11.教会での触れ合い
かっ!!可愛いっ!!
キラキラとした金髪!クリクリの目!
そして、なんと言っても、この等身っ!!
子供ってなんでこんなに可愛いんだろぅ。
「おねーさん。お名前は?」
教会には孤児の子供たちが住んでいる。
「るみ。って言うんだよ~」
初めはちょっとよそよそしくて、ちょっと警戒心が高めの視線を感じるけど
「今日はおねーさんと一緒に、遊ぼうね~」
そう言って、子供達に手を差し出すと、小さな手でギュッと握ってきて、あっちにこっちに引っ張り回される
私の両手が他の子で埋まっているので、男の子がスカートを引っ張ってきた
「こぉらぁ~女の子のお洋服をイタズラしたら、いけませんっ!」
そう言って、男の子達をくすぐり倒して、追いかけ回す
子供たちはキャッキャと、楽しそうにはしゃいでいた
可愛いなぁ~。いいなぁ~。
決してロリコンでは無いが、なんかドロドロした家の中で過ごしていると、子供たちの純粋さに癒される。
走り回ってる子もいれば、輪に混ざれない子ももちろんいた
「みんなと遊ばないの?」
ぽつんと1人で外を眺めている少女を見つけて声をかける
「走れないの……苦しくなるから……」
そっか。喘息とかかな?
「よし!じゃあ、髪の毛結ってあげようか?」
そう言って、小さな少女の髪を三つ編みに結わえる。
少女は嬉しそうに、足をパタパタさせている
私は、何もかも忘れて、子供たちとの時間を楽しんだ。
木陰で子供たちと花冠を作って遊んだ。
懐かしいな~子供の頃学校の帰りに作ったっけ。そんな懐かしさにふけっていると、
「ルミちゃん。僕のお嫁さんになって?」
少年が、野花を花束のようにまとめて、私に差し出した。
なにっ?!可愛すぎませんっ!?
「ボクもー!!」
そういって、出来上がった花冠を頭にポンとかぶせようと、少年が背伸びをする
すると、
「ルミは俺の婚約者だ。」
ハッ!!!!
その声にびっくりしてパッと後ろを振り返ると、結構近い距離にレオンの顔があって、更にびっくりした。
子供たちと戯れていて、すっかりレオンの存在を忘れていた私は、本来の自分の置かれた状況を思い出して、ジワジワと現実に引き戻される。
「レオン様ずるーい!」
「わっ!わたし!レオン様のお嫁さんになるっ!」
子供達と全然遊ぶ素振りのなかったレオンだけど、そこは流石イケメンだ。少女達の心はグッと掴んでいた。
「もっとおねーさんになったら。な?」
サラッと少女をあしらって立ち上がる。
慣れている……。
きっと、言い寄られるのをかわすすべなんて、老若男女問わず、心得ているのかもしれない……。
「そろそろ行こう」
そう言ってレオンは私に向かって手を差し出した。
えっ?こんな人でしたっけ?
困惑しつつもその手をとり、立ち上がると、とりあえず無言で頷いた。
あの…………手が……。手を………。
レオンは、あろうことか私の手を離すことなく、そのまま馬車乗り場まで歩幅を合わせて歩いてくれる。
緊張する……。
婚約者なんだから、普通の事なのかな?
いや、でも、今までそんな素振り全くなかったし……
そもそも、手を繋いで歩くって、なんか恥ずかしい。
こんな緊張するものなの??
顔があげられない。
恥ずかしさと緊張と、ドキドキで、表情がなんかおかしい。
見せられない。絶対に……。
馬車の前まで来ると、院長へ軽く会釈を送り、子供たちに手を振って別れを惜しむ。
そして、レオンにエスコートされるまま、馬車に乗り込んだ
もしかしたら世間体的な?
一応婚約者らしく振る舞わなければならない的な?
そーゆー意味でなのか?
とか思ってみたけど、馬車に乗り込んだ後も、レオンは私の手を握ったまま、離してくれなかった。
「あのっ………手…………」
勇気をだして声を振りしぼる。
顔なんてもちろん見れないけど、
『あぁ。』とか言ってパッと離してくれるかもしれない。
「ルーミエール?」
そんな予想なんてはるかに超えて、
レオンは静かに私の名前を呼んだ
なっ!?なにっ!?
この心臓の音が聞こえてしまうんじゃないか。と思うくらい、ドキドキしている
「は……はぃ?」
平静を装って返事をする。
もぅ、顔が真っ赤なの。きっと。だから。こっちを見ないでっ
「俺も……ルミって、呼んでも良いか?」
んえっ!!?!
予想外過ぎて、咄嗟にパッと顔を上げてレオンの方を向いてしまったけど、レオンは、静かに窓の外を眺めて、こちらをまるで気にしていない。
私は握られている手元を見つめた。
私だけが舞い上がっているだけだ。
すっかり忘れていたけど、私は貴族の令嬢だった。なんなら、悪役令嬢と名高いルーミエール。
宜しくてよ。みたいななんかそーゆー感じで返事するのが良いのだろうか。
でも、ルミって……。
カタカタと揺れるは馬車の中で、静かに時が過ぎる
屋敷に着くと
「お帰りなさいませ」
と言って、ロベルトが馬車のドアを開ける
レオンは繋いでいた手をスっと離すと、従者に労いの言葉をかけて馬車を降りた
結局、私はレオンの問いに返事をしないまま屋敷に着いてしまった……。
返事をしなきゃ。
私は意を決して馬車をおりると、
「はい」
と、タイミングを間違えまくった答えを吐き出し、そのまま後ろを振り返らず、屋敷まで逃げるように走り去った。
レオンが何を考えているのかは分からない。
レオンに「ルミ」と呼ばれた瞬間、私はルーミエールじゃなく、「私」として見てもらえた気がして、嬉しさと気恥ずかしさで胸がぎゅっと締め付けられた。
――この気持ち、どうすればいいんだろう。
嬉しさと、気恥しさが相まって、この気持ちをどうしたら良いのか分からない。
部屋まで一気に走り抜けると、パタンとドアを閉め、真っ赤に染まった頬に手を添えながら、背を持たれてヘナヘナとしゃがみ込んだ。
私は、レオンを『好き』に、なってしまったのかも、しれない。。。




