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フロンティアグリーディア〜今日と今日から〜  作者: 無食子
憂越は鬱りて、尚陽炎を見ず
31/163

第二十一限 トイレの中、閃くトリガー

七不思議であります。

遅れたことを深くお詫びいたします。

いつか1日に3回投稿いたします。

いつかね!

私たち一行は、東館3階に居た。

ここには、七不思議の一つ、「トイレの鳴き声」が起こるという噂だ。


「っていうかさ、ネストくん」


「なんだ?」


「今から行くところって女子トイレなんだよね?」


「それがどうしたんだ」


「いや……その……」


「ネストさんはどうやって入るでしゅ?」


ネストは言わずもがな男だ。つまり女子トイレになんて入れないんだけど……


「は……入るわけないだろ! あほなのか!? お前達は!」


「じゃあなんでついてきてるの?」


「お前達が場所わからないからだろ!!」


「あー……」


あ、そうだったそうだった。

でも私たちだけで行ってもいいのか……?

分かりづらい怪異とかだったら気づかないぞ……?


そんなことを考えていると、ネストくんは色々説明をしてくれた。


「噂では、ある個室の中にシクシクと泣き声が聞こえてくるらしい。その個室はずっと閉まっていて、誰も中を覗いたことがない……とのことだ。」


なるほど……割と七不思議してるな……

現実によくある"花子さん"的なニュアンスが……


「別に被害とかはないの?」


「七不思議はどれも被害という被害はない。被害があればもうそれは七不思議とかではなくただの事件になるからな」


「なるほどね……」


そうこうしているうちに私たちは件のトイレへと到着した。


「これが……なんか普通だね……」


「でしゅね……」


「あのな……見た目が変になるわけないだろ……」


「あれ……人通りが少ないね……」


「でしゅね……」


「まあ、七不思議の場所と呼ばれるくらいだからな。みんな恐怖して、人通りも少なくなるんだよ」


「なるほどそれで……」


「魔法でなんとかできそうでしゅけど……」


「それを言ってた奴らはみんな恐怖した顔で出てきたらしい。それくらい恐ろしいものなんだろうさ」


「え? もしかしてそんな怖いところに2人だけで行かせるの?」


「まあそうなる……」


「やっぱついてきてよ〜……」


「俺が入れるわけないだろ!」


そう言われて止められたので、仕方なくネストくんは抜きにした。

とりあえずネストくんは外で待機をし、私たち2人は中に入るという手筈になった。


「ミライさん……」


レイちゃんが話しかけてくる。


「ん? どうしたの?」


「……手を繋いでもいいでしゅ……?」


「……もちろん! 手、繋ごっか!」


「……でしゅ!」


私たちは中は入る。

なんかお化け屋敷に入ったみたいな感じだな……ここトイレなんだけどね……


私たちが一歩踏み出す。

すると、レイちゃんが震え出す。


「ひ……ひぃぃ!? な……なにか聞こえるでしゅ……!」


私には聞こえない。

とりあえず前へと進む。私はまだ何もわからないため、行くしかないのだ。

レイちゃんも手を繋いでいるためか、覚悟を決めて前へと進む。


中は至って普通の学校のトイレだった。

少し広いと感じただけで、特に変に感じるものでもない。

前へ進むにつれ、次第に異質な音が聞こえてくる。


ケテヨ……ケテヨ……ケテヨ……ケテヨ……ケテヨ……ケテヨ……ケテヨ……ケテヨ……ケテヨ……ケテヨ……ケテヨ……


それは、どこか悲しげで、泣き声のように感じた。


「うわぁ!? なんか聞こえる……」


「怖いでしゅ……」


私たちはトイレの中を探す。

他の場所には特にこれと言ったものはなく、最後は異質な音がするところだった。


「……ここ……見るしかないでしゅ……?」


「うーん、そうみたいだね」


その異質な音の発生源は、今も鳴き続けている。


私がドアに触れる。すると、さっきまでの音は忽然と消え、別の音が鳴り響く。

それは、ドアを叩いているかのような音で、


ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン


「ひぃぃ!?!?!? ど……どうなってるでしゅ!?」


「……行動パターンが変わった……?」


ドアから手を離す。すると、その音は止み、また鳴き声を出す。


「これ……一旦出た方が良いかもしれないね……」


「で……でしゅ……」


私たちが出口に向かう。


「え!? なんで!?」


私たちが入ったはずの入り口はどこにもなかった。

外の音は一切聞こえない。そして、入り口に入った時には聞こえなかったはずの声が、今、聞こえている。


「閉じ込められちゃったでしゅ……?」


「そうみたいだね……不味いな……」


トリガーは……おそらくはドアに触れたこと……

ならこの怪異の正体は……? わからない……


私たちは、2人でこの怪異を攻略しないといけなくなった。


「とりあえずやれるだけのことはやってみよっか」


「でしゅ……」


まずは魔法を使ってみる。


「【フレア】!!」


傷はつく。ただ、それ以上に何かが起こったわけではない。

反応は……鳴き声の方だ。


「【ボルフレア】!!」


傷はつく。フレアよりも格段に傷はついたが、壊れるわけではなかった。

反応は……鳴き声の方だ。


「次! ーーー」


………


……………


…………………



何にも反応しないじゃん!!

私たちはその後、出せるだけの攻撃魔法を出した。

しかし、傷がつくだけであり、これ以上のことは起こらなかった。

反応は……鳴き声から何も変わらない。

触れた時だけ扉を叩くような音へと変わる。


「もうヤケだ!! 【ディグウォール】!!」


「ミライさん!? その魔法意味あるでしゅ!?」


しかし、何も起こらなかった!!

何も起こらないんかい!! ん……? あれ……?

"発生しない"…………!?

たしか【ディグウォール】は……

なるほど……


「ミライさん? どうしたでしゅ?」


「いやぁ……もしかしたら見えたかもしれないんだよね……"攻略法"」


「ほんとでしゅ!?」


「ほんとのほんとだって〜……私の仮説が正しければ……」


【ディグウォール】は地面を掘り壁を生成する魔法である。

そして、この魔法が発動しない(・・・・・)条件は「地面が生命体である地点にいる場合」である。

例えば、大きいモンスターの背中に乗ってこの魔法を発動しても効果はない。それは地面ではないとゲーム側に判定されてしまうのだ。

つまり、私の出した結論、それは……


「ここは……謎のモンスターに覆われてる……言うなれば口の中……ってところかな……」


「でしゅ!? つまり……私たちは食べられちゃってるってことでしゅ!?」


「そういうことになるかな……」


「だとしたら……どうして魔法は効かないんでしゅ? 口の中で魔法なんて撃たれたらめちゃくちゃ痛いでしゅ!!」


「あくまで仮説だけど……この魔物はとびっきり高い魔法耐性持ちな可能性がある。」


「それと、多分だけど魔法が効かないわけではないと思うよ。」


「でしゅ? でもさっきは魔法耐性がって……」


「それは魔法のダメージを著しく軽減するって感じだと思うよ。その証拠に……壁中には私たちがつけた傷痕があるでしょ?」


「なるほど……でしゅ……」


あくまで仮説だ。

魔法耐性ではなく、特定の耐性がとてつもなく高い可能性もある。

私が使える攻撃魔法は火属性、水属性、土属性、風属性、木属性の5つだけ。のこり2属性の光と闇なら効くかもしれない……

だとしても、属性5つを軽減できるのははっきり言って強すぎるけど……


「うーん……光属性と闇属性なら効くとかあるかもしれないからなぁ……」


「そういえば、触れるとドアを叩くアレはどういうやつでしゅ?」


「うーん、そこもな……」


と、突然、私に雷が降り注いだかのような閃きが来る。


「そうか……物理ダメージは効くのか!!」


「でしゅ!?」


あまりのテンションの上がりようにレイちゃんがびっくりしてしまった。

そんなレイちゃんを私はニンマリ見ると、レイちゃんが喋る。


「ど、どうしたでしゅ……? そんなに見つめて……ちょっと不気味でしゅ……」


「いやぁ……やって欲しいことがありましてね……?」


私はレイちゃんに説明する。


「なるほど……私が物理で殴って倒す作戦でしゅ?」


「そうそう! ほんとは私も殴りたかったんだけど、あいにく物理攻撃とかできなくて……」


物理攻撃ができない。魔法使いの宿命(さだめ)である。

いずれはそこも解消したいけど、今は無理なので仕方がない。


「とりあえず……やってみるでしゅ……!!」


「がんばれー!」


「行くでしゅ……とぉりゃぁ!!」


レイちゃんが扉をおもいっきり殴る。

すると、壁を叩く音が聞こえる。

しかし、いつもと違うのは、その音は全ての個室から聞こえること……


ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン


女子トイレ全体が呼応するかのように動き出す。

一瞬輪郭が消えたかのように見え、真の床が姿を露わにしている。


「……変わってない……?」


「ミライさん!!前やばいでしゅ!!」


「なにがおき……て……え……?」


私は見る。

個室の壁が消失し、人の形をした何かが宙に浮く。

それはとても綺麗な女性の顔をしており、全身が青く透き通っている。

それは、明らかに人ではない。そう私の心が言っている。


それは私たちに向かうかのように話しかける。


「……イタイノキライ……オマエタチ……コロス……」


「へっ……上等だよ!」


「や……やるでしゅ!!」


〈Voice:シンボルモンスター メランコリースライムが現れました。〉

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ただ、使い方とか知らないと言うかわからないというかなのであんまり動かすつもりはないです。

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