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フロンティアグリーディア〜今日と今日から〜  作者: 無食子
虹の旅路よ、世界に響け
80/168

時に砂漠には巨大生物がいるという

眠すぎ侍

俺たちは、砂漠を歩いて次の街へと目指している。

目的地は蟲地王国の王都だ。


「わぁ! またアリ地獄なんだけど……!」


またミライはかかっている。


「おまえ……見てなさすぎだろ……」


「しょうがないじゃん! 風景と同化して見えないんだって!!」


「下見て歩けよもう!」


ため息がつきたくなるような状況だが、そのまま構わず歩き続ける。


「しかし砂漠ってのは結構退屈だな……景色が全然変わらない……」


「そうだねぇ……じゃきーさんはどう思う?」


「え!? あ、そうですね……私は好きですよ。砂漠を歩くの」


ほう……意外だな。

インフルエンサーなんだからもっとこう……派手なものを好むと思っていたが……


「へ〜! どう言うところが好きなの?」


「そうですね……なんと言うか、無心になれるところとか?」


無心になれるところ……か……

無心って、ほんとに何も考えないってことか……?

だとしたら相当疲れているのかそういうのが好きなのかって感じか。

それともただの作業厨ってだけか……

まあ……詮索はあんまよくないな。


そんなことを考えていると、木々が育っている場所を遠目で確認する。


「お、あれがジャングルか……?」


「かもしれないね……もうすぐこのアリ地獄から解放される!!」


「……ちょっと待ってください」


突然、天皇河さんが言う。

すると、俺たちが進む道が少し隆起する。


「…………なんか来るぞ」


「お客様のお出ましってかんじ?」


「でかいでしゅ……!?」


「どちらかと言うと私たちがお客様ですけどね……」


その隆起は徐々に大きくなり、その姿を露わにする。


〈Voice:シンボルモンスター ビッグサンドワームと遭遇しました。〉


「うわ……」


「なにこいつ……」


「で……でかいでしゅぅぅぅうう!!?」


俺たちの目の前に現れたそれは、巨大なワームであった。大きな口には無数の牙が見え隠れし、今にも俺たちを飲み込まんとうねり動き、側面についている目のようなものが俺たちを見つめる。

巨大なミミズかヒルか……そいつが俺たちを飲み込まんと這いずり向かってきていた。


ビッグサンドワーム……?

おいおいこいつぁビッグってレベルじゃねぇぞおい……



「これは……」


天皇河さんも絶句しているよう……


「可愛らしい芋虫さんですね……!」


……え? 今なんて……?


「ですが……モンスターであるならば……」


そう言うと、天皇河さんは弓を構える。


「倒してアイテムにしちゃいます☆」


キラキラした目で、ワームを見つめる。

もしかして天皇河さんもなかなか変な人か……?


「……今はそんなことを考えるな……よし、さっさと倒すぞ……! 行くぞミライ! レイ!」


「わかってるよ!」


「でしゅ!」


俺は『雷電』を取り出し構える。

ミライも杖を、レイも棍棒を取り出して構える。


「ギャァァァァアアッッ!!!」


俺たちは向かい合う。

最初に動いたのは、ワームであった。

風により、砂が舞う。

その風は、ワームの周りを周回する。

その風は、やがてワームに纏わり、自らの鎧として機能させているようであった。


「あれは……鎧か……?」


砂嵐が膨張を始める。それは、このフィールド全体に続いていた。


「くっ……なんだぁこの砂嵐は……!」


「ちょっと痛いでしゅ!」


砂嵐……ダメージが出んのかよ……!


「なら……晴らせば解決……!! 【サイレントエリア】!!」


ミライが魔法を唱えると、俺たちの周囲に舞う砂が停止し、砂嵐が止む。


「ナイスだミライ!」


「気をつけてね! あくまで私たちの周りだけだから! あいつの周りはずっと砂嵐だよ!」


なるほど……だが、それだけで十分……!!


「行くぜ……〈兎脚〉(ラビットフィート)!!」


俺は脚力を増強し、ワームに突撃する。


「このまま駆け上がってやるぜ……!!」


俺はワームの身体を使い上へと登る。


「どんどん行くぜ……オラオラオラオラァッ!!!」


ワームにどんどんと斬り込んでいく。

だが、あまりダメージが入っていない。


「くっ……かてぇな……装甲か……?」


硬い感触が刃を伝い、俺へと届く。

そして、まるで俺の剣を弾いているかのような音を出す。


「効かない……? いや、何かあるはずだ……」


こいつはあくまでワーム……どこかにやわらかい部分があるはず……そして、そこが弱点のはずだ……


「行きます……〈一射一殺〉!!」


天皇河さんの弓から、矢が放たれる。

そして、奴の目にクリーンヒットした。はずであるが……


「ギャァァァァアアッッ!!!」


「……っ!? 効いてない……!?」


奴め……目も硬いのか……? いや……瞼でも付けてるのかもしれない……どちらにせよ、目を狙うのは得策じゃない……


「ギャァァァァアアッッ!!!」


「くそ……こんな至近距離で聞いてたら耳が潰れるぞ……」


「うるさ……まじでうるさいじゃん!」



「…………であれば、弱点は口です!!」


天皇河さんが叫ぶ。


「口……なるほどそうか!」


奴の目を狙う必要など全くない。

それよりも的のでかい……あの大きな口に……!


「登るぜ……! 〈兎脚〉(ラビットフィート)!!」


俺はワームのロッククライミングを登り切る。


「よし……これで……ってうわっ!?」


煩わしく思ったのか、ワームがジタバタし始める。

まるで暴れているかのようであり、思わず俺も体勢を崩す。


「やべ……落ちる……!」


「暴れさせなきゃいいんでしょ……! 【プラントチューン】!!」


ミライが放った魔法により、サボテンが大量に出現する。

そのサボテンはワームの周りを回る砂嵐をものともせず、そのままワームを拘束する。


「レイちゃん!!」


「でしゅ!! 矯正するでしゅ……! 〈怒棍〉!!」


レイがワームに目掛けて突撃する。

そして、棍棒を力強くスイングし、ワームに痛打の一撃を与える。


「ギャァァァァアッッッッ!!!」


「よし! 効いてる効いてる!!」


ワームはその一撃で、一気に姿勢を正す。

落ちかけていた俺も、口が上になったおかげで足場が平面になった。


「よし……やるか……!」


俺は『雷電』をインベントリにしまい、『戦月兎(ミアテット)・直剣』と『戦月兎(ミアテット)・円盾』を取り出す。その横には、『合体可能』と書かれていた。


「全力で行くぜ……〈合体〉!!」


俺の持つ剣と盾が、一つの『大剣』となって現れる。


「さぁ……この芋虫をぶっ飛ばそうぜ……『戦月兎(ミアテット)・兎十大剣』!!」


ワームは危機を感じたのか、暴れようともがく。


「おっと……それは……させないよ!!」


「私も手伝います! 〈一射一殺〉!!」


「行くでしゅ! 〈怒棍〉!!」


レイが一撃をぶち込む。

そこに、天皇河さんの矢がぶっ刺さる。


「ギャァァァァアッッッッ!!!」


「今、口を開けたな……?」


ここに……一撃をぶち込む……!!


「一撃でぶっ飛ばしてやるよ! 兎人族(ラビニア)流奥義! 〈鋭兎角撃〉(ラビットスパイク)!!」


大剣が、俺が、ワームの中へと入る。そして、突き当たりまで突き進み、ワームの"弱点"に突き刺す。

その攻撃が致命傷となったのか、ワームはその場に倒れ伏し、俺は体外へと吐き出される。


「うわっ!? ってて……」


「キョートさん! 大丈夫でしゅ!?」


レイが俺に駆け寄る。


「おう、大丈夫だレイ。ただ……」


俺の装備は全身が奴の唾液に塗れ、ヌメっとしていた。


「……まぁ、毒性のあるもんじゃなかっただけ幸いか……」


遅れてミライと天皇河さんも駆けつける。


「キョート! 大丈夫……そうだね!」


ミライは少し笑いを堪えている。


「大丈夫ですか? その……洗いましょうか?」


天皇河さんが言う。


「え? 洗えるの?」


「いや、そういう魔法とかを持ってるわけではないのですが、川などで……とか……?」


……それ、俺が社会的に死ぬ流れでは……?


「いや、いい。どうせもうすぐで王都のあるジャングルまでいけるんだ。そこで洗うよ」


「そうですか、もしあれでしたらいつでも言ってください!」


「わ、わかった……」


なんか苦しいな……善意のつもりなんだろうけど……


そんなこんなで、俺たちはジャングルと砂漠の境目へと辿り着いた。


「よし……気を引き締めよう……何が出てくるかとかわからないからね……」


ミライがそう言う。

確かに、未知の世界ってのは何が起こるかなんてわかんないしな……


「よし、それじゃ行くぞ! 目指せ王都!!」


俺たちは、ジャングルの奥地へと進み始める。

色々あって時間ができたので珍しい後書き


蟲地人族(インセクター)について

現在の地球でいう「昆虫」をモチーフとした種族。

大体の蟲地人族は外骨格というものを備えており、ある程度の装甲が保証されている。

かなりの動体視力と感覚に特化しており、タンク向きの種族。

最初の種族選びで選ぶことが可能。その際、出身地が「グラスノア蟲地王国」固定となる。(場所はランダム)

また、成長すれば羽を使った飛行もできるらしいが、プレイヤーがそれをしたという記録は一度もない。

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