第三十八知 知っていれば慢心するが、知らなければ驕り昂る
飛び飛びで作業すると、前回何描きたかったのかを忘れる時がありますよね。
俺とタヂカラ、レイの目の前に現れたのは、レベル110……つまり、俺たちの現在の上限を超えた存在であるピラーズティガーという名前のモンスターであった。
それも3体。
「さぁて……鈍ってねぇといいが……」
先に仕掛けたのはティガーの方であった。
その筋骨隆々な見た目に反して、素早い動きで接近し、俺の首を噛みちぎろうと迫る。
「くっ……!」
俺はその牙に「雷」を交え、間一髪のところで噛みつきを阻止する。
「はっ……! なかなか速いな……」
流石は限界突破モンスターってわけだ……力も強けりゃ速くもある……だが……
「ここで倒れるようじゃ、ユニークモンスターにも勝てねぇんでな! さっさと終わらせてやるよ!!」
俺はもう片方の手にある「電」をティガーの目に突き刺す。
その刺突に驚いたか、弱点が入ったかはわからないが、ティガーは確かによろめき、後退する。
「ふぅ……あぶねぇな……」
少し周りを見れば、タヂカラとレイが、それぞれ一体ずつティガーを相手取っていた。
こいつら、動物のくせにやけに統率取れてやがる……!
今まで統率を取ってたモンスター達とか居たか……?
「まぁいい……速攻でケリをつけてやるよ! 〈起動〉!!」
俺は身体中に稲妻を走らせる。
そして、再び剣を構え、今度は俺が動き出す。
ティガーは俺の行動を目で追おうとするが、振り向くよりも前に、俺の剣がティガーの身体に衝突する。
「!!?」
その苛烈な撃に、ティガーは痛みを叫ぶような咆哮を吐き、よろめく。
「おいおいおい! もっともっと掛かってこいよ!!」
俺は木々の間を縫うかのように移動し、ティガーの背後を常に取り続ける。
迎撃を試みるティガーであったが、段々と動きが鈍くなり始める。
「痺れてきただろ、それが俺の攻撃だからな!!」
俺は牙部分の方に狙いをつけ、攻撃を仕掛ける。
おそらく、ここがなくなればこいつは攻撃能力が大きく削がれる。
つまり、イージーウィンってわけだ。
「そろぼちスタミナもキツくなってきたからな……そろそろケリを……」
その時、俺の耳をつんざくような声が聞こえる。
「キョートしゃん! 不味いでしゅ!! 敵さんがまた出てきたでしゅぅ!!」
レイの声がする方向を向けば、そこにはさらに6本、白い牙を覗かせていた。
「まじか……!!」
だったら……さっさと目の前のやつを倒して、あっちに加勢する他ない……
じゃなきゃ最悪、レイが死ぬ……!
「待ってろレイ……! すぐに倒してそっち行く!!」
俺は、手負いのティガーをさっさと倒さんと刃をティガーへと入れ込む。
が、ティガーは倒れる素振りを見せない。
「くっ……こいつ、無駄に硬ぇ……!!」
レイの方を向けば、3体ほどのティガーに囲まれており、未だ致命打は当てれていないようであった。
不味いな……レイのレベルは俺やタヂカラと違ってカンストに到達していない……職業的にも、レベル110×3の火力を耐える耐久力を耐えるとは思わない。しかもNPCキャラだ、復活なんて当然用意されてないだろう。
しかも、レイはユニークモンスター関連だし、何より仲間だ。そう易々と死なせるわけにはいかない。
だったらこいつを無視してさっさと行くしか……
そう思いながら近づく矢先、俺の足にティガーが噛み付く。
「い"っ……!! くそ……邪魔すんじゃねぇ……!」
俺は足を払いながら、レイへと近づこうとする。
が、後一歩のところで、新たなティガーが前を塞ぐように俺に攻撃を仕掛ける。
「んなっ……!! あっぶね……ぇ"……!!」
そして、図ったかのようなタイミングで、〈起動〉の効果時間が切れる。
更に、噛み付かれた時に注入されていたのか、身体が思うように動かない。
……麻痺毒か……!!
あいつ、あのピラー以外にも持ってやがったのか……!
「くそっ……まじかよ……!!」
レイの方を向けば、レイは構えを取りつつも、息を荒げていた。
「はぁ……はぁ……か、硬すぎでしゅ……! っ……痺れが……まわってきたでしゅ……!」
レイの腕に噛み跡がついている。
おそらく、さっき噛まれたのだろう。
動けない俺たちのことはお構いなしと言わんばかりに、ティガーはレイに噛みつこうとする。
「くそっ……間に合わねぇ……!!」
そう思った矢先のことであった。
レイとティガーとの間に、一つの物体が割って入る。
「なんだ!?」
「でしゅ!?」
土煙の中から現れたそれは、斧のような形をしていた。
「一対多の怖さは、僕が一番知ってます。すみません二人とも、少し処理が長引きました」
そこに立つのは、馬鹿でかい斧を持った男、タヂカラであった。
「……タヂカラ!」
「すいません、少し遅れました。でももう安心してください、レイさん。僕の背後には、何人たりとも入らせません」
そう言いながら、タヂカラはレイに何かを手渡す。
それは、ポーションのようなものであった。
「キョートさん! これを!」
そう言って、タヂカラは俺に対しても渡してくる。
それは、先ほどレイがもらったものと同じポーションであった。
「サンキュー! 助かる!」
それを飲むや否や、重い雰囲気であった身体が嘘かのように動き始める。
「麻痺が……治った!! 〈兎脚〉!!」
俺は即座にレイやタヂカラの元へと行く。
「すまねぇレイ、遅れた」
「キョートさん! 無事で良かったでしゅ!」
「そっちもな。ありがとうタヂカラ」
「礼をもらうのは、この場面を切り抜けてからにしましょう」
そうタヂカラが言った視線の先には、ティガーが4匹、散会するように俺たちを囲っていた。
「……そうだな。さっさと倒すか!」
「ですが、僕はあまり火力が出ません。出ても一瞬です。おそらく、キョートさんの方がずっと火力は出るでしょう」
……まぁ、正直言えば、舐めていた節はあった。
ユニークモンスター、ミリー・スターリング……数多の強敵との戦闘で、俺は有頂天にはなっていた。
慢心と鈍り、それが俺を石にしていたのだろうか。
「……いけねぇ、こんなんじゃミライにドヤされちまうな……」
俺は自身の目に、再び火を灯し直した。
「わかった、任せろ。俺が全部まとめてぶち抜く」
そう言いながら、タヂカラの前へと出る。
「一瞬で終わらせてやるよ」
俺は、「雷電」を仕舞い、『戦月兎・直剣』と『戦月兎・円盾』を新たに取り出す。
「さてと……〈合体〉!!」
俺は『戦月兎・直剣』と『戦月兎・円盾』を合体させる。
「……! なんですかその武器は……!?」
俺は『戦月兎・兎十大剣』を構える。
「ヘイトは任せたぜ? タヂカラ」
「わ、わかりました。〈牽声〉!」
その声一言で、ティガーのヘイトは全て、タヂカラへと向かう。
……! まじか、そのスキル……
「はっ……いいじゃねぇか!! 行くぜ……! 〈兎脚〉!!」
俺はそのままの勢いで、横に並び始めたティガーの横へと迫る。
そのまま構えの体制を取り、最適なタイミングを虎視眈々と狙う。
ここなら……一直線だ……!
「キョートさん! 今です!!」
「行くぜ……兎人族流……奥義!! 〈鋭兎角撃〉!!」
その一撃は、ティガーの全てを貫いた。
ティガーが倒れ、最後に立っていたのは俺たちであった。
「……ふぅ」
「キョートしゃぁぁぁん!!!」
疲れ切った俺の元に、レイが飛び込んでくる。
「うぉっ!? おいおい、大丈夫かよ怪我は」
「なんともないでしゅ! タヂカラさんが持ってたポーションのおかげでなんとかなったでしゅ!」
俺は、タヂカラのところへと向かう。
「とりあえずなんとかなったな、タヂカラ」
「えぇ、そうですね……それにしても……凄いですね、キョートさんは」
「え?」
「あんな技を隠し持ってるなんて。見たことないですよあんなの」
「そうか?」
……もしかして、まずかったか? 使うの……
(今回はいい感じだ……この調子で……リーダーを……)
結局、この日はレベル上限解放できる場所を探し当てることはできなかった。
俺たちは収穫がないまま、テントへと戻る。
「……いや、収穫はあったか……」
そう言う俺の後ろでは、タヂカラに懐くレイの姿があった。
慣れていないのか、タヂカラは少し困り気味に言う。
「今日は色々疲れました……」
「そうだな。まぁ、仲良くなれたなら幸いだな」
「はぁ……まぁ、そう言うことにしておきます。ではまた明日、会うかはわかりませんが」
「おぅ、そうだな。また明日」
そう言って、俺たちは別れる。
「……結局ミライさん、来なかったでしゅね……?」
「あいつは今人生を謳歌してるよ」
「……でしゅ?」
ユニークモンスターレイド戦まで、後8日……
初めてこれほど間隔を開けて投稿してしまいました。
遅くなってしまい申し訳ございません!
ということで、お詫びの裏話を。
職業、副職業、種族について
職業について
職業は、その人物が最も得意とすること。
剣士や魔法使い、神官や武闘家、僧兵や人形使いなど、全ての職業をセットできます。
メインとしてスキルが充実しており、メインにしないと使えないスキルなどがあります。ただし、サブでしか使えないスキルももちろんあります。
副職業について
副職業は、その人物が次に得意なこと。
先ほどと同じように剣士や魔法使いをセットすることができますが、人形使いや僧兵のような、一部の職業はセットすることができません。
サブでしか使えないスキルもありますが、主にメインの補助で使用されることがほとんどです。
稀に、サブの方が効果を発揮するという職業もあります。
種族について
フログリをプレイする際に、最初に選べるものの一つ。
種族毎に伸びやすいスキルなどが違う。
種族特有のクエストやスキルもある。
特別な場所やクエストをクリアすることで、種族を変更することができる。
また、特定条件を達成することにより、"種族進化"をすることが可能な種族もある。




