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時をこえて  作者: ユウ
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第六話

あれから一月。

時はまさに最後の決戦へ。

良い仲間に出会え、良い仲間を失った。

全ての仲間達に勝利の鎮魂歌を・・・。



戦歴1500年8月20日



八月にはいってから山王軍の攻撃の手が激しくなった。

もう誰もが予感していた最後の最終決戦。

誰が生き残り、誰が死ぬのか。

そんな事はもうどうでも良い事なのかもしれない。

ただ俺達に言えるのは主の理想の為に・・・。


「・・・・・・」


真夏の炎天下の下で、戦は行われていた。

朝霞城の見晴らしの良い場所に立ち、前線でがんばってくれている兵達を見る。

種子島、大砲、兵の怒号の声、そして一人また一人と死んでいく同士。


「全てが聞こえる・・・」

「はい・・・」


その隣には鏡花がいる。

彼女もこの戦場の声が聞こえるのだ。


「武直様、やはり私も・・・」

「ならん!」

「しかしっ・・・!!」


今はならんのだ。

まだ戦いが激化したとはいえ、最終戦のほんの開幕にすぎんのだ。

言葉は酷くなるが、今は主力兵を前線に出すわけにはいかんのだ。

今は・・・今は、捨て駒を前に出すしかないのだ。

捨て駒という言葉を自分の中で出してしまった自分自身に激しく怒りを覚える。


「っ・・・!!」

「・・・、ごめんなさい武直様」

「どうした?」

「一番辛いのは武直様です、本当は自分もあの場へ行って戦いたい、しかし人の上に立つ故に貴方は人として非情な手段を選んだ」

「・・・そんな大それた理由はない」


「嘘だ!」と鏡花は声をあげた。

本音で言おう、鏡花の言った言葉はほぼ正解だ。

上に立つ者は下にいるものを束ねる為に支配者でなければならない。

支配者故に決断を迫られるのだ。

その決断は支配者を食いつぶすのに十分な重さを持っている。


「鏡花、作戦をたてよう」

「・・・はい!」


最後の決戦の作戦。

これがどういう意味をもつのかなんて誰でもわかる話だ。

・・・。


作戦内容はこうだ。

後衛、守りの陣は力丸を中心として配置。

前衛は俺と鏡花で二手に分かれて進軍する。

数でも質でも劣る朝霞の軍に唯一できる事は特攻気味の攻撃しかない。


「みんなの命を俺に預けてはくれぬか?」


「大将、当たり前ですぜ・・・ここにいる奴等はみんな武直様に命預けてんだ!」

「無論です、私の命は朝霞と武直様の為に・・・」


力丸と鏡花の言葉で残った兵も続く。

「おおおおおぉぉぉぉぉー!」と雄叫びをあげる。

いざ最終決戦の陣へ。



再び目の前が真っ白になる。

最後の決戦・・・どうしても見たくはなかった。

そんな気がしたのだ。



9月1日 最終決戦へ。

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