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フロンティアグリーディア〜今日と今日から〜  作者: 無食子
虹の旅路よ、世界に響け
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クラン結成! その名は『旅虹者』

「「クラン……?」」


俺たちは同じリアクションを取る。

いや、わかっている。クランというものが何かっていうのは俺たちもわかっている。

ただ……


「妙にきな臭いな……なんでそのメンバーなんだ……? それと、何が目的だ……?」


「まあまあまあ、そういう質問は後で受け付けるから、とりあえずこっちに来て話そうよ」


ファイアワークスはついてこいと言わんばかりに手を振ってどこかへと案内する。


「尚更怪しいだろ!」


「まあまあキョート、私もいるし、一度行ってみてもいいんじゃない?」


そのようにミライが言う。


「でもなぁ……あいつはほんとにやべぇやつだからなぁ……」


まあでも、行ってみるだけか……まあ、ミライやレイもいるし...…そう変なことはしないだろ……うん。


「……ほんとに何もしないな?」


「もちろん。私が約束破ったことある?」


「そりゃ何度も」


とりあえず、俺たちはファイアワークスについていくことにした。




「さぁ、ここだよ」


ファイアワークスによって連れてこられた場所は、「迷光喫茶 雛と翅」という喫茶店だった。


「ここ……前にも似たようなところに来たな……」


「私やネイチャー君と? だったらそうだね。前にここであの会議をしたって感じだし」


「……この名前の店、もしかして何軒もある?」


「そうだよ? でもプレイヤーの中ではあんまり注目されないから、色々重宝してるの」


「ほーん……」


とりあえず中に入るか……


中に入ると、そこには一人の男のような女のような姿の奴が座っていた。


「え、キョート!? それに、ミライって奴まで……」


そこには、ネイチャーが居た。


「なるほどな、ネイチャーも呼び出されたわけだ」


「そうだよ。こちとらな、この場所に来いって座標だけ渡されたんだぞ?」


おいおいマジかよ鬼だなぁ……


「だってネイチャーくんがどこにいるか把握できなかったんだもん。仕方ないよね!」


「仕方なくねぇよ! 電話一本くらい寄越しやがれ! なんでこんな短文メールで伝わると思ってんだよ!!」


「でも伝わったからここにいるんでしょ〜?」


「くそがっ……こんなことなら正解するんじゃなかった……」


ああ、言い合いをしている様を見ると笑えてくるぜ。


そんな俺たちに、来客が来る。


「っとと! あ! 皆さん! お久しぶりです!!」


扉から入ってきたのは、アグリさんであった。


「お、久しぶりだな。元気だったか?」


「はい! 最近はいろんなところを目指してます!」


「いいじゃん、アグリちゃんは流石だね〜! それに比べてキョートといったら……はぁ……」


「何ため息ついてんだお前!」


「だってねぇ?」


「何がだよ!」


そんな話をしていた矢先、ファイアワークスがこちらへと来る。


「あ! よく来たね〜、ささ、みんな座ってね〜、邪魔になるからね〜」


「あ! おい!」


ネイチャーが何か言いたげであったが、ファイアワークスは華麗にスルーし、話し合いの場を着々と整える。


「おい、ファイアワークス! 結局俺たちを集めた意味とか説明しろよ!」


「まあまあ落ち着きなってネイチャーくん。今から話すんだからちょっと静かにしててって」


ネイチャーが吠えているのを宥めるかのように受け流すファイアワークス。

流石は女優、人身掌握はお手のものってか。


「さて……まずはさらりとおさらいから。私たちは、ここにいる五人のプレイヤー……そして、レイちゃんとイベントNPCであるアルス、ネストの計8名で、ユニークモンスター『青の吸血鬼』……いや、『黒藍の吸血鬼』を倒した。これに間違いはないよね?」


「あぁ、まあそうだな」


「最後キョートに美味しいところ掻っ攫われたけどな」


「良いだろうが、そこは別に」


俺たちが何か言い合う……と言うところで、

コホンと咳き込むファイアワークス。

それを聞き、俺たちは黙った。


「はい、そう言うのは後、話を脱線させすぎないでね。ってことで、話を戻すね。その時にアナウンスがあったよね? あれ、あの時フログリにログインしていた人全員が聞いてたらしくてね。みぃんなの名前が出ちゃったわけよ。」


「なるほど!」


アグリさんが相槌を打つ。


「まあ、言っちゃえば私たちは、このフログリで有名人になったってわけなのよ」


「……まあ、そう言えなくもない……かも?」


ミライが少し疑問に思う。


(別にそこまで詰め寄られたとかなかったけど……)


ファイアワークスがさらに話を進める。


「それでね。この"「ユニークモンスター」を討伐した経験を持つプレイヤー"っていうのが、現時点で五人しか居ないわけ。そんな貴重な人物が目の前で歩いていました。そしたら皆ならどうする?」


「え……まあ話しかける?」


「そうですね……! お喋りします!」


「そう! そうだよね? お話とかするよね? そこでもし、クラン未加入の人だってわかったらどうする?」


「え……まあ、ソロプレイヤー(ぼっち)なのかなって思う?」


「特にどうとかはしません……!」


ミライとアグリさんが言う。

それに対して、ファイアワークスが返答する。


「違う! 答えを言ったげて、二人とも」


うわ、なかなかのキラーパスじゃん。

まあいいか……どうせファイアワークスの考えだ……これだろ。


俺たちは同時に答えた。


「「仲間に引き入れるか無理なら拷問」」


「そう! 正解!」


何が正解だよ、お前の行動指針じゃねぇか。

そんな気持ちを抑えつつ、話を聞き続ける。


「このままだと、みぃんなの健全なゲームライフが消滅しちゃうわけ! だから〜、その健全なゲームライフを守って行くための組織を作りたいんだよね。ってことで、みんなのことを呼んだんだよ」


「……組織……ですか?」


アグリさんが聞く。


「うんうん! そうそう! つまり何が言いたいのかと言うとね……私たち五人でクランを結成しない? ってこと」


その言葉を聞いたネイチャーとアグリさんは、共に固まる。

どちらも、色々考えているようだ。


「まあ、俺はいいぜ。特にクランに入ったらいけないこれと言った理由はないし」


ネイチャーが言う。


「私も構いません! どこかに誘われたとかはないので!」


アグリさんも答えた。


「おっけー、二人は決定ね。キョートくんとミライちゃんはどうする?」


どうするって言ってもなぁ……別にどっちでも……


そんなふうに思っていると、ミライが言う。


「私は入りたいです。やっぱ、どこかのクランに入りたいなってちょっと思ってたので、もしできるとであれば嬉しいですね!」


ふむ……ミライが入りたい……か……


「俺も入る。ただその代わり、リーダーとかは全部ファイアワークスに任せるけど、それでも良いならな」


「そこはもちろん。私がしっかりしてあげるよ」


地味に怪しいのがアレなんだよなぁ……こいつ……


かくして、俺たちはクランを結成することになった。


「いやぁ、よかったよかった。もし断られたら入るって言うまで尋問するところだったよ〜」


「おい。やめろ」


「あはは、冗談冗談〜」


こいつの場合冗談でも怖いんだよ……何かしでかしそうでな……!


とりあえず、クランを作る流れになったところで、アグリさんが喋る。


「ところで、名前とか決まってるんですか?」


純粋な疑問を持ちかける。その言葉に、ファイアワークスが止まる。


「そこなんだよねぇ……名前とか一切決めてなかったんだよね〜」


ネイチャーが口を挟む。


「お前がつけると花関連になりそうだから全部却下な」


「えぇ? ひどくなぁい?」


妥当だろ。

俺は心底そう思った。


「にしても……クラン名か……全員で案とか出し合うか……?」


俺の言葉に、ミライが返事する。


「そうする? みんな何個か案を出して、その中から選ぶって感じで」


「んじゃ、それでやろう」


ファイアワークスがそう言うと、各々で色んな案が出てくる。


ユニークハンター、向日葵、炎上隊、突撃隊、ファイアワークスと愉快な仲間たち、などなど……


ただ、俺たちが目に入ったのはそれではなかった。


「じゃあ……どうするよ……このままだと"花火師"になるぞ。俺たち別に花火師でもねぇのに」


「うーん……そうですね……みんなにもさまざまな色があるんだし……"旅する虹達"ってことで……「旅虹者(アイリスライゼ)」とかってどう?」


ミライが言った言葉に、みんなが少し目を丸くする。


「かっこいいじゃねぇか……」


「うん、洒落ててセンスも良い」


「かっこいいです!」


ネイチャーは感嘆し、ファイアワークスは素直に褒め、アグリさんもカッコいいと言う。


「良いじゃん、それにしようぜ」


そして俺も肯定する。


「んじゃ、決まり! 私たちは今日から、クラン『旅虹者(アイリスライゼ)』ってことで!」


この日、クラン『旅虹者(アイリスライゼ)』という、新たなクランが設立された。

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