第十二限 七不思議その一、深夜一時のチャイム・下
鬼の2連投稿(日時過ぎた模様)
思い通りにいかないことだらけ〜♪
鏡洛魔法【イミテーション】……?
一体どんな効果なんだ?
鏡洛魔法【イミテーション】
術者本人が最後に受けた魔法を模倣し、放つことができる鏡洛魔法の一つ。
その時の消費MPは術者のレベルに依存するが、デメリットなどは2倍となる。
それは、水に浮かび現れた幻月。努力を貶め、不和を作り出す叡智の結晶。単に言えぬその力は人に移ろいを見出す。
……ほう!?
これ、今の私にぴったりなやつなのでは!?
私が最後に受けた魔法は……闇魔法の【ブラインドネス】か……
「ねぇ、3人とも。私に今舞い降りた提案がある」
私がそういうと、他の人たちは不思議そうな顔をする。
「何言ってんだお前……」
「ミライさん、何か思いついたのですか?」
「ふふん! アルスちゃんそゆこと!」
私はネストに対して言う。
「ねぇネスト、私に闇の攻撃魔法をしてくれない?」
「……は?」
「えっと……気が狂っちゃったでしゅ?」
「そういうわけじゃないの。実は……」
私はことのあらましを少しオブラートに包んで言った。
「……というわけなのです。」
「なるほど……だが、お前が繊細な魔法操作をできなければ全てが破綻するぞ?」
「ふっふっふ……あの眼鏡少女で最強の魔法少女と謳われた私の魔法捌きを見してあげるよ……!」
「「「???」」」
あ、そうだった! ここにプレイヤー居ないんだった!
でもこのゲームのAI凄いよね……なんというか全てがリアル。リアリティとかで片付けてはいけないような気がするくらいリアル……どんな技術なんだろう……
「とにかくわかった……」
「もしもの時は私が回復するでしゅ!!」
「ありがとう〜レイちゃん〜」
と言うわけで、いつぞやかの時のように、ネストくんは私に対して手を翳す。
「行くぞ……【ブラックスケア】!!」
その瞬間、私は身体に猛烈な痛みを発生させる。一気に体力が減る……
「くっ……いた……い"……」
「ミライさん!!」
「…………はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
「だ、大丈夫でしゅ!?」
「うんうん……全然……大丈夫……だから……」
残り体力が1割を切ったところで、私は耐えた。
あっぶな〜……まじで死ぬかと思った……
こんなところで死ぬなんて景兎になんて言われるかわかったもんじゃない……
「でもこれで……私も使えるようになった……はず……」
私はステータスを確認する。
【イミテーション】の欄の横には、〈セット:【ブラックスケア】〉と書かれている。
「よし……いける!」
「その前に回復をするでしゅ……」
「ちょっと待ってねレイちゃん。これ、回復魔法にも適応されるから」
「あ……ごめんなさいでしゅ……」
「大丈夫大丈夫、怒ってないから!」
うーん……にしてもこれ割と不便だな……自分が最後に受けた魔法しかセットされないとなると……割と限られる……上手い調整だね……
さて……
「本当にいけるんだな……?」
「もちろんさ!」
「少し休んでからでも構いませんからね……?」
「大丈夫大丈夫! なんとかして1時のチャイムが鳴るまでに終わらせたいし!」
何が起こるかわからないのならば起こさなければいいというのはよくある話で、実際それが最適解となることが多いのだから本当なのだろう。
「私は二つを担当します。他の2人は一つずつ解除してください」
「おっけ〜」
「あぁ」
「できれば同時に解除できることが前提です。それと、レイさんは少し誰か来ないかの見張りをお願いします。」
「わかったでしゅ!」
私たちは異物破壊作戦を開始した。
アルスさんは両手を翳し、ネストくんと私は片方の手を翳した。
「いくよ……!」
「【シャインエッジ】!!」
「【ブラックスケア】!!」
「【イミテーション〈ブラックスケア〉】!!!」
全員の手から、アルスさんは片手で、魔法を繰り出す。
まるで絡まった糸をほぐすかのような絶妙な繊細さを求める異物には、かなりの精神力が必要だ。
くっ……これ……数値的には精神力バカあげてるから……なんとか耐えてる……けど……!
バチチっとぶつかり合う音が響く。
「これで……終わりです!! 【シャインエッジ】!!」
アルスさんがもう片方の手で魔法を繰り出す。
4つが割れたのは同時であった。
パリィン!!!
「「「「!!!!」」」」
破壊されたそれを、全員が注視する。
それが再生するか……それを確認したいのだ。
だが、それが再び形作ることはなかった。
……ふぅ……
「ぃよっしゃぁ!! 破壊成功だよ〜!!」
「やったでしゅ〜!!」
「ふぅ……これで七不思議一つを完全攻略だな」
「これで……もう一時にチャイムがなることはないですよね……」
「うんうん!」
最後に、私たちは一時まで待ってみることにした。
そのまま放送室で待機するのもアレなのでいつもの校舎の裏側で待機することにした。
しかし、一時を過ぎてもチャイムが鳴ることはなかった。
「よし! これで七不思議を一つ解明……いや、破壊できたね!」
「良かったです……少し気が抜けてしまいます……」
「………」
「そろそろ帰るでしゅ?」
「そうだね、こんな時間だし……私も寝たいし……寝るか!」
と言うわけで、私たちは帰ることになった。
アルスさんとネストくんは寮生ということで、バレないのか気になったが……
「隠密魔法をかけて帰りますから安心ください」
と言っていた。そんなのあるのか……
とはいえ、私は宿屋に戻り、レイちゃんに言う。
「おやすみ〜レイちゃん、明日はキョート来るはずだから〜」
「わかったでしゅ! おやすみでしゅ〜」
私はログアウトした。
寝る準備をして明日に備える。明日は終業式のため昼に終わるが、遅れないようにしたい。
「そうだそうだ、景兎にメールでも送っとこ〜……よし、これでおっけ〜」
私はメールを書いて寝る。
翌朝、景兎からメールが来ていた。
鏡花へ
どゆこと?
詳しくは学校で話してくれ
景兎より
ふふふ……後で教えてあげるよん♪
そうニヤニヤしながら、私は学校へと出発した。




