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フロンティアグリーディア〜今日と今日から〜  作者: 無食子
憂越は鬱りて、尚陽炎を見ず
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第十限 ユニーククエスト、七不思議

最近疲れてるのかその日以内に出せないというネックを抱えている。

「ネストさん、いい加減生徒会に戻ってきてください。みなさん困ってますよ?」


「困ってるのはお前だけだろ……お前が俺を推薦したんだろうが。それと、俺はもう除名されたんじゃないのか?」


「してません!! 誰ですかそんなことを吹聴したのは!」


驚いた……驚きはした……が……


「ネストくんって生徒会に入ってたの?」


「……そうだよ! なんか悪いか!?」


ほう……ネストくんは、人前に出るのはまずないだろう……何せこんなところを縄張りにしてるのだから。


「いやいや、そんなことは思ってないよ! でもそんなことする性格かな? って思っただけだから!」


「なんだお前……もっとデリカシーを考えろよ……」


そんなこと言ったってここにいることがもう事実って言ってるようなもんでしょ……とは言わないのが私だ。


「実は……私が無理やり入れたんです。」


わかっていたが、無理やり入れたことをカトラリーさんが話す。


「それは……どうして?」


「……ネストさんは昔から人との関わりが薄く……私以外に幼馴染とも呼べる関係もないので……せめて私が守ってあげればと思いまして……」


なるほど……なるほど……と待てよ?


「ということは……カトラリーさん、あなたも……」


「僭越ながら……生徒会で会長をしてます」


生徒会長とな!?

文武両道で才色兼備、おまけに会長職とは……最近のラノベでも見ないぞこんなモリモリ個性……


「こいつ……何かとかこつけて俺を監視したがる……ほんとに迷惑なんだが」


「違いますよ! ただ……幼馴染として! 心配なだけです!」


「お前は俺の母親か?」


「まあまあまあ、そう言い争わない……」


って、なんで私が調停してるんだ……?


その後色々話を聞いていると、ある程度の関係性が見えた。


カトラリーさんとネストくん。2人は幼馴染であり、同じクラスの生徒という。そして、生徒会会長のカトラリーさんと生徒会庶務のネストくんと……

なるほど……これはピンク色が見えますな……


「なるほどねぇ……」


「でしゅ?」


見える……見えるぞ……ズバリ……カトラリーさんは……ネストくんのことが……ふふふ……

いけないいけない、心の中のカプ厨が牙を剥き始めた。話を戻そう。


「ところで、どうしてここに呼んだの? ネストくんに会いにくるためだけ?」


「……本当はそれだけだったのですが……」


「……! アルス……お前……!」


どうやらネストくんが少し焦りを見せている。

何が始まると言うのだ?


「俺としては、反対だぞ、アルス」


「ですが、ミライさんとレイさんも知っておいて損はないと思います。巻き込む形にはなるのですが……」


なるほど、何か隠し事ってわけだ。


「私は知りたいな。だって、友達でしょ?」


「あれはだから無理やり……!」


そう言いかけたところで、カトラリーさんが口を開く。


「本当にいいんですか? 巻き込む形になります。貴方達が危害を被るかもしれません。」


そう申し訳なくなっているカトラリーさんにこう告げた。


「もちろん! 私は2人の友達だからね!」


「私もでしゅ!!」


そう言うと、少し頬を緩めたカトラリーさんが言う。


「……ありがとうございます!」


「俺は止めたからな……こっから先はお前達の責任だからな……」


「早速ですが……お話を……」


「ぜひ、聞かせてくださいな」


「でしゅ!!」


「お二人は……魔導学府七不思議というものをご存知でしょうか?」


「魔導学府七不思議……?」


「でしゅ?」


魔導学府における七不思議ってこと……?

たしかに七不思議とかあっても不思議じゃないけど……


「どうやら知らないようですね」


「ちょっと知らないかな……」


「おなじくでしゅ……」


そんな私たちに今度はネストくんが説明する。


「……七不思議ってのは、この学校にまつわる7つの言い伝えのことだ……これを信じている生徒もたくさんいる……」


そして、呼応するようにカトラリーさんが話す。


「私たち生徒会……いや、私たち2人は、この七不思議を頑張って無くそうとしています。」


ほう……なるほど……?


「七不思議を2人で?」


「ああ、ただ……俺たちが見つけた七不思議はまだ一つだけだ。」


「それも解決には至っておりません……」


どうやら、七不思議自体は全てわかっているらしい。

「夜中1時に鳴る謎のチャイム」、「あるはずのない謎の部活」、「音楽室の肖像画」、「謎の教室」、「トイレの鳴き声」、「夜中に現れる吸血鬼」


「……そして、最後は、「黒い謎のカード」というものです。」


おや? 私たちが持っているのは……黒のカード……あれれ〜?


「つまり、私たちが行くのは規定事実だったってわけね……」


「申し訳ございません! お二人がそのカードを使っているところを見て、これは誘わなきゃいけないと思ってしまいまして……!」


なるほど、だからか……それにしても


「当たり前だけど7つあるね……」


「その中で、少しでもわかっているのは「夜中1時に鳴るチャイム」だけだった。……お前達が来るまではな」


なるほど……なかなか手強そうだね……


そう考えていると、カトラリーさんが言う。


「改めて問います。どうか、手伝ってもらえませんでしょうか?」


カトラリーさんが言い終わる。それと同時に、私の目の前にあるものが表示された。


〈『ユニーククエスト:七つの不思議探検隊』を受注しますか?〉


ユニーク……クエスト……

始めてか……? 何が何だかわからないけど……

私がここでNOを選ぶ理由は一つもない!!

「YES」一択!!


「もちろん! さっきも言ったけどね!」


「でしゅ!」


「……! ありがとうございます!」


「もう、後戻りはできないからな?」


「そんな脅して〜。大丈夫、私たちこう見えても強いから」


「そうでしゅ!」


「……はぁ、まあいいや」


「それとですね……」


カトラリーさんが言う。


「私のことは、アルスとお呼びください。その……もう、お友達……ですし」


「……うん! もちろん! よろしくね、アルスさん!」


「よろしくでしゅ!!」


「……はい!」


というわけで、一時解散となった。再集合は、私たちの授業が終わった後。場所は、校舎の裏側……つまりここだ。


別れた後、私とレイちゃんは、時間まで色々な教室を見て回った。

私たちは授業へと出ることにした。

教室では、アルト先生が待っていた。


「お二人とも、時間通りに来ましたね。見学は楽しかったですか?」


「いやぁ、とても有意義でした! ね! レイちゃん!」


「はいでしゅ! とても楽しかったし勉強になったでしゅ!」


「ところで、この黒いカードなんですが……」


「ああ、持ってて大丈夫ですよ。卒業までに返して貰えば良いので。」


「本当ですか!? ありがとうございます!」


ふへへ……これで色々できるね……

とはいっても、どういう七不思議なのかわからない。これは、アルスさんに聞くしかないだろう。


このまま授業は猛スピードで進んでいった。食らいつくだけで精一杯だ……

2日目にしてこのスピード感……さすがとしか言いようがないな……


一方レイちゃんはというと……


「でしゅぅ……? これがこうで……これがぁ……でしゅぅ…………」


頭がパンクしていた。


なんとか授業に食らいつき、授業が終わるチャイムが鳴る。


「今日はここまで、次回は明日かな? ってことで、またね〜」


「はーい……」


「でしゅぅ……」


ゲームでこんなに勉強させられるとは思ってもいなかった……

ただ、有意義なんだよな……一応。


「よくわからなかったでしゅ……」


「大丈夫、そのうち慣れるよ。私も食らいつくだけで精一杯だし……」


「そろそろ行くでしゅ?」


「うん。行こっか!」


今日は寝れそうにないな……

私たちは待ち合わせ場所まで行く。


さて、七不思議か……絶対解いてやる……!

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