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憧れの悪役令嬢に転生したからと言って、悪役令嬢になれる訳では無い!!  作者: 瑠美


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1.プロローグ

「あぁあぁ……瑠美さんは今日もいつも通り地味なお洋服でご出勤だこと。その格好でお客様の元に顔を出されるのは、ちょっと。」


今日も上司のおこごとから私の1日は始まる。


派手な服を着れば、「うちのブランドの品位に関わる」揶揄され、


地味な服を着れば今日みたいに、遠回しに『うちのデザインセンスに関わるからあなたは表に出ないでちょうだい。』と言われる。


……要するに、何をしてもダメってこと。


初めのうちは、だいぶメンタルにグリグリ来たけど、言われ続けているうちに、


逆にこの上司、良く毎日あの手この手で人をけなす言葉を瞬時に探せるよな。

尊敬するわー(棒読み)

っと悟りの境地に近い


私も対抗して皮肉返しをしようと試みたことがある。

『先輩のように派手な顔立ちを持ち合わせておりませんので、身の丈に合った服を選んでおります。』

言える訳ないよね。

そもそも、瞬時に言葉が出て来ない。

瞬発力も度胸も、私はどっちももちあわせていない。


先輩ってすごいな。裏では私みたいな後輩を貶して、表では上司とお客さんにスリスリして優越感に浸る。やっぱり未知の生物だわ。


そんな1日のスタートをきりながら、私は今日もチクチク、ドレスを作る。


ブライダルドレスをオーダーで仕立てる

それが私の仕事。

レースやフリル、ビジューやキラキラ……


夢のような素材と飾りで、1生に1度の夢のような世界をお届けする。


自分の人生は地味でも、せめて誰かの夢を形にしたい。

そんな気持ちで始めた仕事。


細かい刺繍や手作業をコツコツしていると、あっという間に時間は過ぎた。


今日は早く帰ろう。


そう思って帰り道、ついスマホを開く。


最近ハマっているweb小説――『どこかの悪役令嬢の物語』

話の中の主人公はなんでこんなに傲慢な態度を取れるんだろう。

人を傷つけたり貶めたりすることに罪悪感とかわかないのかな。


んまぁでも、現実に先輩みたいな人もいるし、私が弱いだけ……かな。


悪役令嬢になりたいわけじゃないけど、でも、そんなにワガママに、自由に生きることが出来るって羨ましい。


私も、あんな風に生きられたら

……皮肉のひとつでも、返せるようになるのかな。


1回私もなってみたいなぁ~。

人を罵りたいわけでも、争いごとを画策したい訳でもないけど、自分のことだけを考えて、自分のために笑って。そんな自由な自分に。



そんなことを考えながら、信号が青に変わる。

一歩、足を踏み出した瞬間――。



ピカッ。

ライトを浴びて、大きなクラクションが聞こえる先を見つめる。

キキーッ!!

ブレーキ音とともに、ギュッと目を閉じる。


やば……っ


次の瞬間世界が白く弾け、音が遠のく。

衝撃と共に、私の意識は真っ暗な闇に沈んだ。


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