表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フロンティアグリーディア〜今日と今日から〜  作者: 無食子
虹の旅路よ、世界に響け
90/97

締結 「三クラン間協定同盟」

少し間に合わないという凡ミス

ファイアワークスが提示した協定内容は、『機神隊』陣営に大きな動揺と衝撃を与えていた。


「な……なぜ『探索者(シーカー)』のリーダーとサブリーダーがここに……」


「というか……三クラン間での同盟だと...…? 話が違うぞ!?」


「おい、一体どういうことだ!!!」


声を荒げたのはギガンタイルだ。

よっぽど気に入らなかったのだろうか、先ほどまでのほんの少し持っていた余裕が消えている。

後ろにいるフルアーマー連中も動揺している。


「どうって言ってもねぇ? 別にこの会合に第三者が関わっちゃいけないとか言われてないし、それに、この二人もユニークモンスターの討伐に関わっている重要人物だからねぇ? そうとなれば、来ない理由なんてないよねぇ? だって、私たちとの会合理由が「ユニークモンスターを討伐したクランだから」って理由なんだからさ」


ファイアワークスが今世紀最大のゲス顔を披露している。

それに対し、ギガンタイルの顔が怒りを露わにしている。

あの顔で言われたんだ、逆上してもおかしくないな。


「『探索者』のリーダー……マロン……!?」


天皇河さんも驚いているみたいだな。そりゃそうだろう。

なにせ、俺たちもここに来ることなんて知らなかったし、普通に驚いたからな……


店内では大きな動揺が巻き起こる中、オーサー・ペンドレーヘンはあまり表情を変えない。動揺していないのか...…ただかくしているだけなのか……どちらにせよ、流石はクランリーダーということか。


「……二クランから三クランにすると言ったが、具体的にどうするつもりだ? まさか、なんの考えもなしにこの提案をするわけではないだろう?」


オーサーはファイアワークスに問いかける。


「もちろん。まず、ユニークモンスターに関する知識を私たちが、敵に対抗するための抑止力兼武力を『機神隊』が行う。これはさっきも言ってたやつだね」


俺らのクランとしては、後ろ盾がほしい。

だからこそ、現時点で最強のクランと名高い『機神隊』の後ろ盾が来るのは願ったり叶ったりだ。

そして、『機神隊』もユニークモンスターの討伐を目標にしている。

俺たちのユニークモンスターについての情報はできる限りほしい。

ここは利害が一致している。


続けて、ファイアワークスが喋る。


「んで、ここからが違う。その他諸々の知識を『探索者』が出し、諸々のサポートも行う。そこから、私たちが得た情報を『探索者』へと引き渡す」


『探索者』の目的は、いわゆる「フロンティアグリーディア大辞典(仮)」の完成だ。

そのためにはあらゆる情報が欲しい。だが、クランメンバーだけではキツいものもある。

そもそも、このフロンティアグリーディアというゲームが神ゲーと呼ばれている所以は、リアリティのある世界と膨大なやり込み要素にある。

探索や冒険はもちろんのこと、採集や狩猟、果ては製造に至るまで、ありとあらゆるやり込み要素がそこらじゅうに転がっている。

それも、職業ごとに違ったりするから、さらに膨大になる。


そんなゲームにおいて全ての情報を網羅するために欲しいのは情報を集めてくれる人だ。

ここで、『探索者』との利害も一致している。


「私たちは後ろ盾を獲得できるし、『機神隊』は確実な情報を得ることができる。『探索者』も情報を集めてくれる駒を作れる。ね? 被害は一致しているでしょ?」


一応、三クラン間の利害は一致している。

ただ、相手方はどう見るか……


「さて、どうする? オーサー・ペンドレーヘンちゃん。私は三クラン間での同盟締結って形で折り合いをつけたいと思ってるけど」


「リーダー! 絶対に許してはいけません! あいつらは暗黙の了解を破ったんですよ!」


ギガンタイルが声を荒げて進言している。

それに対し、ファイアワークスが獲物を見るかのような眼差しでオーサー・ペンドレーヘンを見る。


「……良いだろう。我がクランは、その条件を受け入れよう」


ファイアワークスは満足げな顔で言う。


「うんうん、その方が賢明な判断だよ。オーサー・ペンドレーヘンちゃん。マロンちゃんも良いよね?」


ファイアワークスはマロンさん……クラン『探索者』のクランリーダーへと問いかける。


「そういうことなら、ウチらとしても大賛成よ? ウチらの情報源がさらに増えるってことやからね。それに、『機神隊』が持ってる情報も貰えるかもしれんからね……?」


まあ、『探索者』的にはそうだろうな……


「それじゃ、同盟締結の握手でも交わそうよ」


「お、いいね〜。ウチ、そう言うのしてみたかったんよ」


「呑気なことだな……まあ良いだろう」


三クランのリーダーが握手を交わした。


ここに、クラン『機神隊』、クラン『旅虹者(アイリスライゼ)』、そして、クラン『探索者(シーカー)』の三クランによる協定同盟が結ばれた。


それに対して異議を申し立てたのはギガンタイルだった。


「リーダー! こんなのは不平等な同盟です!! 即刻取り消した方がいいですよ!!」


「ギガンタイル!!」


オーサーさんの怒号が店の中に響き渡る。

それに萎縮したのか、ギガンタイルが怯む。

ギガンタイルのその言葉に、オーサーはしっかり目を見て返答する。


「今決まったのは『三クラン間で同盟を締結すること』だけだ。どのような協定内容にするかはまだ決まっていない。不平等な同盟ではない」


「ですがリーダー……!」


「そもそも! 我々のクランと彼らのクランは対等な存在だ。たとえ我々が最強の武力を持つクランであろうと、ユニークモンスターの討伐を成し遂げたわけでもなければ数多の情報をかき集めたわけでもない。であれば、多少の譲歩は致し方ないだろう。それが同盟というやつだ」


「リーダー……!!」


「もう少し冷静になれ。ギガンタイル。お前は焦りすぎだ」


「…………」


その言葉は、キツい口調ではあるが、どこか優しさも籠っていた。


「お話は以上?」


ファイアワークスが言う。

奴なりの優しさだろうか。そんなことを言うのは珍しい。


「すまないな、こちらがトラブルをしてしまって」


「いやいや〜、こっちはもうちょっと見たかったんだけどね〜」


違ったわ。終わって残念がってただけだったわ。

やっぱ根は腐り切ってんなこいつ……


「ところで、ファイアワークス。私たちに対する譲渡も考えているだろうな?」


「え? 結構譲渡したと思うけど〜? 大まかな内容はほとんど変えてないんだし〜」


「バカを言うな。先ほどはああ言ったが、我々は全てのクランの中でも一番の武力を持っている。お前達を潰そうと思えばいつでも潰せる」


「おぉ、それは怖いねぇ?」


「それに、私たちの提示した内容はあくまで二クラン間を想定していた。そこが破綻しているものをお出しされても我々としては困る。だからこそ、こちらにも少し有利な同盟内容にしてもらう。いいな?」


その眼差しはどこか真っ直ぐとしており、突拍子で出た言葉ではないことが伺えた。


「……まあ、対外的な立場としては私たちのが圧倒的に下だし、少しくらい譲渡しないと角が立たないか……『探索者』さん達、どう?」


「うーん……ウチらは別に構わんよ。情報が手に入るならそれでね」


「そうですねぇ……僕も特に異論ありません。僕たちが欲しいのはあくまで情報なのでね」


どうやら『探索者』のスタンスは変わらないようだな。流石というか、なんというか。


「では、私たちが提示するのは…………」


その後、同盟内容について議論と協議が繰り返された。


結果的に、このようになった。


その1. クラン『探索者』は、『旅虹者』と『機神隊』が得た情報を優先的に受け取ることができる。


その2. クラン『機神隊』は、『旅虹者』の持つユニークモンスターの情報を『探索者』を介さずに得ることができる。また、優先的に『探索者』から情報を得ることができる。


その3. クラン『旅虹者』は、有事の際に『機神隊』及び『探索者』の力を借りることができる。また、優先的に『探索者』から情報を得ることができる。


その4. 特に理由がない場合、これらのクランの行動を互いが阻害してはならない。


これにより、ここに「三クラン間協定同盟」が締結された。

特に後書きに書くことがない!!

ということで、この時の他の人達の心情をば

キョートはずっと垂れ流しなので描かないヨ☆


ミライ

(ファイアさん、乗せるのが上手いなぁ……)


ネイチャー

(俺いる? これ)


アグリ

(みなさん……すごく頭のいい会話です……!!)


レイ

(……zZZ)


天皇河

(有名クランの同盟……!? これ……"映え"すぎでしょ……!!)


甲冑ズ(フルアーマー軍団)

(オーサーさん……かっけぇ……惚れるぅ……!!(惚れた))

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ