第三話 慎重派のキャラ作成と現状整理
一日一更新を目指していきたい。
あらゆる世界を巻き込み、全てを破壊する災厄が発生した時代から幾星霜、人類は生き残っていた。
ディメンションビックバンと呼ばれたこの現象以降、あらゆる世界の様々な環境、多種多様なモンスターなどが形成された。
人類は身を守るため、さまざまな王国を作った。
しかし、そこにはまだまだ未知がある…………
プレイヤーは、この世界の一員となり、あらゆる国や地域を行き来し、この世界を再開拓する!
立ち塞がるのは一体……?
フリーダムRPG フロンティアグリーディア!
好評発売中! DL版もあるよ!
…………ふーん……なるほどねぇ……
「改めてPV見返したけど、いろんな街とかがあるみたいだねぇ……」
私は呟いた。
「景兎はもうしてるのかな? ちょっと猪突猛進な癖があるからなぁ……景兎は……」
そう言いながら私は攻略サイトを熟読していた。
私は最初の時だけパンフレットやカタログを熟読してからゲームに挑むタイプなのだ。だってその方が自由度高いでしょ。
「なるほど……生まれはステータスに影響が出て……出身地は生まれる国が違うと……」
なるほど……これはすぐには会えなさそうだな……景兎が行きそうなところとか一々把握できるわけがないし。
「……ん?出身地にだけあるランダム機能?」
どうやら、ランダムシャッフルなる機能があるらしく、ランダムでどこかの国へと飛ばすらしい。
「うわぁ……景兎これ選びそうだなぁ……」
実際その予想は正しいのだがそれを知るのはもう少し後になる。
「うーん……よし! 決めた! これで行くか!」
早速ゲームを起動する。
---Log In
パッパッパーっとキャラメイクしていく。
ここに時間をかけちゃうのは勿体無いからね!
景兎は先に行ってるだろうし、早くしないといけないのもそうなのだ。
「さて、これでよし」
目の前に映し出されたのは、魔法の帽子とステッキを持ったTHE・魔法使いのような格好をした女の子だ。
職業は魔法使い、生まれは拾われ者、出身地はスタルトラ王国の王都「クランド」に設定した。
「だいぶリアルに寄せれたね……よし!」
私はキャラメイク時、いつも自分と同じような見た目で作る。景兎からは「そんなことしてると身バレするぞ?」とか言ってくるけど、PNに本名使ってる方がダメだと思う。それに自分の顔には自信があるんだ。
「PNは「ミライ」っと……」
私がよく使うPNだ。鏡花ってミラーだからさ、近しい単語にしてるんだよね。
景兎にはできない個人情報流出阻止策だ。
さて、名前ヨシ、種族ヨシ、生まれヨーシ!てことで……いざ、フログリの世界へ!
〈ようこそ、フロンティアグリーディアの世界へ〉
フログリの世界に降り立った私は辺りを見渡す
「ここがクランドかぁ……随分とまあ都会だなぁ」
王都クランド
スタルトラ王国の王都にして延べ10万人ほどの人が住んでいる大きな街。
冒険者達からは、始まりの街とも呼ばれる。
活気溢れる街の中央には如何にもな城が佇んでおり、その周りには家族のお屋敷のような住居がならんでいる。
海に接しているらしく、海岸方面には大きな港が鎮座していた。
「さて……とりあえずここでチュートリアルかな……」
景兎はどこにいったのやら……
「お嬢ちゃん、駆け出し冒険者かい?」
突然誰かに声をかけられた。
振り返るとそこには、商店のおばちゃんにしては若い女性が声をかけてきた。
「えっと……そうですけど……」
「お嬢ちゃんみたいな駆け出しの人を見るとね、おばちゃん応援したくなるんだよね!」
「そ、そうなんですか……」
おばちゃんっていう見た目には見えないな……
見積もっても40代後半くらいに見える……
とはいっても、これが「チュートリアル」なのだろう。素直に受けようかな〜。
「なら……色々教えてくれませんか?」
「いいよ!こっちに来てみな!」
◇◇◇
とりあえず俺は現状を整理することにした。
「これが……兎人族の集落か……」
俺は今、兎人族の集落にいる。国で言えばスタルトラ王国というらしい。数多の種族が入り乱れる連合国家というらしい。
そして、兎人族について、少しわかったことがある。
兎人族
今でこそ少数種族ではあるが、ある時代ではどこにでも生息していたという種族だ。ただ現在ではその数を縮小させ続けているらしく、その理由は「弱い」ことにあるらしい。兎人族の長の話では、その昔強い兎人族の子達がいたらしいが、今はもう消えてしまっているとのこと。
ゲーム的な話で言うと、「種族の進化系があるにはあるが、ここ数百年で見たことがない」といったところか……
「なぁミア、送迎の儀式って本当にしないとダメ?」
俺の妹らしい存在、ミア
「もちろん! あたりまえだよ! これは、ラビニアのかみさまにみまもってもらうためのものなんだから!」
「つまり交通安全守みたいなもんだろ? それなら別に……」
「こら! おにいちゃんってばめんどくさがらない!」
「うっ……くっ……わかったよ……」
なんなんだこの妹は……現実の妹とはある意味で違うしある意味で同じだ……
こんなリアルタイムで感情豊かなNPCが作れるんだな今時のゲーム……
「くっ……レトロゲームのやりすぎか……」
「???」
「あ、いや、なんでもない、ミア。それより、ここからどこに行けば良いんだっけ」
「うーん……わたしもそとにでたことがないから……わかんないかなぁ……」
「そうかぁ……まあ大きな街に行けばなんとかなるか……?」
「それよりも! ここでもいらいはうけれるでしょ!」
そう、この兎人族の集落にも依頼がある。
流石に初心者を詰ませない為の配慮なのか、この村であっても依頼を受注し、クリアすることが可能なのだ。
「うーんでもなぁ…………」
そう、あくまで"初心者を詰ませない"ための配慮なのだ。初心者用に難易度が設定されているし、そこまで危険度も低くない。しかし、ゲームに慣れている経験者であればこのまま大きい街に行くことは容易であるだろう。
「まあ……チュートリアルみたいなものか……」
チュートリアルを楽しまない奴をゲーム廃人とは呼べない……
ある廃人の言葉である。
「さて!ちゃっちゃっと終わらせて!鏡花と合流するか!」
『《チュートリアルクエスト 兎人族の悩み》を挑戦しますか? シナリオ所要時間:1日』
ーーーえ?
「チュートリアルが一日ぃぃ!?!?」
そんなことあるぅ!?
チュートリアルで1日とは製作者は初心者に親身ですね()