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フロンティアグリーディア〜今日と今日から〜  作者: 無食子
憂越は鬱りて、尚陽炎を見ず
39/86

第二十九限 リンク、ユニークとユニーク

ギリギリ間に合わないんだよね

「うーん……この文がどんなヒントになってるのだろうか……」


「わからんねぇ……」


マロンさんとヴェルノさんは同じ考え事をしているようだ。

ただ、俺が見ていたのは別の方角だった。


(これがこうで……これがこうだから……だとしたらこれは……)


ミライが、何かを勘付いたように黙り込む。

こういう時のミライは何かに気づいている時がほとんどだ。加えて先ほどの呟き……


"「これ……七不思議の内容とリンクしてるかも……」"


この言葉の意味的には、ミライが追っているクエストとの関連性がある……ということだろうか?

俺はミライに話しかける。


「おい、ミライ大丈夫か?」


「わぁ! あ、ごめんごめん……ちょっと考え事してた」


「何を考えてたんだ?」


「うーん……まあ協力するって言っちゃったし、こっちも協力してもらおうかな……半ば強引だったけど……」


ミライがそう言うと、俺にみんなを集めるように言う。

俺が集めると、ミライは座るように促す。


「あ、レイちゃんはこっちね」


「でしゅ?」


そういうと、レイを隣に座らせる。

ミライが話し始める。


「さて……集まったかな?」


「そうだな」


「おけ。じゃあ……今度は私が音頭を取らせてもらいます。ミライです」


「ほう……今度はミライくんが話してくれる……と」


「ウチらに関係ある話なんかね?」


「あると思います。私の推測ですが……」


ミライは、少しの沈黙をした後、話し始める。


「……皆さんは、"七不思議"というのをご存知ですか?」


その言葉に、マロンさんとヴェルノさん、そしてアグリさんの顔には?マークが浮かんでいた。

俺も知っていることは"ある"と言うことだけだが……


「七不思議ってあれですか? よく学校とかで噂になる怪談話? 的なやつですか?」


アグリさんが言う。


「そうです。そして、この神ゲー『フロンティア・グリーディア』にも七不思議と呼ばれるものが存在します」


その言葉にマロンさんが反応する。


「なるほど……つまりこの魔導学府にはミライちゃんの言う"七不思議"とやらがある……そういうことね?」


「そう言うことです。そして、その七不思議の話とこの小説に隠されていた文が一部リンクしてるんです」


そのことを聞き、頭を悩ませていたのはヴェルノさんだった。


「申し訳ないんだが……僕が学校に在籍していた間は一度もそう言った事象は確認されなかったんだが……」


「つまり、戯言だと?」


「いやいや、そう言うわけではない。ただ気になっただけだよ。学校を隅々まで探したと思っていたが……どうやら知らないこともまだまだたくさんあったようだね……」


その表情からは、好奇心が溢れている子供のような笑顔を見せていた。少し不気味な表情だな……


「んで? その七不思議とどんな感じでリンクしてるん?」


マロンさんがミライへと問う。

俺も気になったところだ。


「私とレイちゃんは、ここに来てからずっと学校に居たんですが……そこで七不思議を解決したい人達と協力して七不思議の解明をしていたんです」


「ほぅ……続けて?」


「そこで起きた現象とこの隠しメッセージに書いてある言葉が一致してるんですよ。あくまで私の感覚ですけど……」


「たとえばどんな感じなの?」


「そうですね……例えばこの"そのスライムはトイレの亡霊へとなる"というメッセージ……これは七不思議の一つである「トイレの鳴き声」と状況が似ています。私とレイちゃんの二人でそれを調査したのですが、そこで出会ったのがスライムなんです」


「なるほど……そういう感じのがいくつかあって……それで関連してるんじゃね? って思ったわけね? ミライっちは」


「ミライっち……? ま、まあ、そんなところです。」


ギャルってあんなにグイグイ行くもんなんだな。

初めて知ったわ……まあそんなことはどうでもいいか。

話を聞く限りでは、ミライは結構進めているっぽいな。

そんなことを思っていると、アグリさんがミライに質問を投げかける。


「一つ聞きたいのですが……それはクエストなんですか?」


「そうです。名前は確か…… 『ユニーククエスト:七つの不思議探検隊』だったかな」


「ユニーククエスト!?」


その言葉を聞いたヴェルノさんが、即座に立ち上がりミライの方へと近づいた。


「それは……間違いじゃないんだよね?」


「え……? まあ……はい……」


「おっとすまない……つい興奮してしまってね……」


顔がスレスレになるまで近づくとは……ヴェルノさん、見た目に似合わず肉食系か?


「そんな珍しいんですか? ユニーククエストって」


俺が質問をすると答えたのはヴェルノさんではなく、マロンさんだった。


「ウチのクランではね、ある仮説が立ってるのよ。それは……「ユニークモンスターは特殊なクエスト……例えばユニーククエストでないと出会うことができないのではないか」……てね」


「でも、ユニーククエストっていっぱいありますよね? 私も一度受けたことありますし!」


「うん、いっぱいあるよ。でもね、クエストの中でも一番特殊なクエストはユニーククエストなんだよね」


「いろんなクエストがこのゲームにはある。ただ、それらの多くは「プレイヤーが簡単にフラグを立てることができる」クエストなんだよね。

対して、ユニーククエストはそうはいかない。

ユニーククエストは特殊な条件下でのみ発現するクエストだ。しかもかなり難解。一説には、リアルタイムで形成され続けているのでは? という陰謀論までついて回るような代物だ。それ故に、ユニークモンスターが出てくるクエストがあるとしたら分類はユニーククエストではないか……ということなんだよ」


うわ……早口だ。

ヴェルノさんこんな早く話せたんだな……


「そして、この仮説と僕の仮説、そしてミライくんが持ってきた情報を組み合わせると……一つの解が現れる……それは」


「ユニークモンスターは学校に潜んでいる……ってことですか?」


ヴェルノさんの言葉に割り込むように、ミライが喋る。


「……あくまで、僕の仮説が正しければ……だけどね」


「……どういうことでしゅ?」


あー……レイは取り残されてたか……


「つまりだなレイ、この学校には強いモンスターがいる。それも、とびきり強い"原初の十四罪"がな」


「……なるほどでしゅ!」


ほんとにわかってんのか? 少し不安になるな……

と言ったところでそろそろ時間が来たようで、アグリさんがログアウトする時間になった。と同じタイミングでこの会議も終了した。

最終的には、ミライのクエストの進捗を聞きつつ、他のメンツは「ウツギさんの袖の中」の9巻を探したりする。ということになった。


ミライはレイと一緒に学校へと戻った。

どうやらもうすぐ授業とのことだ。まだお昼くらいだけどな。


クラン「探索者(シーカー)」の二人は、他のところで9巻についての情報収集をするらしい。何でもかんでも集めたがるのは情報好きの性なのか?


さて……俺は今日何をしようか……


別れ際ミライに言われたことがある。


「キョート、今日はチャイムの確認はしない。気になる箇所が2つ増えたからね。だから……後3日後くらいに確認しに行くからさ……その時は一緒に来て」


「え? まあ別にいいけど……俺そもそも入れるのか?」


「実はね……同伴者は入ることができるんだよね。同伴してる時に限りだけど」


「なるほど……」


「それに、夜遅いから生徒に会うことはないはずだよ」


「それただの不法侵入じゃ……」


「だから、お願いね」


「……はぁ……分かったよ。その時になったら言ってくれ」


「へへっ、ありがと」


あいつ……怖がりか? あいつはホラー系得意だろうが……まあいいか……


それまでにできること……か……


「とりあえず……レベル上げかな……」


俺はネロのところへと行くことにした。

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