第七話 旅立ちと出会い
間に……あったぞ……!!
割と余裕だった!!
あと、前回の後書きに称号について記載しました。
はぁ……今日は散々な目に遭った……
眠気に襲われるわ、寝たら先生に叩き起こされるわ、叩き起きた反動で頭をぶつけるわ……なんで頭ぶつけたんだ……そうだ先生の顎とぶつかったんだった……それはそれで面白いな……
「あはは、景兎ってば徹夜でゲームしてたの?」
「しょうがないだろ、まさかチュートリアルに1日も使うとは思わんだろ誰も」
「まあ、それは確かに」
かくいう私も昨日はチュートリアルに全ての時間を使っていた。
「ところで、チュートリアルはもう終わった?」
「ああ、速攻で終わらせた。」
「流石景兎、早いね」
「そういうお前はどうなんだ? 鏡花」
「私も終わったよ〜。割と簡単だったからね」
「そうか、んじゃ合流できそうだな」
「だねー」
「俺は今王都に向かってるから、王都のどっかで合流しよう」
「そうだね……冒険者ギルドとかにする?」
「おっけー、頑張って行くわ」
「まあ、時間かかるだろうし、着きそうになったらログアウトしてメールで教えて欲しいかな。」
「んー。まあ、善処する」
「おいおい景兎……」
そんなことを言いつつ別れ、今後について考えていた。
「やっぱ攻略サイト見るべきかぁ……?」
いやでも俺は攻略サイトとかみない主義だし……自分で見つけたやつが既出の内容でしたとか言われると無性にイラッときてしまうからな……
「とりあえず帰って続きするか……」
俺は家に帰り、いつも通り妹に荒らされた自分の部屋を清掃をして、フログリにログインする。
飛鳥め……いつか覚えておけよ……
---Log in
「さて、いくか……」
「あ、おにいちゃんおはよー!」
「おはよう、ミア」
俺の前に妹と名乗るNPC「ミア」が来る。
もちろんしっかりと接する。NPCとの親睦を深めることが攻略の鍵になるのは今時のゲームどころか、昔のゲームでも大体そうだからな。それにこのゲームはNPCの造形や仕草もリアルそっくりというかリアルそのもので作られているから、割とそうしないと白い目で見られそうなのもある。
「きょう、しゅっぱつするんだよね?」
「ん? あー、そうだな。」
「これ、おかあさんとおとうさんからって」
「ん?」
俺お母さんとお父さん居たのか……いやまあリアルではいるけども……
それはそうと、ミアから手渡されたのは少々の回復ポーションと冒険者御用達の品々であった。
「縄にロープに水袋……地図に食料に寝袋…………」
「それがおとうさんとおかあさんからで……」
ミアはさらに俺にアイテムを渡した。
「これは……剣と盾……?」
「これはわたしとティアおねーさんから! おにいちゃんのたて、こわれちゃってるっていってたから、つくったんだよ!」
えー、うれし〜
NPCがそんなことをするとは思わなかった……
いや、もうNPCとして見るのは違うかもしれないな。
「わかった。大事に使うよ」
「うん! がんばってね!」
俺はその後、村を出発した。
ミアとティアさんに見送られながら出発した。
母と父はいないのか!? いや、プレゼント貰ったからいるにはいるんだろうけど……
「さて! ようやく始まったな……俺のフログリが……!」
まずは全速力で王都へ向かう!
今でも王都の名前すら知らないのは不味いし、鏡花とも待ち合わせをしてるからな。
〈兎脚〉!!!
ひゃっふー! レベルも上がったし、事故のリスクは低くなった! それに心なしか速くなった気もする。
「……てか、どこにあるんだ……?」
地図があったはずだ……見ればわかるはず……ってえ?
「白紙……? というか……あの集落周りしかない……」
この地図……俺の行ったところしか記憶しないのか!?
「はぁ!!? 嘘だろお前! まじかよ……!」
そんなふうに俺が地図を見ながら考えている。
余所見をしていると前方の不注意に気づけないわけで……
〈前方から生命体の反応〉
ん?
「あれこれ……まっずい……!!」
「とまれぇぇぇえ!!!」
「え?うわぁ!!」
俺は全速力で人とぶつかった。
………
……………
…………………
「いてて……あ、大丈夫ですか?」
「いたた……いえ、こちらは大丈夫です……」
えっと……
「「申し訳ございません!!」」
「……あ」
「あ……」
俺は謎の少女……? と遭遇した。
「えっと……体力減ってませんか? ポーション要ります?」
「いえいえ、大丈夫ですよ! そちらも体力とか減ってますか? ポーションならありますよ!」
「いやいや、俺は別に……」
このまま譲歩しあってても埒があかない……かといって余所見して迷惑かけたのも事実だ……どうするべきか……そうだ
「少しいいですか?」
「はい! なんでしょうか!」
「王都へはどっち方向に行けばいいですかね? 道に迷っていまして……」
「王都……王都クランドですかね?」
へぇ……王都の名前はクランドというのか……
「多分そうです。そこに行きたいのですが、道がわからなくて……」
「そ、それでしたら! 私が案内しますよ!」
「え!? いいんですか!?」
それは願ってもない話だけど……
「ですが、あなたも何か用事があるのでは?」
「依頼達成分のは取ってます! 後は帰るだけなんですが……」
なのにこんな山道に……?
曰く、依頼達成するとそのアイテムが消費されてしまうクエストらしい。だから、自分の分も確保していた最中らしい。万が一必要な場面が来るかもしれないからとのこと。
ははーん……さては典型的な収集癖だな?
特定のものに限らず、アイテムを沢山持っていないと不安になる、落ち着かない、使い時があるかもしれない、今後使うかも、そう思う人たちのことだ。
「なるほど……なら、お願いします。」
「あ、はい! まかせてください!」
「あ、そうだ。俺の名前はキョートです。職業は二刀流の戦士です。」
「キョートさんですね! よろしくお願いします! 私の名前はアグリといいます! 職業は探偵です!」
「アグリさんね、よろしく」
「はい!」
探偵なんてあるんだ……へぇ……よく見てなかったや。
俺はアグリさんをナビゲーターとしつつ、王都クランドとやらを目指した。
「……あの……」
「はい! なんでしょうか?」
「アグリさん……めちゃくちゃ運良いですね……ある意味」
「……えへへ……」
俺はアグリさんと一緒に王都を目指していた。
はずだった。
気づけば全く違うであろうところへ行き、そこから爆弾ネズミに追いかけられ、爆発して飛ばされ、運良く川へと落ち……気がつけば王都らしき街のすぐそばまで来ていた。
「えへへ、じゃないよ! アグリさんすっごい運良いけど俺は普通に死にかけたからね!?」
おかげでレベルは上がったがHPが1だ。LUKを上げると確率で1耐えるようになるらしいから、そのおかげだろう。
「申し訳ございませんキョートさん! 私、こういう性質でして……いつもパーティからクビを宣告されるんです……パーティの人じゃなければ大丈夫かなと思いました! 迷惑かけて申し訳ございません!」
おっと……結構重い過去持ちだったか……だが……クビを宣告するほどか?
「いや……そこまで謝らなくて良いよ。俺も俺でレベル上げとかできたし。」
「……ほんとですか?」
「うんうん、ほんとほんと」
嘘ではない。実際レベル上げしないとなと思ってたし、死にかけはしたがゲーマーからすると日常茶飯事、むしろLUKを上昇させるメリットも知れた。
「さっきはああ言ったけど、あれはただのツッコミさ。俺は特に迷惑には思ってない。それに! ちゃんと王都の元まで案内してくれたからな!」
「そう……ですか……」
「そうそう! あ、俺待ち合わせしてるんだった! んじゃ! またな!」
「あ、あの!」
「ん?」
「よろしければ! フレンドになってくれませんでしょうか!!」
「フレンド……?」
あ、そんな機能あるんだ。知らなかった。
あ、ほんとだ、メニュー画面全然開かないから気づかなかったわ!
「いいぜ! フレンドになろう。」
「……! はい!」
〈PN:アグリからフレンド申請が来ました。承認しますか? YES NO〉
もちろん「YES」だ。
俺はアグリとフレンドになった。
「んじゃ! 人待たせてるから! じゃあなアグリさん!」
「はい! キョートさんもお元気で!!」
かくして、俺はアグリと別れた。
「やべー……鏡花にどやされそう……」
「良い人だったな、キョートさん。」
もちろん俺は鏡花にドヤされた。
アグリさんの登場です。
再登場はあるのか? 私にもわからん。