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フロンティアグリーディア〜今日と今日から〜  作者: 無食子
虹の旅路よ、世界に響け
78/86

うわ! 野生の配信者が現れた!

やうやう白くなりゆく原稿

ノウェステッドへと辿り着いた俺たちは、そのままの勢いで蟲地王国へと向かう。


「活気がすげぇな……なんでこんなに人がいるんだ……?」


「そりゃぁねぇ……? 新大陸に行くって言うんだから、人は多いでしょ」


新大陸へは主に二つのルートがある。

スタルトラ王国の南部にある「サウスポート」から行く「海岸沿いルート」と、ここ「ノウェステッド」から行く「内陸旅ルート」だ。


俺たちはこの「内陸旅ルート」を通る。

と言うのも、海岸沿いルートの方がはるかに早く着くのだが、一度旧大陸の全ての町を訪れたことのある冒険者しか行けないという。エンドコンテンツみたいな航路なのだ。

もちろん、そこまで探索ガチ勢でなければ全ての街を行くなんていうアホなことはしない。

であるからして、この街に滞在して次のところへと行く人が後を断たないとか……


「まあ、歩くのも悪くないね。こうやって眺めてみるのも最高に面白いし」


「クソゲーのしすぎで頭溶けてんじゃねぇのか? お前」


「何言ってんの、クソゲーは栄養分だよ」


「その神経どうかしてるぜ……」


ノウェステッドの活気はかなりあり、そこら中に馬車案内や路上カフェなどが店を開いている。

NPCもこういうのに乗じるように設計されてんだな……いや、プレイヤーがしてるのか……?


「とりあえず、さっさと行かない?」


「そうだなぁ……なんかご飯でも食べるか?」


「ご飯!!? 食べるでしゅ!!」


レイは食欲旺盛だなぁ。

そんなふうに考えていると、ふと俺たちの前に一人の少女が歩いてくる。

ただ、特に何もなく、そのまま通り過ぎる……


「ねぇ、そこのお三方さん」


「……? 俺たちのことか?」


振り返る。そこには、黄色と緑、それから白など、様々な髪の色を艶めかせる美少女が立っていた。


「私も新大陸に行きたいんです。一緒について行っていいですか?」


「え? まあいいですけど……」


「あれ……どこかでみた気が……」


ミライが何か言っている。

すると、人だかりが増える。


「あ! あれって! じゃきーじゃない?」


「あ! ほんとだ! でも今配信してる?」


「配信してないな……てことはコスプレか……?」


「なんでお前今確認できるんだ……?」


ワイワイガヤガヤと周りから声が聞こえる。

どうやら有名人……みたいだな……


「いやぁ……ちょっと離れましょう? ちょっとここだと話しずらいというか……」


「んぁ……まあいいっすけど……」


「どこにする? カフェとか? レストランでもいいよ?」


「いえ、この街を出るんです」


「え?」


そう言うと、少女が俺たちを押す。

うわ……なんで怪力だ……レベル差か……?


俺たちは休憩をすることを許されず、この街を出発した。


◇◇◇

「さて……もうそろそろだな……」


俺たちはスタルトラ王国を出発し、蟲地王国と呼ばれる場所へと向かっていた。

謎の少女も一緒に連れて。


「この砂漠……なんでこんな……歩きづらい……の……!!」


ミライは心底イラついている。

それもそのはず、この「静森伐麓(せいしんばっぽく)の砂漠」というエリアは、名前の通り砂漠なのだ。それだけならまだ良かったが、このエリアの砂には、至る所に落とし沼……いや、アリ地獄がある。

ミライはそのアリ地獄に、もうかれこれ6回はかかっていたのだ。流石に俺もそれをされたらイラつく。


「てか……なんでそんなハマるんだよ」


「しょうがないでしょ〜。めちゃくちゃわかりにくいんだから!」


「ミライさんもおっちょこちょいなところあるんでしゅね……」


「そりゃあるだろ。だってミライだからな」


「はぁ!? それ、どう言う意味ですかぁ?」


「あはははは……行くぞレイ、走るぞ!!!」


「うぇ!? で、でしゅぅぅぅううう!!??」


「あ! こら待たんかぁい!! あ、落ちたぁぁぁああ!!」


相変わらずの煩さだ。あいつ、あんなんでも学校ではクールキャラだからな……よく隠し通せてるなほんと。


「……大丈夫ですか?」


「あ……ありがとう。えっと……」


(名前わかんないからなんで呼べばいいかわからない…………!!)


「おーい、早く来いよ」


「わかってる! あ、ありがとね! 名前わかんないけど、じゃきーさん?」


「大丈夫ですよ、それで」


「おっけー、じゃあよろしくね。じゃきーさん」


俺たちはそのまま歩き続ける。

少ししたところで、一つの街を見つける。


「お……あれか……?」


「あー……あれっぽいねぇ?」


「で、でしゅぅ…………」


目を細めて、すごく渋い顔になるレイに笑いそうになりつつも、とりあえず近づくこととした。


「うん……あの見た目……砂漠の街……間違いない、蟲地人族(インセクター)の集落! ってことはここは……」


「ようやく着いたぜ……グラスノア蟲地王国……!」


俺たちはグラスノア蟲地王国へ到達した。


グラスノア蟲地王国

蟲地人族(インセクター)が作り上げたとされる王国。

砂漠やジャングルを拠点としており、王都はジャングルにあるらしい。

また、人間も普通に住んでいる。


「さて! こっからどうする?」


「まあ、私たち何も考えずにここに来たもんね……地図とかあると嬉しいんだけど……」


そこに、レイが元気に言う。


「お腹空いたでしゅ!」


そういえば……

この少女がついて行かせてくれって言ったからここにきたんだった。


「ところで、自己紹介とかしようぜ。名前がわからないと交流しずらいからな」


「では、そちらから聞いてもよろしいでしょうか?」


「俺たちからか……まあいいか。俺はキョート。そしてこっちがミライ、レイだ」


「よろしくね」


「でしゅ!」


「なるほど……よろしくお願いします!」


その少女は少し離れて自己紹介をする。


「私は、レインボーテンポラリー所属のVtuber、天皇河 邪鬼子(あまのがわ じゃくし)と言います! よろしくお願いします!」


「レインボー……?」


「テンポラリー……」


レインボーテンポラリー……か。

聞いたことあるな……


「たしかVtuber事務所……だっけ?」


「はい! そうです!」


レインボーテンポラリー

現在日本を代表するVtuber事務所の一つ。

所属人数は海外も合わせて300人を超えるほどの特大事務所だ。

インターネットを触ったことがある奴らは誰でも知っている影響力の強いところ……ってイメージだったけど……


「あー、天皇河邪鬼子って、あの弓の子!? 見たことあるよ! すごい手捌きだったね!」


ミライは知ってるのか。こいつのこと。

俺は事務所のことしか知らなかったな……


「見てくれたんですか? 嬉しいです!」


参ったな……有名人じゃん……

配信とかされたらどうしよう……いや、別にやましいこととか何もないけども……

でも、これ俺事案だろって言われたら何も言えないな……まあ、不用意に許可しちゃったしなぁ……裏切るとかそう言う気がないならいっか……


「まあ、そんなのはどうでもいいんです! それより、お二人に一つ聞きたいことがあります!」


「ん? 聞きたいこと?」


彼女……天皇河邪鬼子が、少し沈黙の後、俺たちに問う。


「時にお二人は、「ユニークモンスター」を討伐したことがありますか?」


「いやに唐突だな……それに「はい」と答えたらどうなるんだ?」


突然、彼女の様子が変わった。

先ほどまでのホワホワした感じではない。

たしかに朗らかな雰囲気を醸し出すが、それ以上に……


「やはりそうでしたか! よろしくお願いします!」


(見つけました……"映え"を……!)


キラキラと輝く捕食者の目をしていた。

ついに出てきました。配信者さんこと天皇河邪鬼子です。

多分作者が今一番推してるキャラかもしれない。

深掘りしすぎた……

出るかはわからん! ちょっと! 許してください!!()

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