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フロンティアグリーディア〜今日と今日から〜  作者: 無食子
オープニングセレモニー プロロローグ
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第四話 初心者ボーナスと謎の物

キョート回です。

チュートリアルが一日だったことに驚きはしたが、それは俺にとっても悪くないものだと思った。

というのも、このチュートリアルには冒険に必要な知識が一通り揃うだけでなく、ある程度アイテムももらえるみたいだからだ。

そのために俺は、チュートリアル用NPCの元へと来ていた。 


「来たか、キョート。冒険に行く前に、まずは私と共に依頼を受けてもらう。」


チュートリアル用NPCのティアだ。

兎人族の中でも一際デカい背丈であり、腹筋もバキバキというまさに豪快な見た目の女性だ。

背中には大きな盾を背負っており、腰には打撃武器を思わせるものを装備している。

まずはこのチュートリアルを終わらせないと冒険にはいけないらしい。


「よろしくお願いします。ティアさん」


「うむ、よろしく頼むぞ!」


そう大きな声で言うと、ティアは俺に対してこのように言った。


「旅立ちの試験!この中の依頼から3つ、選んで受けてもらう!」


「え?」


「結果次第では、ご褒美をやろう!

わからないところがあったら、なんでも聞いてくれ!」


なるほどそういうことか……どおりで1日もかかるわけだ。どうやらチュートリアルは3つのクエストを受けてその成功具合で報酬が変わるらしい。

そして、そのクエストは、(プレイヤー)自身で決めることができると言うわけだ。


「選べるクエストは……全部で5つ……か……」


薬草採集、コボルドの群れの討伐、修繕依頼、鉱石採取、ワイトの討伐か……

どうやら、それぞれの職業により有利になるクエストもあるようだ。


「なるほど……戦士職にとってはコボルドの群れ討伐と薬草採集、鉱石採取が有利……ワイトの討伐と修繕依頼は不利……か」


コボルドはわかるとしてなんでワイトは難しいんだ……?


「ねぇ、ティアさん。どうしてコボルドは推奨なのにワイトは難しいんだ?」


「ん? あーそれは、ワイトの性質的な問題だな! キョート、お前は魔法を覚えてるか?」


「いや……覚えてないけど」


戦士が初期に魔法なんて覚えているわけがない。

いやもしかしたらあるのかもしれないが、今の俺には魔法はなかった。


「であるなら、ワイトは難しいだろうな! ワイトには物理にめっぽう強いからな!」


「なるほど……」


つまり、魔法職向けってことか……?


確かにそうなると俺にとっては相性が悪い相手だ。

なにせレベルは1、どう頑張ってもひよっこ冒険者だ。

取れるなら少しでも有利を取りたい。


「よし、決めた。俺はこの三つを受ける。」


俺は、コボルドの群れ討伐と薬草採集、鉱石採取を選択した。


「よし! では出発しよう!」


というわけで、まずはお助けNPC(ティアさん)と共に薬草を採りにいくところから始まる。

俺たちは山道を歩いていた。


「キョート、今回採る薬草はヒラヒラソウというものだ! これは便利な薬だぞ!」


「その薬草はどんな効果なんですか?」


「うむ、一言で言うと、傷を癒してくれる薬の素となる薬草だ! ヒラヒラソウ自体にも傷を癒す効果はあるが、薬にすることでさらに効能が増す……とか言ってたな! 生食は少しアクがあるが、加熱して食べるとこれまた美味しいんだ!」


「へ…へぇ……」


え、食べれるの? まあそりゃ草だから食べようと思えば頑張ればいけなくもない……のか?


「ヒラヒラソウを50本採集、これがこのクエストの内容だ! 頑張るぞ! キョート!」


「は、はい!」


この人……押しが強いな……元気だ……

山道を歩き、ヒラヒラソウを採る。

…あれ、経験値を少し獲得している。

薬草を採ると経験値が貰えるのか?

そうと決まれば、早速じゃんじゃか採っていく。


山道を歩き、ヒラヒラソウを採る。

山道を歩き、ヒラヒラソウを採る。

山道を歩き、ヒラヒラソウを採る。


「おっレベルが上がった。レベル2だ。」


レベルが上がるとステータスポイントが貰える。

このポイントを使って振り分けることが可能なようだ。

「10ptに異端児補正で+5か……どう振り分けるか……」


そうだな……AGL(敏捷)STR(筋力)LUK(幸運)に4ずつ振ってあとは……


「残り3ptを、MST(精神力)かな……」


このゲーム、ステータスは相当自由に設定できるみたいだ。

フログリのステータスは、

STR(筋力)DEX(器用)AGL(敏捷)MGC(魔力)LUK(幸運)TEC(技巧)DEF(守備力)INT(知力)MST(精神力)VIT(生命力)の全部で10個で分かれている。

それぞれあげることでさまざまな恩恵に預かられる。


STRであれば攻撃力が、AGLであれば素早さが、LUKならドロップ率が……って感じなのだろう。

そして、MST......つまり精神力はというと、


「おっ、MPが上がった」


MPを上げれる。視覚的にもこれが一番わかりやすい。

MPを取った理由は、能力(スキル)にある。

種族固有能力(スキル)の中に、MPを使うものがあるのだ。


「よし、これで完了っと。

うーん……一回レベル上がるごとに10ポイントってことは……1ずつ振り分けるとかも出来るのか」


だがまあ、ステータスを全て平等に1ずつ上げるようなやつでは到底上にはいけないだろう。

なぜなら、レベル1時点では、種族特徴などのなんらかの効果により上がっていないステータスは全て、1なのだから。


「ちょっと頭おかしいなこのゲーム……」


この状態で敵とか倒せるのか?

だからこその1日チュートリアル?

まあそんなことはさておき、引き続きヒラヒラソウを採集していく。


山道を歩き、ヒラヒラソウを……ってあれは……


〈Voice:コボルドと遭遇しました。〉


「ティアさん、あれは……」


「しっ……しずかに……あれはコボルドだ。しかも群れを形成しているな……」


のほほんと終わるわけではないってことか……


「私が囮になる。その隙に後ろへ回り込んで奇襲を仕掛けるんだ。」


「わかりました。」


ティアさんはいつもの豪快さとは違う、冷静かつ的確な指示を俺に飛ばした。


「初戦闘……緊張してきたな……」



俺が距離を離すと同時に、ティアさんは前へと進む。


「はっはっは! コボルドの群れに遭遇するとは! なかなかどうして運がいい!!」


能力(スキル)牽声(けんせい)〉!!


そうティアさんが叫ぶと、コボルド達は一斉にティアさんの方を向く。


「チャンスだ……!」


注目(ヘイト)がティアさんに向いているうちに俺は背後へと回り込んだ。


「行くぜ……〈兎脚(ラビットフィート)〉!」


能力(スキル)兎脚(ラビットフィート)

自身の脚力を強化する種族固有スキルのうちの一つ。

自身のAGIとキックの火力の増強ができるかなりの便利スキルだ。


初期装備である[(うい)の鉄剣]と[(うい)の鉄盾]を装備!


「喰らえ! コボルド!」


俺は[(うい)の鉄剣]の刃先をコボルド一体の首にめがけて振りかぶる。

気づくのが遅れたコボルドに息も与えぬまま鉄の刃を斬りつけた。

斬りつけられたコボルドは頭と胴に分かれ、斬り口からは赤き(ポリゴン)を吐き出して倒れた。


「へっ……来いよコボルド!」


仲間がやられたことに気づいたのか、コボルド達は俺の方へとどんどん向かってくる。


「ヘイ! どこを見ているんだ! 私をみろ!」


コボルドの後ろからティアさんの声がする。

おそらく戦っているのだろう。


「俺もじゃんじゃん斬りつけるぜ……!」


敵が来る。斬る

敵が来る。避ける。

敵が来る。斬る。

敵が来る。 斬る

避ける。

斬る。

斬る。

守る


気がつくと、コボルドの群れは最後の一体になっていた。

普通のコボルドよりは大きいコボルドは、怒り心頭のようで、頭を赤く染めている。


「お前があの群れのボス格か? なら、三枚おろしにしてやるよ!!!」


正面からかかってくるコボルドに、俺は剣を構える。


「行くぜ…… 能力(スキル)兎斬(ラビットスラッシュ)〉」


「おるるるぁぁぁあああ!!!」


コボルドと俺の一騎打ち……立ったのは……


「ぃよっしゃぁぁぁぁああ!! 倒し切ったぞぉ!!!」


俺だった。


「ナイスだ! キョート! よくやったな! あとはこのドロップ品を見せに行くだけだ!」


なるほど、ドロップ品を見せることでクエスト達成か。


「どうしたキョート、疲れたか? 少し休むか?」


「いえ、ティアさん。まだ受けてるクエストがあるので続けていきましょう」


「やる気のようだな! よし!行くぞ! この先に洞窟がある! その間にも、ヒラヒラソウ採りを忘れずにな!」


「了解っす!」


その後も俺たちは歩いている最中、ヒラヒラソウをたくさん採集した。

その結果、俺は20、ティアさんは35個採集した。


「いやぁ、よく採れたな! 上出来だ!」


「見つける力すごいですね……ティアさん……」


俺は息を切らしていると言うのに、ティアさんは相変わらずピンピンしている。体力お化けだな……いや、俺が体力低いのか?


「見つけたらすぐ走る! その逃さまいという心意気は大変素晴らしいぞ! だが少し自分の身体も労わることが大切だ! 一人で行くなら尚更な……」


そんなこんなで、俺たちは今、洞窟の入り口に立っていた。どうやらここに鉱石があるらしい。


「このツルハシをあげよう! これを使って鉱石をたくさん採るぞ! 今回の依頼では、どうやら鉄鉱石をたくさん採ってほしいようだな!」


どうやら鉄鉱石ってのは割と下の方にあるようだ。

この洞窟の奥地に鉄鉱石の鉱脈があるらしい。


「だが気をつけるんだ。ここにはモンスターもいるからな! この鈴を持っていくとそのモンスターが逃げるぞ! 持っていくといい!」


「あ、ありがとうございます。ところで、どんなモンスターがいるんですか?」


「ワイトだ。前にも言ったが、ワイトは物理攻撃にめっぽう強い。そして、ワイトは魔法攻撃を仕掛けてくる。今のキョートじゃあ、少し厳しい相手かもしれない。だから! 気をつけるんだぞ!」


なるほど……そういうことか


「わかりました。じゃあ掘ってきますね」


「ああ、掘ってきていいぞ。 私はここでキャンプの設営を行なっているから、疲れたら戻ってきなさい。まあ、いらない可能性もあるがな! ガハハ!」


「あ、ありがとうございます。行ってきます」


「おう! 頑張るんだぞー!」


そんなこんなで、今俺は鉄の鉱脈に居る。

もうかれこれ20分はここにいる。

ツルハシを使うのは結構スタミナを使うようで、絶賛息切れ中だ。


「ゼェハァ…ゼェハァ…ゼェハァ…こんなに疲れるのかよ…鉄堀りは……後何個採ればいいのか聞いてないぜ……100個くらいあれば十分か……?」


今、俺の手元には鉄鉱石が90個ある。残り10個なのだが、その10個を集めることが出来るのか不安だ……

スタミナは時間経過で自動的に回復するとはいえ、流石に掘りすぎるとエンストするというものだ。


「あと……10個掘るか…………あれ……今何か……」


そんな時、視界の隅で、何かが光るのが見えた。


「あれ……なんだこれ……鉱石か……?」


その光る物体に目を向けると、そこには謎の言葉と、謎のアイテムがあった。

言葉は壁に彫られており、奇怪な文字で書かれてあった。


「……これ、文字か……? ……読めねぇ……なんで読めないんだよ……まさか……なんかの条件がついてる感じか? だとしたらアツイな……もしかしたら古いものか!?」


未だ誰も知らない者、古きもの、これらに思いを馳せる俺にとって、未知とは宝物だ。目の前に未知が転がっていると言うのに手を伸ばさないのはポリシーに反する。俺はそれを掴んだ。


「……これは」


落ちてあったアイテムは、謎の丸い物体だった。


特にこれと言って動くものでも、変形して人型になるとかでもなく、かと言えばただのボールでもなかった。

どちらかと言うと、何かの燃料……いや、何かの電池とでも言うかのようなものだった。


「うーん……動かない……インベントリに仕舞えば何か出てくるか……?」


仕舞うとこのアイテム?なのかわからないものとフレーバーテキストが出てきた。


新芽の壊心

全ての生まれは平等にあるが、全てが必ず生まれるわけではない。"それ"は何かを待っている。その時が来るのを……"それ"は光を待っている。その空を見上げるのを……


「……なんだこれは……めちゃくちゃ不穏だな」


とりあえずこの新芽の壊心とやらをインベントリに仕舞い、作業を再開した。


「しっかし……こんなに鉄を集めてどうするんだろうな……」


カンッ!カンッ!と鉄を叩く音が響き渡る洞窟で俺は一人掘っていた。


「……!? なんだこの身の毛もよだつ感覚は……」


まさかワイトか……? だとしたら鈴の効果で周りには来ない……だが俺は危機感を抱いていた。


「まさか違うモンスターか……!? しかもこの感じ……高レベルモンスターか……」


鉄は95個、もう切り上げ時ではある。


「そろそろ帰るか……?」


ここで俺は足を止めた。


「いや……俺はゲーマーだ……どれだけ危険でも、一度は相対してみたいに……決まってる!!」


俺は見たい気持ちを抑えることなく何かを待って……


「来たな……モンスター!」


そこには、人間の骸骨に装束のようなものを纏う、明らかに魔法を撃つと言わんばかりの杖を持ったモンスターが居た。


〈Voice:リッチと遭遇しました。〉

突然の世界観設定

プレイヤーはステータスやスタミナやHP、MPなど以外にさまざまな「はっきりとは見えない」数値、いわゆる隠しステータスが存在します。

その中でも有名な隠しステータスが「親密度」です。

NPCとの仲を深めていくと上がりますが、ある一定のラインまで行くとプレイヤーが邪魔に思うほどしつこく絡んできます。それと、上げるよりも下がる方が簡単です。マイナススタートだと絶望的に上がりにくいです。

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