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フロンティアグリーディア〜今日と今日から〜  作者: 無食子
オープニングセレモニー プロロローグ
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第九話 ユニークモンスターと邂逅

〈ユニークモンスター 『不眠の徘徊者』サマルテGTが出現しました。〉


()は、背筋が凍えるかのような恐怖を感じた。


「ユニーク……モンスター……!!?」


「ミライ、お前なんか知ってるのか?」


「少し流し見した程度だけど……なんか特殊なモンスターだったはず!」


「それ俺たち勝てるのか!?」


「わかんないけどさ……ここの場面で逃げる選択肢、ある?」


「それは……ねぇな!」


『……対象ヲ検知……敵対対象ト認定……歴戦値(ランク):A……適正値:十六……難易度:低ニ移行』


「降りてこないうちにやっちゃうね!【バリアハート】!!!」


そうミライが言うと、俺のHPに変なマークが出た。


「それ! 消費型装甲みたいなもの! 一定ダメージ以上で壊れちゃうから被弾には気をつけてね!」


「ありがてぇ! 保険はあるだけいいからな!」


諸々の準備を済ませた俺たちの目の前に、"機械的な"身体をしたモンスターが降りてきた。


『プロトコル:殲滅。システム開始』


「殲滅だと? やってやるぜ!」


「キョート! 気をつけてね!」


「もちろんだ!」


〈兎脚〉(ラビットフィート)!!


あいつの後ろを取る!!


「ヘイトなら私が! 【フレア】!!」


火の塊を機械(サマルテGT)に放つ。

その攻撃は、機械にしっかりと命中した。


「よし!命中!」


目標を見定めるように動いていた機械は、その目をミライへと向ける。


『目標ヲ魔法使いニ指定。殲滅します。』


「へへっ、ヘイト管理もお手の物ってね!」


放射(イグニッション)、【オルタキャノン】』


そう機械が言うと、サマルテGTの肩に巨大な砲台(カノン)が現れる。


「はぇ!? あれやばいやつじゃん!!」


しょうがない……ならこれだ!!


「【ディグウォール】!!」


私を遮るように土の壁が現れる。


発射(バースト)


土の壁と光線が激しくぶつかる。

土の壁にヒビが入り、壊れるかと思われたその時、光線が消失していく。


「よし! 耐えた! 行けぇ! キョート!」


「任せろ!!」


〈兎跳躍〉(ラビットスプリング)!!


背後に回っていた俺は、サマルテGTの頭部めがけて跳び、渾身の蹴りを放つ。


〈兎蹴〉(ラビットキック)!!!


「ぶっ壊れろ!!」


しっかりと命中し、俺はそのままの体勢でミライの作った壊れかけの壁の方へと飛ぶ。


「ミライ! と、止めてくれ!!」


「はぁ!? ちょっと待って! うーん……と……これだ! 【アクアバルーン】!!」


俺が着地する地点に人間大サイズの泡が現れたかと思うと、そのまま俺を飲み込んだ。

そして、俺の蹴りの慣性を相殺した泡は、パッと音を立てて消えた。


「ふぅ……危なかったぜ……」


「ほんとに危なかった……」


「んで、どうする? あいつ、まだピンピンしてるぜ」


放射(イグニッション)、【オルタキャノン】』


「さっきと同じビーム技!!」


「壁の生成は?」


「できるけど一人分なのあれ!」


「なら避け一択!」


〈兎脚〉(ラビットフィート)は……まだリチャージタイムか……


「なら、正面突破で行くぜ……!」


俺はビームの当たらない、(サマルテGT)の足元まで走る。

そして、剣と盾を装備する。


「せめて怯んでくれよ……!」


〈兎斬〉(ラビットスラッシュ)!!!


「よし! クリティカル!!」


サマルテGTはその身を硬直させる……なんてことはなかった。


「はぁ!? まじかよ!!」


どんだけのレベル差って言うんだ!!

流石はユニークモンスターってとこか!?


「これは不味いかもな……」


俺はミライの方へと振り返り言う。


「ミライ! 壁建てろ!!」


その返事は言葉ではなく行動で返された。


「【ディグウォール】!!」


発射(バースト)


瞬間、私は悟った。


「これ……不味い…!!」


放たれたビームは無情にも形成途中の土壁を最も容易く崩壊させ、ミライへと注がれる。


「鏡花!!!!」


ミライの居た地点は、土煙が舞い、その中で起こっていることは目視できなかった。


放射(イグニッション)、【オルタキャノン】』


その砲台は、俺に向けられた。


照準(ロックオン)、【ターゲットサイト】』


「まじかよ……!!」


ロックオンだぁ!? 避けれない? いや、そんなことはないはず……これまでの傾向的に……


「発射した瞬間に離れることか……無理じゃね?」


そう考える俺に答えるかのように通知が鳴った。

俺はそれを確認する。


「……いや、やってやるよ……」


発射(バースト)


〈兎脚〉(ラビットフィート)!!!


俺はビームの放たれるその瞬間、〈兎脚〉(ラビットフィート)を発動した。

そして、すぐさまその場を離れた。


「よし!成功かぁ!?」


分の悪い賭けだったが、なんとか………ってええ!?


「お前……ホーミング出来るのは聞いてねぇぞぉ!!!」


不味い、俺も死n……


「【ミラーポート】!!」


声が響く。俺は気付けば土の残骸が散らばる場所にいた。

俺が受ける予定だったビームは地面に穴を開けた。


「……ふぅ、なんとか間に合った……」


俺の背後で声がする。聞き慣れた声だ。

振り返るとそこには、水色の髪をした、右足が欠けたの魔法使いがいた。


「鏡花!! じゃなかった。ミライ! 生きてたのか!」


「ギリギリ木っ端微塵にはならずに済んだよ……でも、右足が逝った。」


「依然、状況は絶望的ってわけか……」


どうする……

これはゲームだ。だから、死ぬことでリアルに支障が出ることはない。だけどな……


「ゲーマーたるもの! 初見攻略に憧れるってもんだろ!!」


来い! サマルテGT!! 俺がヘイトを受けてやるよ!!


『コノ気配、虚ノ魔法……再計算ノ必要アリ』


サマルテGTは機械的な声色で、言葉を発した。


「再計算……だとぉ……?」


「まずいかもしれない……ってのは今もか」


どう言う計算かはわからない。だが、この場で()たちがあいつ(サマルテGT)を倒せる確率は……限りなく0に近い……


『……対象ヲ再検知……歴戦値(ランク):S……難易度:高ニ移行』


「高だぁ!? ここからが本番ってわけか!! おもしれぇ!!」




放射(イグニッション)、【オルタキャノン】』


「おいおい、またそれか? その動きはもう……」


発射(バースト)


「な!?」


俺たちは間一髪のところで避け……きれなかった。

俺たちはその身こそ残ってはいた。

しかし、俺は体力の8割方を消し飛ばされ、左腕を喪失。

ミライは残り体力が1割を切っており、左足を砕かれた。


ここからの逆転は絶望的と言える状況だった。


「速すぎるだろ……お前……難易度調整ってかぁ……?」


「ごめん、キョート……物理的に動けなくなった……」


油断……? 確かにした。

俺たちは度重なるビーム攻撃により起動から発射までにはタイムラグがあると思っていた。

そうした油断は確かにあった。


レベル差……? 確かにある。

私たちのレベルは16と19。ビギナーと言っても良いくらいだ。

対してあいつはユニークモンスター、もちろんレベルは高い……下手したら10倍以上のレベル差があるかもしれない。


だが、それ以上に……纏わりつく敗北感に、こう思わせる。


俺たちは今、こいつ(サマルテGT)には勝てない……!


「おもしれぇじゃねぇか……これがユニークモンスター……! これがフロンティアグリーディア!!」


俺は残った右手でサマルテGTに指を刺し、言う。


「今は負けてやる!! だけどな……」


「次は私が……いや、私たちが!! あんたを負かせてあげる!!」


「「いつか絶対……お前をぶっ壊す……!」」


言葉を待っていたかのように、佇んでいたサマルテGTは、攻撃のモーションに入った。


放射(イグニッション)、【オルタキャノン】』


そして、光が一点に収束する。


(……ん? 今あいつの目が光ったような……)


発射(バースト)


その言葉を聞いた瞬間、俺たちは高エネルギーな光線を浴びた。


俺たちの目の前は真っ暗になった。


……………


…………………


…………………………


俺は、宿屋のベッドで目を覚ました。

ミライ(鏡花)に連絡する必要があった時に使った宿屋だった。


「……散々な目に遭った……あれもう半分災害だろ……」


俺はフレンドにメールできる機能を使ってミライにメールを送った。


「さて、とりあえず待ち合わせ場所に行くか……」


そうしてメニュー画面を閉じようとした時だった。


「あれ……なんだこれは……」


そこには、このように書かれていた。


状態異常「無情の棘」

この状態の部位に無数の棘が生える。

この状態の部位に、装備を装着する場合、装備する毎に、耐久値を半減させる。

この効果は、『不眠の徘徊者』サマルテGTを撃破するまで解除することはできない。


……は?


「はぁぁぁぁあぁぇえええええ!!??」


なんだこの状態異常!!!?

ここまで長かった。(まだ九話)

プロット通りであれば、次回がオープニングセレモニー最終でございます。

種蒔きはできたか?

私はまだできていないです()

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