表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フロンティアグリーディア〜今日と今日から〜  作者: 無食子
暴れる彼方に怒りを込めて
96/158

第四害 試練に終わりなき

気づいたら寝落ちしてしまい、遅れました。

びっくりです。

ユニークモンスター……レックス・イラベスティアの舎弟になった俺は、レックス……いや、オジキに呼ばれ、ついて行くことになった。

少し歩くと、広い空間に辿り着く。


「オジキ……ここは……?」


俺がそう言うと、オジキが答える。


「ここはな……オレの持っている庭の一つだ。お前さんには、ここで試練をしてもらう……」


え……庭……!?

にしては広すぎるだろ……!

東京ドームくらい……いや、下手したらもっと広いぞ……!?

それに……試練……?


驚いている俺を横目に、オジキは話を続ける。


「今からここで……モンスターを十体抜きしてもらう」


「……なるほど……」


モンスター十体抜きか……

確かに単独撃破は面倒臭いだろうけど……そんなに辛くは感じないな……


「今のお前さんからしてみりゃ十分格上相手だ……だが、お前さんはこのオレが認めた男だ。たとえ負けようが、何度でも立ち上がれ……」


「オジキ……」

 

「もし逃げたくなったって言うなら、そんときゃ勝手に逃げろ。お前さんはその程度の男であったと落胆するだけだ。だが……期待を裏切るんじゃぁねぇぞ……?」


そのドスの入った言葉は、ものすごく低い声で俺へと届く。


そして、俺の画面に通知が飛ぶ。


〈『ユニーククエスト:【試練・十獣との勝負】』 を受注しますか?〉


ユニーククエスト……!!

おいおい来たぞ……まじかまさか俺にも来るとはな……!


こんなクエストを出すってことはよ……オジキは俺のこと、相当期待してくれてるってのか……そんなこと言われたらよ……


「もちろんっすよ! オジキ!!」


やるしかねぇよな……!!


〈受注しました〉


その後、オジキから試練についての説明を受けた。

出てくるモンスターは全て、俺より高いレベルらしい。制限時間などはないし、何度でも再挑戦できるようにか、外には休憩(リスポーン地点設定)場所まで完備されている。

手厚いサポートだな……


「オレはちと用事がある……この試練がおわりゃ、言いに来い……」


「わかったっす」


俺は力強く、されどどこか真剣な眼差しでオジキを見る。


「……楽しみにしちょるからな……」


そう言うと、オジキはどこかへと立ち去る。

後に残ったのは、俺とレイ、そしてヴァリエンテのみであった。


「……キョート殿……中々見ものであるな……流石はレイの選んだ殿方……」


「ちょっと言い方に語弊があるのはなんなんでしゅ!!」


兄妹だからか、はたまた単に波長が合うのか、息のあった漫才をしている二人を横目に、俺は考え事をしていた。


オヤジ……いや、レックスが言うには、今の俺だと少し厳しい……らしい。

だが……俺はそこら辺のプレイヤーとは違う……例えどれだけレベルが離れていようが、倒すことだってできる……ましてや、何度もリトライできるってなら……割とすぐに突破出来そうだな……


「おっと、もうこんな時間か……我は少し用事がある故、少し離れさせてもらう。では、キョート殿、レイ、またの日を!」


そう言うと、ヴァリエンテは急いでいるのか、走って行く。


「おぅ! またな〜」


「もう来ないで良いでしゅ〜!!」


おいおい……レイさん、それは流石に可哀想だぞ?


と言いたいが、それは心の中にしまっておこう。


一度、小屋の中へと入り、リスポーン地点を更新してから、もう一度外へと出た。


すると、始まったのか、一団体のモンスターが現れる。

見た目的にはおそらく狼的なやつだろうか。6体同時に召喚されていた。


「さて……とっととクリアするか……!」


こんな試練……すぐにクリアしてやるぜ……!!


…………


………………


……………………


俺は目が覚める。

そこは、ベッドが置かれた小さな小屋であった。


「あ、キョートさん。おはようでしゅ!」


「んぁ……レイか……これで何回目だ……?」


俺はレイに尋ねる。


「えっと……ここで目覚めたのは23回目でしゅ」


てことは……24回目の復活か……


「これ…………」


俺の中で沸々と湧き上がる。


「これ、クソゲーだろぉぉぉおお!!!」


「でしゅ!?」


この十連戦……おそらくクソゲーの匂いがする……てかして欲しい。

と言うのも、どの敵もクソほどいやらしい戦い方なのだ。

俺は、先程まで相対していた五体目の敵、「マトンイーグル」なんかは顕著だ。

そもそも届かない。奴が空を飛んでいる為だ。

空飛んでるやつに有効な手札がねぇのが悪いのか……? だとしてもアホだろ。あいつ……


その他の敵も、いやらしいったらありゃしない。

悉く武器破壊か武器落としを狙ってくる植物系モンスターとか、地面を掘り進めるモグラとか……


とにかくバリエーションに富んでいる。

故に、戦い方をその都度その都度変えないといけない為、とてもしづらい……それに、どれだけ進めようがクリアできなければ最初からとなってしまう。

これが一番きつい……オオカミとかもう20戦以上したぞ……アホだろ……


うーん……どうすれば奴らに勝てるか……


「キョートさん、どうするでしゅ?」


その時、突然レイが俺に話しかけてくる。


「どうって、なにがだ?」


「お父様はあぁ言ってたでしゅけど……正直言うとキョートさんには関係ないものでしゅ……だから……無理なら……」


「何言ってんだ、レイ」


「でしゅ……?」


「俺は出来ないなんて1ミリも思っちゃいねぇ。何故なら、人間誰しも……出来ないことなんてないって思ってるからな。だから、この試練も、舎弟ってやつにも、全部クリアしてやるよ」


その言葉を聞いたレイは、少し笑顔を取り戻したように頷く。


「……わかったでしゅ! 私も、キョートさんについていくでしゅ!」


「まあ、無理に戦闘についていくのはしなくても良いかもな。普通に死ねるし」


「で……でしゅね……」


俺が死ぬのは別に良い。何度でも復活できるからな。でも、レイが死んだら復活できるのかといわれると……答えはきっとノーだろう。

まだ、人の死に様にあまり立ち会っていないからわからないが、そんな気がするのだ。


「さて……もう一回死んでくるか……」


俺はそう言いながら、剣を構えて外へと出る。


ただ……もう20戦以上もしてんだ……ある程度の動きは読める……


最初に現れたのは、いつも通りオオカミであった。


「さて……もう何度目だ……?」


オオカミ……正式にはパックウルフと呼ばれるこいつらは、特定の行動をしてくる。


近づけば噛みつき、遠ざかれば爪攻撃を群れ単位……つまり今だと6体同時にしてくる。

だが、別に統率が取れているわけではない……!


「お前の攻略法なんて……とっくの昔に構築済みなんだよ……!!」


俺はオオカミへと接近する。

予想通り、噛みつき攻撃をオオカミは繰り出す。


「はっ!! 読めるんだよ! こう何度もやってるとな……!!」


俺はバックステップをし、一体のオオカミを引きつれる。


「お前ら群れるオオカミはな、一人になった時が一番弱ぇ!!」


俺は刀身に力を込める。


〈兎斬〉(ラビットスラッシュ)!!」


その刀身は、オオカミの首筋にしっかりと入り込み、オオカミの体を真っ二つに裂いた。


「よし! 次は2体目!!」


俺は同じ手法を使い、一体……また一体と切り裂いていく。


そして、最後のオオカミを斬った時……俺の画面(しかい)に通知が飛ぶ。


〈ネクストエネミー:ローズトレッチ〉


出たな……装備品剥ぎ取り野郎……!!


俺は剣を持ち、構える。


「そう何度も剥ぎ取らせねぇよ……!」


敵の出現が完全に完了した時、合図があった。


〈試練再開:2戦目〉


2戦目……ローズトレッチとの戦闘が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ