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時をこえて  作者: ユウ
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第四話

夢の世界を夢と認識し、自分の意志で夢を操れる人は一体どの程度いるだろうか?

大体の人間はそう思っているだけで案外と操れないものである。

夢は目が覚めた時にそのほとんどの見ていたものを失うという。

しかし、目が覚めても忘れられない夢の存在はどういうのだろう。



「・・・・・・」


目が覚めた、体が汗まみれだ。

現実の自分が夢に食われたそんな感覚。

ここは一体、現実なのか夢なのか、夢の中の現実なのか。

でもこれは現実だ、ほっぺたをきつめにつねってみたが・・・。


「痛い・・・」


ボーっとする。

あの夢はなんなんだろうか。


朝霞という国。

朝霞姫。

天崎武直。

力丸。

高城五月。

幻花・鏡花。


ざっとその夢に出た単語を思い返す。

どれも全くといっていいほど身に覚えのない言葉だ。

混濁する頭を整理する為にマイ布団へとなだれ込む。

今日の学校はさぼりだ!


「朝霞・・・朝霞姫・・・力丸・・・高城五月・・・幻花・鏡花・・・天崎武直・・・」


とりあえず頭の中にあった単語を口にだして、名前を言う毎に自分となんの接点があるのかを思い返す。

勿論の事だが、なんの記憶もないし妄想でそんなものを作り上げた記憶もない。


「朝霞・・・朝霞姫・・・力丸・・・高城五月・・・幻花・鏡花・・・天崎武直・・・・・・ん?」


もう一回単語を言い返してみたが何か違和感がある。


「朝霞・・・朝霞姫・・・力丸・・・高城五月・・・幻花・鏡花・・・天崎武直・・・」


3回目で違和感の正体がわかった。

「天崎武直」この名前だけが何故か最後に言ってしまうのだ。

別になんの不思議な事でもないような感じはするのだが、この名前を意識して前の方に置こうとしても何故か最後にその名前を言ってしまうのだ。


「天崎武直・・・あまがさき・・・たけなお・・・」


何故だろうか。

この名前を自分で言ってみると感覚的にもの凄くフィットする。

自分の本名はやけに他人のような感じがするのに、夢を見るまで一切知りもしなかった名前が気に入っている、そんな自分がいる事に気がつく。

なんだが気持ちが悪い・・・、そう思い気分転換の為に外に出た。



外に出てみると太陽の暑さの割に爽やかな涼しい風が体を走っていった。

気持ちの良い天気といえるだろう。

天気も良いのであてもなく散歩でもしようか。


「あたっ!」


何度も言うが攻撃の時のかけ声ではない。

痛いという事だ!


「あら・・・また君?」


「また君?」そんな、また、なんてつけるような間柄の人なんかいたかな。

そう思いながら前に立っている人を見る。


「あっ・・・」

「大丈夫だった?」


昨日のお姉さんだ。


「あ、いや、すみません・・・ボーっとしてました」

「駄目よ、ぼーっとして歩いたりなんかしちゃ」

「はい、気をつけ・・・ますけど・・・」

「ん・・・?」


何故だろうか。

このお姉さん、昨日見たときと見た目は変わりがないのに・・・なんていうかオーラというか雰囲気というか、そんなものが昨日に比べて幼く感じる。


「どうしたの?」

「いえ、なんでもありません」

「ふぅ・・・、あなた学校は?」

「今日はさぼりです」

「いけない子ね」


「うふふ」と大人っぽい笑みを浮かべてお姉さんは歩を進めていく。


「あ、俺さ・・・川崎真治、お姉さんは?」

「・・・御剣・・・御剣華織よ」

「OK ありがとう!」


御剣さんは行ってしまった。

雰囲気はなんとなく不思議な感じはしたから名前を聞けば何かあるんじゃないかと思ったけど別にそうでもなかった。

「まぁ、いいさ!」と軽いノリで声に出して言ってみる。

なんにしても変な夢を少しでも忘れられた。

良い、気分転換になったという事だ。



そのまま家に帰り、時間はあっという間に寝る時間になった。


「今日はあの変な夢、見なければ良いけど・・・」


そんな願いをしながら眠りについた。

が、そんな願いは簡単に負けた。



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