレスに合いそうよ!』


ルーミエールは、染まり具合に満足の表情を見せると、楽しそうに紙をあてがい、その形に合わせて布をカットし、裾に縫いつけ始めた。


刺繍の趣味があったことにも驚きだが、縫い物をしていたのか??

なんのために?!


そういえば……彼女の趣味も、好みも、何も知らない。

そりゃそうか……。


贈り物は、商人の持ってきた流行りのものの中で、適当に見繕って届けてくれと言っている。


扉の隙間から除き見る彼女は、ニーナと世間話をしながら、表情をコロコロ変える。

楽しそうにドレスを飾りながら……。


その姿に見とれていると、引き寄せられるように、部屋に踏み込んでしまいそうになった。


ルミがこちらを向いた気がして、咄嗟に扉を閉めてしまった。

足早にその場を離れながらも、心臓の鼓動が止まらない。


使用人を寄せ付けずに何をしてるかと思ったら……。

彼女は楽しそうにドレスを仕立てていた。

今まで見た事のない表情で会話し、その手で美しい刺繍を縫い上げる。


自分は彼女のことを何も知らないということを、改めて自覚した。

今まで見ようとしてこなかったんだ。知らなくて当然だ……。


自分の中のルーミエールの存在が大きくなっていくのを感じる。

もっと知りたい――

そう思ってしまった自分に気づく。


レオンは、部屋に戻ると、ベルを呼んだ。

「お呼びでしょうか?レオン様」

「街へ行く。」


「急なご用事でございましょうか?」

「……そうだな。………。」


窓の外に広がる花壇を見つめながら、静かに呟く。


まずは、髪飾りを探しに行くとしよう。

細やかな細工が施されているものが彼女には良く似合うだろう。


自分から贈りたいものを探しに行くことなんて今まで無かった。

だが、その新しく芽生えた気持ちに、素直に従ってみることにした。


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