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フロンティアグリーディア〜今日と今日から〜  作者: 無食子
憂越は鬱りて、尚陽炎を見ず
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第九限 最優秀生徒、現る

遅くなりましたが、投稿です。

話は昨日のお昼まで遡る。


私は、景兎と別れた後、家に帰り、すぐさまフログリを起動してレイちゃんと冒険に出かけた。


「冒険って言ってもどこにいく? 一応学校内は生徒ならどこでも行けるらしいけど」


「なら、少しだけ見学とかしたいでしゅ! 私も魔法使うの上手になるためにもっと色々見たいでしゅ!」


うーん、レイちゃんは十分強いけどなぁ……

まあでも……レイちゃんが強くなるならアリか……


「うん、じゃあ先生に掛け合ってみよっか!」


「はいでしゅ!」


私たちは職員室まで行った。


「すみませーん! アルト先生はいらっしゃいますか?」


それに反応したかのように1人の先生が来る。


「アルト先生とは、僕のことかな? ……おや、ミライさんにレイさん……貴方達でしたか……」


「あ、アルト先生! 一つ聞きたいことがあるんです!」


「おや、なんでしょうか。私が話せる範囲であれば答えますよ」


私たちは見学したい旨を話した。


「なるほど……たしかに後学のためには良いでしょう……そうですね……これを渡しましょう。」


私に渡されたのは黒いカードのようなものだった。

まるでサッカーでいうレッドカードのような、本当に黒一色のカードであった。


「これは……なんですか?」


「これを持ってると先生たちに見逃してもらえるんですよ。まあ要は好きに見学できるっていう感じですね」


ほへぇ、そんなのあるんだ。


「なんだかわかんないけど……とりあえずありがとうございます!」


「いえいえ、たくさん勉強してくださいね」


「はいでしゅ!」


ということで、謎のブラックカードを渡された私たちは、ある教室の前に来ていた。それは、この学校の最優秀生徒が居るというところだった。


「ここが……よし、入ろっか!」


「はいでしゅ!」


ゴゴゴッと音を立てて扉は開かれる。

先には、教室があった。教室は、黒板があり、座席が扇状になっていて、 高校というよりは大学に近いような感じである。


ほぼ全員が私たちの方を見ている。

そりゃそうか、突然授業中に乱入とか見ちゃうよな。


「おお……」


「すみません……貴方達は……」


私たちはカードを見せながらこう言う。


「少し見学がしたくて……」


相手の反応はと言うと……


「……なるほど……わかりました。席は空いているところに自由にお座りください。あ、ちょうどあそこが空いていますね。」


よっしゃ!

アルト先生様々である。


私たちは、案内された場所へ座る。


「少し視線を感じるでしゅ……」


「うーん……まあ、乱入者だからね……」


私たちは小声でそう話す。

そして、授業が再開した。


私たちが案内されたのは、後ろの方の席であり、少し板書が見づらかったが、なんとか見ることはできた。


そんなふうにして、聞いていると……


「あの……一つ質問よろしいですか?」


小声で女の子に話しかけられた。


「えっと……貴方達は……どちら様でしょうか?」


そう言われたなら答えるしかあるまい。


「私はミライと言います。気軽にミライって言ってください。」


「ミライさん……ですか?」


「はい。それと……こっちはレイちゃん。実は私たちは特別コースの生徒で……少し自由時間があったから見学したかったんです。」


「レイでしゅ! よろしくでしゅ!」


なるほど……と相手は思ったのか、沈黙する。

しかし、この女の子……NPCとは思えないくらい透き通った綺麗さだな……まあ……レイちゃんとかもそうだけど、NPCが汎用顔じゃないのはいつも通りなのだ。なんとも言えないか。

ところで……最優秀生徒ってやらを探さないといけない……確か名前は……カトラリー……だったかな……


「ところで……お名前は?」


私は何気なしに話しかけてきた隣の人に聞いた。


「わたしですか……? わたしは、カトラリー・アルスといいます。」


カトラリー……まさか……


「あなたが……最優秀生徒さん?」


「でしゅ!?」


私は聞いた。すると、少し照れながらカトラリーさんは言う。


「お恥ずかしながら……そうですね……」


私たちが見たかったお手本は、すぐ横に居た。


「お友達になりませんか!?」


私は咄嗟に大きな声を出してしまった。


「ミライさん、声大きいでしゅ!!」


即座にレイちゃんに咎められる。

少し視線を感じた。


「あはは……ごめーん」


「なんと言うかその……すごく元気な方なんですね?」


「あはは……」


「はぁ……でしゅ……」


少し沈黙が続いた。もちろん授業は進行しているわけだが。


「ところで……お友達になって欲しいとのことでしたが……」


カトラリーさんが言ってきた。


「あ、そうだ……お返事だけでもくださいませんか?」


「わたしでよければ……良いですよ」


色良い返事だった。


「やったね! レイちゃん!」


「は、はい……でしゅ?」


私たちは、カトラリー・アルスさんと友達になった。


授業内容は世界史、この世界についてだった。

この世界にはさまざまな王国があるらしい。

この魔導学府イデアもそうだが、融和王国スタルトラをはじめに、獣王国、蟲地王国、気上共和国、黄金帝国など、さまざまな国々が紡がれた歴史を知る……と言う内容だった。


うーん……設定厨はワクワクしそうな内容だ……

そういえばwikiにも詳しくは書かれてなかったけど書いてたな……てことはこれを実行した人がいるのか?


そんなことを考えているうちに、授業は終了した。


「ミライさん、レイさん、少し購買まで行くので、付き添ってくれませんか?」


おや、親愛イベントかな?

恋愛ゲームあるあるだけど、このゲームはフログリだから、単にNPCの好感度稼ぎか?


「私はいいですよ! レイちゃんはどうする?」


「私も……行きましゅ……!」


ということで、カトラリーさんに付き添って、購買に来た。

そしたらもうびっくり! 急に人だかりの中心になった。

どうやら、カトラリーさんは学校内でも有名で、ファンクラブもできるほどのものだとか。

強さ、美貌、知力、どれをとっても一級品。

しかも対応力(コミュ力)も高い。正直女性として勝てるかわからん。NPCに負けるだと……?

私は沈んだ。


「「ミライさん!?」」


そんなこんなで今私は溶けている。

カトラリーさんは魔法を駆使して私を持ち上げて運んでくれている。少し申し訳ない気持ちがある。


「大丈夫ですか!? ミライさん」


「大丈夫でしゅ?」


「いや……大丈夫大丈夫……あんなに人だかりに押し込まれるのは慣れてないだけだから……レイちゃんはすごいね……」


「慣れてるでしゅ。」


慣れてるのか……ますます出歴が気になるな……


私たちは今、カトラリーさんに連れられ、校舎の裏側まで来ていた。


「ここなら人は来ませんね……ミライさん……申し訳ございません……!」


「良いよ良いよ、てか、いつもあんな感じなんだ」


「はい……私1人だと特に何も感じないのですが……付き添いの方がいるのにも関わらず購買に行くのは愚策でした……」


「とりあえずご飯食べたいでしゅ!!」


ちゃっかり私たちもカトラリーさんに奢ってもらっている。ご飯があるのはいいことだ! あんま味は感じないけど。


ご飯を食べているとふいにカトラリーさんが話す。


「少しここで待っててください、私はすることがあります。」


そう言って、ご飯を持っていき、まるで祭壇かのように皿に入った食べ物を置いた。


「こうすれば彼は来るはずです。」


彼……?

そう言えばここは校舎の裏側……はっ! まさか!?


「ったく……アルスは単純だな……こんなので来るわけないだろ……」


来るんかい!!

そして予想的中、エルダー・ネスト……ネストくんが私たちの前に現れた。


「あ、ネストくんじゃーん!」


「うわ!? お前達……昨日の今日で……!」


「お三方は……お知り合いなのですか?」


「そうでしゅ!! 昨日お友達になったでしゅ!」


「あれは半ば強制だろ!!」


キャンキャン言っているが、友達と認めれば友達なのだ。うんうん。


「というか……お二人はどう言う関係で?」


「私たちは……」


「俺とカトラリー・アルスは幼馴染、それだけだ。」


「なんですと!?」

いやぁ、ようやく導入まで漕ぎ着けそうです。

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