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フロンティアグリーディア〜今日と今日から〜  作者: 無食子
憂越は鬱りて、尚陽炎を見ず
51/159

第四十一限 黒藍の吸血鬼、その1

ようやく最初に描きたいところに辿り着きました。

見てくれている方々、本当に感謝しています。

楽しんでいってください。

一つ静かな部屋で、小さな音がこだまする。

その音は、誰かにプログラムされたのか、はたまた自ずからの意志なのか。


「もうすぐだ……もうすぐここに彼女がくる……」


始まりのチャイムは、静かに鳴り響いた。


◇◇

「レイちゃん、そろそろ学校に行こっか」


「でしゅ!」 


今日も今日とて学校へと行く。

魔法学校へ通うのはこれで何日目になるのだろうか……


「……キョートさん……今日もいないでしゅね……」


「あいつは……まあなんかしてるんでしょ。ささ、急がないと遅刻するよ〜」


「で、でしゅ!」


キョートは最近見かけない。

まあ、あいつのことだから、飽きてやめたとかではないとは思う……というかそもそもログインしているのを何度も確認している。だからゲームをしてはいるんだろうけど……レベルでも上げてるのかな……


私はというと……




ーーーーー

PN(プレイヤーネーム):ミライ

レベル:51

職業:魔法使い

副職業:なし

種族:人間

出身地:スタルトラ王国 王都クランド

生まれ:貴族の子

ステータス

HP〈体力〉:30

MP〈マナ〉:38

STM〈スタミナ〉:20

STR(筋力): 16

DEX(器用): 35

AGL(敏捷): 24

MGC(魔力): 47

LUK(幸運): 30

TEC(技巧): 25

DEF(守備力): 20

INT(知力): 45

MST(精神力): 38

VIT(生命力): 20


装備

頭:なし

顔:なし

胴:綺羅星のブレザー

右腕:無手情舞(むしゅじょうまい)

左腕:なし

背中:なし

腰:綺羅星のスカート

右足: 魔法使いの靴

左足:魔法使いの靴

アクセサリー:なし


所持魔法

ーー基本魔法ーー

【バリアハート】

【インスタントヘルス】

ーー属性魔法ーー

火【フレア】

土【ディグウォール】

風【ウィンドカッター】

水【アクアバルーン】

木【プラントショット】

木【プラントチューン】

水【ウォーターヒール】

風【ウィンドボイス】

土【マッドブレイク】

火【ボルフレア】

ーー鏡洛魔法ーー

【ミラーポート】

【イミテーション】


持ち物

・綺羅星のスタッフ

・黒のカード

ーーーーー




一応授業を受けることでレベルが上がっているみたいだ。レベルも50を超えた。

流石にキョートが短期間で大幅にレベル上げてるなんてないでしょ。うんうん。


余所見をしつつ学校へと向かって歩きながら、レイちゃんと私は会話をする。


「今日こそは手がかり見つかるといいでしゅね……」


「そうだね……」


あの部活の探索から数日が経っていたが、私たちの捜索の進展は止まっていた。

あのチャイムはアルスさんがどうにかしてくれたみたいだけど、その他の情報はもう出尽くしていた。

私たちに残された七不思議は二つ、「夜中に現れる吸血鬼」そして、「黒い謎のカード」だ。


私は黒いカードを持っている。だから、「黒い謎のカード」が一番手っ取り早く探すことができそうなものなのだが……見つからない。

手がかりが一切見つからないのだ。

なので私たちは、「夜中に現れる吸血鬼」を探して奔走していた。

校舎ごとに夜中の間探索をし、手がかりが無ければ次の校舎を……という風に探していた。

教師が居そうな南館を最後にするために、東館、北館と周り、今日は西館校舎を探す日だ。

といっても、西館は何回か深夜付近に行った気がするから、居るのかと言われると疑問が出るが……


「後、3日だっけ、あの魔法学校に居れる時間は」


「そうでしゅ! だから、私は最後まで頑張るでしゅ!」


「……うん、そうだね。さ、走ろっか!!」


「でしゅ!? い、いきなりでしゅぅ〜〜!!」


私たちは学校に行く。そして、アルト先生の授業を受ける。これも12回目。後2日でこのカリキュラムは終了する。


「今日の最後の授業は、最初の方にした体力測定を行いましょうか。ここの的に魔法を使い、壊してみてください」


アルト先生がそう言うと、真っ先にレイちゃんが手を上げる。


「私から先にしたいでしゅ!」


「威勢がいいですね、レイさん。では、魔法を撃ってみてください」


「でしゅ! 【ボルフレア】!!!」


レイちゃんが出した【ボルフレア】は最初の授業の時より小さくなって生み出された。しかし、その小ささに不安感などはなかった。

猛々しく燃える紅き炎を前に、その的は跡形もなく燃え尽きた。


「やったでしゅ!! 成功でしゅ!!」


「いいですね、レイさんは最初の課題を克服したみたいですね。では、次はミライさん、あの的に向かって魔法を放ってください」


「は、はい!」


うわぁ……少し緊張するなぁ……


私は的と向かい合う。

最初の授業では、炎属性の【フレア】を使っていた。

だから、例え得意なのが水魔法だとしても、【フレア】で仕返すのが流儀ってもの!


「いきます……【フレア】!!」


イメージは……身体の丹田に力を込めるかの如く……!

【アクアバルーン】と【ウォーターヒール】で散々した……炎の中に炎を……閉じ込める……!


私が放った炎は、確かに的に命中し、そして、その表面からチリヂリになって焦げていく。

そして、その身体は燃え尽きた。


「……さすがですミライさん。レイさんもそうですが、あなたたち二人は魔法の才能が大いにありますね。では、最後に点数表示を」


点数表示……?


「そうでした、言ってませんでしたね。この的は壊されると自動的に点数をつけてくれるのですよ。その点数により、この課題の成績が決まると言うことです。まぁ、実践練習ですから、壊せないと意味がないのですよ」


「なるほど……」


「ふむふむ……レイさんは68点、ミライさんは57点ですね。お二人とも平均以上ですか、流石です」


「うわぁ! レイちゃんに負けたぁ……!」


「やったぁ、勝ったでしゅ!! ……ところで、勝ったら何かあるでしゅ?」


「ありませんよ。これは貴方達の実力を示す数字です。ですが、これが全てではありません。ですので、そう気負う必要もありませんし、ここで驕り高ぶるのも違いますよ」


「わ、わかったでしゅ……!」


「では、今日はここまで。また明日ですね」


「ありがとうございました!」


「ありがとうございましたでしゅ!」


私たちはいつもの場所に行く。

もう何度目だろうか、最早家かのように住みやすいように見える校舎裏には、アルスさんとネストくんが居た。


「ども〜〜! 早かったでしょ〜〜?」


「普通に遅いわ! 何分遅刻してると思ってんだ!」


「まあまあ、用事があるのは夜中ですから、まだ時間はありますよ。それにネストも少しの遅れだけでそんなに怒らない……!」


「お前もちょっとは怒れよ。まあ、噛み合いが悪かったりするのはこっちにも非があるかもしれないけど……にしても遅かったな……何してたんだ……」


私とレイちゃんは少し不気味に笑う。


「ふっふっふ……実はね……」


「ふっふっふ……でしゅ……」


「こんなの買って来ちゃいましたー!! お菓子の詰め合わせでーす!!」


「でしゅぅ!!」


「…………はぁ……」


「何ため息ついてるの? お菓子だよ? みんな大好きなお・菓・子!」


「お前らなぁ……!」


「まあまあまあ……ネスト落ち着いて……これはミライさん達なりの緊張感緩和のための行いだから……」


「お菓子いらないの?」


「……わかったよ、今日は許してやる。ただし、次はないと思えよ」


「さすがネストくん、やっさしー! わかってるって!」


「こいつら……!」


私たちはお菓子を食べながら、目的の時間までゆっくりと待つ。

ちなみにお菓子も味がしなかった。


時間が来た。

時刻は深夜の23時

今日は西館の捜索だ。


「ローブは着たな? じゃあ、いくぞ……」


ネストくんを先頭に、レイちゃん、私、アルスさんの順番で進む。


この時間は1階から順番に見ていき最後に屋上に出てからアルスさんの魔法でダイナミック脱出をする。

というルートどりで進行している。


1階……2階……3階……とどんどん見ていくが……吸血鬼という吸血鬼的なものはない……


「何もない……ですね……」


「今日もハズレか……?」


「まだわかんないよ……4階に行こう……」


「でしゅ……」


私たちは、4階へと足を進める。

西館4階は何度か来たことはある。七不思議の一つ、「謎の教室」を調査するために何度か来た。ただ、この時間での来訪は初めてだ。


私達が4階に着くと、異様な空気感に襲われた。

まるで、何者かが近くに居る……そう思わせるような空気感であった。

物音が何一つしないはずであるのにも関わらず、思わず足を止めてしまうような異様な空気感。

私たちは、そのまま右へ曲がり、奥へと進んだ。


奥は、立ち入り禁止の看板があり、前のように黄色いテープが貼られている。


夜は月光が眩しい。いつものようにそう思っていた。

ふと、足元を見る。そこには影があった。

それは、私の足から伸びる影ではなかった。

レイちゃんのでも、ネストくんのでも、アルスさんのでもなかった。

では誰なのか?

答えは、その真正面に"居た"。

それは、例えるならコウモリ、例えるなら人間、例えるなら……そう、吸血鬼だった。

微かに見える表情は恍惚としていた。


「みぃつけた……」

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