表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フロンティアグリーディア〜今日と今日から〜  作者: 無食子
憂越は鬱りて、尚陽炎を見ず
45/168

第三十五限 目覚め、そして知る

34限のタイトルを少し変更しました。

なんか語感的にこっちのがしっくりくるからね。


景兎回になると言ったな。あれは嘘だ。

ごめんね、鏡花回書いた方が話の流れ的にわかりやすいかなって思ったからね。許してつかぁさい。

目が覚める。

何事もない自室。

特にこれと言った喧騒もなく、物静かな空気だけが辺りにこだまする。


部屋を出て、リビングへと行く。

特にこれと言って特徴もないリビングだ。

机の上には、ラップに包まれたスクランブルエッグとトースト。少し冷めている。

そして手紙が添えられていた。


今日から休業日だから、お父さんと出掛けてくるけど、鏡花もちゃんと食べるのよ。

お母さんより


ああ、もうこんな季節か……早いなぁ。


今日は休業日だ。

私の店は、夏休みが一週間ある。

その間は店を閉め、各々が自由に休暇を過ごすというものだ。

父と母は出掛けている。おおよそデートなのだろう。今でもお熱い事なによりです。ほんと。


私は、朝ごはんを温め直しつつ、情報収集のためにネットの海をかき分ける。


「今日は動画とか漁ってみるか……」


色んな動画や配信が世に出回っている。

フログリはキャプチャ機能や配信機能、動画機能がゲーム内で内蔵されている。配信やスクショ共有はもちろんのこと、少し面倒らしいが、うまいこと持ち出せば動画編集と投稿も可能らしい。


「すごい量……お、この人登録者数すごいな……」


チャンネル登録者数は398万人、ライブの同接は平均70万人、今を時めく女性Vtuber……名前は「天皇河 邪鬼子(あまのがわ じゃくし)」か……

配信はもちろんのこと、投稿されている動画もかなりの視聴率を誇っている。


「弓で最前線に行くの……? すごいなこの人……」


前衛弓というやつだろうか……

変わったプレイが人気を博しているのだろうか……

人気の秘訣は挑戦する心と愛嬌かな……?

私はもう少しだけ彼女のチャンネルを眺める。


「あ! このゲーム! やってる人私以外にいたんだ!」


私の視線の先には、数ヶ月前の天皇河 邪鬼子のアーカイブサムネとそのタイトルにあった。


【メイスキャットディテクター】激ムズ!噂のゲームを調査してみました!!【天皇河 邪鬼子/レインボーテンポラリー】


メイスキャレットディテクター……通称、迷探偵

探偵モノのクソゲーだ。

主人公は猫を探す探偵。主人公は、いつも通り猫を探していると未知の巣窟に巻き込まれる。その巣窟の謎を解き明かし、自分の世界へと帰還を目指す……というストーリーなのだが……

このゲームのクソなポイントはその圧倒的な時間のなさ。

謎解きゲームなのに時間制限を設けるな!

そして、時間制限があるのにも関わらず、めちゃくちゃ難解な謎をいくつも用意されている。

時間内に解く……というより、何回も死んで謎の答えを覚えていきながら答えを探す……というものの方が近いだろう。

それだけならまだしも、このゲームはマルチプレイ非対応だ。故に友達とワイワイするようなゲームではないし、画面が常に暗かったり青かったりとにかく寒色なせいで、謎がよく見えなかったりとそもそもの欠陥も抱えている。

更に謎を解けても、解き方次第では詰む可能性があるという非常にハードな作品となっている。


「これやってる人いたんだ……! リアルで見たのは初めてかもしれない……!」


なんか親近感が湧いたなぁ……

激ムズ!! って書いてあるけど、激ムズどころか鬼すぎて途中で投げ出しそうになったけどねこの作品……


「さて……ごちそうさまでした」


合掌。

食器を洗いながらそのアーカイブを見る。


「この人、洞察力すごいな……」


可愛らしい声とは裏腹に、次々と謎を解いていく。

勘が鋭い……という感じのが近いのだろうか……


「あ、ミスった。そこミスるよね〜、ミスリードの嵐だから、ほんと……」


でも、ゲームセンスは卓越してる。

景兎よりは頭いいかもしれないな〜。


「いやぁ、良いものが見れたなぁ……チャンネル登録しよ」


後でアーカイブを色々見ておこうかな。忘れてそうだけど。

ネット漁りもそこそこに、私はすたすたと自室へと戻る。


「さて……やりますか。フログリ」


私はフログリを起動し、ログインをする。


---Log In


ログインした私は、さっそくレイちゃんの部屋に行く。

歩いていると、前には女性が居た。


「あらミライちゃん、今日は早いわね」


「あ、店長さん、おはようございます。今日は用事がないので、早めに学校に行こうかと思いまして」


この宿の店長さんだ。

ここに長期の滞在ができるのは、この人の優しさあってのものだ。ありがたい。


「そうかい、昨日はキョートくん帰ってこなかったからねぇ、少し心配よねぇ」


「え、そうなんですか? ……まあ、どこかで油売ってるだけじゃないですかね……? キョートは2日3日で戻ってくると思いますよ、多分」


「そうだといいんだけどねぇ」


何してるんだろキョート……オフラインか……てことは寝てるな……?


「んまあ、レイちゃんのとこにいこっと」


レイちゃんの部屋の前へと着く。

扉をノックすると、レイちゃんの声が聞こえる。


「どちらさまでしゅー?」


「ミライだよ〜、レイちゃん居る〜?」


すると、扉が勢いよく開かれ、レイちゃんが姿を現す。


「ミライさん! おはようございますでしゅ! 今日は早いでしゅね!」


「おはようレイちゃん。今日は暇だったからね、早めに来たよ〜」


私はレイちゃんに話を持ちかけにきたのだ。


「そういえばレイちゃん、ここに来てから学校しか行ってないからさ、もっとこの街の中を探検しない?」


「探検でしゅ!? 行きたいでしゅ!」


「よし! じゃあ決まり! 準備できたら行こっか!」


「でしゅ!」


レイちゃんの身支度を待ちつつ、私自身の身支度も済ませる。といっても、どうせ帰ってくるとこはここだし、インベントリを整理するだけだからそこまで大掛かりでもないけど。


「準備できたでしゅ!」


「よし! じゃあ行こっか」


「でしゅ!」


満面の笑顔に癒されるね……

ここ最近ずっと考えてばっかりだったし、少しリフレッシュも兼ねて街をぶらつこう。


私たちは宿を出て、魔導学府の街へと駆り出す。

街にはさまざまな店が立ち並ぶところがあれば、住宅街らしきところもあり、海にも面しているためか海上業もあるようだ。

特に、魔法に関する店がとても多く、体感で6割は魔法に関連する店だ。

魔道具店、魔法店、魔法宅急便に魔法ギルド……

流石は魔導学府と呼ばれるだけあるな……学校しか行ってなかったせいで知見が狭すぎる。今日はそれを解消できたらいいけど……


「あ、あそこにアップルパイの店があるよ! 行ってみる?」


「いきたいでしゅ!」


魔法使いといえばりんごなのか……? というくらい大量のりんご系飲食店とパイの飲食店が立ち並ぶ。

その中でも、アップルパイの店は5件ほど密集しており、そこで売れるのだろうか……という懸念を感じざるを得ないものになっている。

私はその中で、「ライマー本舗 赤林檎亭」という店に足を運んだ。


店に入ると、すぐに席へと案内された。

席にはメニュー表が置いてあり、アップルパイの他にもアップルジュースやアップルソーダと言った飲み物、りんごケーキなどのスイーツ、そして、揚げりんごと言った少し異色なものまで、色々取り揃えていた。


「レイちゃんは何食べる?」


「もちろんアップルパイでしゅ!」


「んじゃ、私もアップルパイかな。すみません! アップルパイを2つ!」


早速注文したあと、5分もしないうちにアップルパイが私たちのテーブルに届く。

見た目もさることながら、味も美味しいと評判の店のようだ。まあ、私は味覚ロックされているから味とかはわからないけど……その代わりにスタミナが大幅に回復するとのこと。なるほど、結構コスパいいんだね……問題はでかいということか……


「いただきます」


「いただきますでしゅ!」


味が分からなくとも、レイちゃんを見るとその美味しさは伝わってくる。

すごくオーバーとも言えるそのリアクションには、作ってない私ですら嬉しい。感情豊かだね、レイちゃん。


「美味しいでしゅぅ〜!!」


「美味しいねぇ〜」


やっぱ慣れない感触だなぁ……味のない食べ物を食べる感触は……


よっぽど美味しかったのか、レイちゃんは素早く完食する。

まだ食べている私を待ってか、じっとこちらを見つめてくる。いや、この視線的には……


「……食べる?」


「でしゅ!? い、いいんでしゅか……?」


「いいよいいよ、私少食だからね」


ひょいっとレイちゃんの皿にアップルパイを分ける。

レイちゃんは嬉しさからか満面の笑みを浮かべて食べ始める。可愛いかよ……


ようやく食べ終わると同時に、レイちゃんも食べ終わる。相当美味しかったのかな……


「美味しかったでしゅ!」


「だね〜。んじゃ、また色々回ってみよっか!」


「でしゅ!」


私たちはさまざまな店へと立ち寄った。

授業時間までは、まだまだ時間がたっぷりあったため、そこまで色々見て回る。


「あ、この杖良いな! 買っちゃお〜」


「ミライさん! そんなにすぐ買っちゃうとお金なくなっちゃうでしゅよ?」


「いいのいいの〜、私の所持金だからね〜。レイちゃんはなんかいる?」


「私は特に要らないでしゅ。大丈夫でしゅ」


「おっけ〜、んじゃ、買っちゃお〜」


「でしゅ……」


新しい杖も買い、いよいよ授業の時間が迫っていた。


「おや、もうそろそろ学校行かないと間に合わなくなるね」


「学校に向かうでしゅ?」


「うん、そうしようか! それにしても楽しかったね〜」


「でしゅ!」


やっぱ買い物する時が一番ワクワクするな……楽しい!

さて、授業、そして七不思議……今日で『謎の教室』の謎を全部解けきれるかな……


そんなことを思いながら、私たちは学校へと向かった。

すごく時間がかかりました。

魔導学府内の設定を掘り起こすのに難儀しました……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ