表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/86

進軍のヴォカリーズ(8)

「目黒先生の分身と似た大きさだった?」

「はい」

「数はどのくらい?」

 ハンカチで頬を拭ってあげる必要は、無かった。

「十一本ございました。教皇がひとりで祈りを捧げていた時に、襲われたと伺っております」

 それでこそ、ロロだ。教皇が側において育成する理由が分かる。

「命に関わる呪いなのかな」

 どうか、外れてほしい。

「マホーが使えなくなってゆくのだそうです。ランクをだんだん下げられて……」

「1より低いランクは、存在しなかったね」

 ロロが小さく頷く。

「昔、大聖堂の賢者に教えてもらいました。役目を終えた方は、泡となって消え、単なる絵としてジゲンⅢに残ります。マホーを失った方は、消えるだけではございません……」

 想像するよりも、彼女の話を聞きたい。

「悪い評判がずっと付くのでございます。どれほどジゲンのため、誰かのために尽くす生き方をされても、無かったことにされてしまうのです」

「三代目教皇やその側近達は、マホーを失った可能性があるのか?」

 ロロは目を瞬くも、時間をおかずに平静を取り戻した。

「坊ちゃんは、ジゲンⅡの歴史にもお詳しいですね。『暴君』、『圧政の劇団長』と呼ばれていますが、賢者が見直しのために資料を集めております。数万人に一人、史実と食い違う話をした方がおりました」

「真実を失わないでいる者が、稀にいるんだね」

「はい。今の教皇は、全てのジゲンが幸せであれと祈り、住人のために身を削っております。ですから……」

 君を見ているだけで、教皇が民にどれだけ慕われているか、充分伝わっている。

「呪いの解き方を調べよう。私が持っている文献や資料にヒントが無いか探すよ」

 目黒先生へは「民を救ってほしい」としか書けなかったのだろう。思いの外、重篤なのかもしれない。

「わたくしめにもさせてくださいませ。教皇に坊ちゃんの元で学ぶよう言付かっております」

「ありがとう」

 ロロに研究室の鍵を渡し、先に行って、呪いに関連するらしき文献等をピックアップしてもらうよう頼んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ