第四限 探索者、童話を見ゆ
かなり遅くなった。
毎日10時まで投稿頑張りたい
「あるモンスターってユニークモンスターのことなのか」
原初の十四罪……『青の吸血鬼』……初めて聞く単語だ……
「んで、どんなやつなんだ? その『青の吸血鬼』ってのは」
「さぁ?」
「さぁ!? 普通そう言うのはわかってるもんじゃないのかよ!?」
「と言っても、ウチも知ってることはこれだけ。なんでそんなことがわかったのかとか、そいつがどんな奴だとか、調べた奴に直接会ってみないとわかんないっしょ。だからここで待ち合わせてるの。」
なるほど……
「んで、そいつは今どこに?」
「もうそろ来るんじゃない? あ、そう言ってる間に来た来た」
扉が開かれる。そこから入ってきたのは背の高い青年だった。
「やぁリーダー、遅くなってごめんごめん」
「いつまで待たせんのよ女の子を」
「いやぁ……少しまとめ上げるのに時間がかかっちゃってさ……それで……この人たちは?」
「あー……こっちがウチと一時的にパーティーに組んでるアグリちゃん、こっちがその知り合いのキョートくん」
「どもっす」
「よろしくお願いします!」
「なるほど……てことは協力者ってことかい?」
「そゆことになるね」
「ところで……貴方の名前は?」
「あ! 申し遅れました。僕はヴェルノ、クラン『探索者』のサブリーダーを務めています。よろしく」
「あ、よろしくお願いします。ベルノさん? ですっけ?」
「"ヴェ"ルノだ。間違えないでくれたまえよ?」
「あ、はい。ヴェルノさんっすね。」
「ごめんねぇ。こいつちょっとこだわり屋なんだよ」
まあ、俺も名前間違えられたら怒るし俺が悪いな今のは。
「なるほど……というか、探索者って言うんすね。クラン名」
「あれ? リーダー言ってなかった感じですか?」
「あーそういや言ってなかったね。まあウチは探索と考察を行う系のクランだから。安直っしょ?」
「あ、うん……そうっすね……」
「ところで、ヴェルノさんでしたっけ? どうしてここにモンスターがいるってわかったんですか!?」
お、いいぞアグリさん! 助け舟ありがたすぎる!
「あー……そうだねぇ……僕は、ここで生徒をしてたんだよ。この学府の書物に興味があってね」
「なるほど……」
あー……そういう理由もあるのか……確かに考察勢にとっては面白い資料がいっぱいありそうだもんなここ。
「それで色々本を読んでいたんだよ。もちろん、ただの娯楽小説とか幼児用の絵本とかもね」
「そんなの読む必要あるのか?」
「うんうん、あるよ。僕たち探索者は、あらゆるところからこのゲームの世界観、設定、攻略法等等を紐解くクランだからね。幼児用の絵本には様々な可能性がもたらされる。」
「幼児用の絵本……こう言う創作物においては何かしらを後世に残すための記録媒体としてよく使われますね……」
「アグリさん……頭良いな……」
「あ! いえいえ! 探偵としての勘が冴えたと言うか!」
そうか、そういえばアグリさんの職業は探偵だったな。そういうスキルとかか?
「正解だアグリくん。みんな、この本を見てくれ」
ヴェルノさんが出してくれた本のタイトルは「ウツギさんの袖の中」という。こんな大人になってはいけないという戒めの本らしい。
「ここの部分、こここそが何かを残している記録媒体の役割なんじゃないかなって思ってね……」
そうして俺たちに見せてきたのは、とある一節だった。
「ウツギさんの袖には、動物がいる。それは、大きくて、血を吸うぞ! と言わんばかりのコウモリだ! ウツギさんはそのコウモリを「あお」と呼ぶ。あおはウツギさんの心の支えなのだ。」
……なるほど
「だから吸血鬼だと?」
「ああ、僕達探索者が出している攻略wikiにも載っているユニークモンスターの情報を擦り合わせて考えると、当てはまるのは『青の吸血鬼』なんじゃないかなって思ってね」
「ヴェルノ、よくみつけた。それで、ウチを呼んだということは目星がついたってこと?」
「ああ、そうなんだ。実はこの「ウツギさん」はシリーズ物でね。全部で9巻あるらしいんだ」
「かなりの長寿物だな」
「「らしい」ということは……何冊か見つかってないんですか?」
「ああ、僕が見つけたのが5巻、2巻、6巻、そして、最初に見せたそれ……1巻の合計4つ」
「なんで9巻あるってわかったんだ?」
「昔の貸し借りの履歴と、文学の歴史をちらっと見てね。そこには9巻で最終巻と書かれていた。」
「つまり……ウチらにはその残りの5つを探して欲しいってこと?」
「そうなる。そうするともしかしたらユニークモンスターと遭遇できるかもしれない。」
なるほどな……
「わかった。協力する。といっても無理やり参加させる気だっただろうが……その代わり、ユニークモンスター戦には俺も参加させてもらう。」
ユニークモンスターには借りがあるのでな……
「ありがたいね……アグリちゃん、どする?」
「わ、私も是非参加させてください!」
「よし、決まりだな」
「これより一時的にウチ達はチームってこと。あと、あんまり外部には漏らさずに。」
「その心は?」
「人が多くなると本がどこかへ行く可能性がある。以上」
「たしかにな」
「頑張ります!!」
話を終えた俺達は、今日は一旦解散、明日からできるタイミングで各々この図書館に集合し探索していくことになった。
「さて……きょ……じゃなかった……ミライとレイにはどう話すべきか……」
とりまミライはログアウトしていない……ログアウトしてる間レイを宿屋で留守番させないといけないしな……
俺は2人を待つことにした。
「てか、今思ったけどあんだけの情報でほんとにユニークモンスターが居るって思えるのか? ちょっと心配になってきたな……」
そして、2人が来る。走ってくる。猛ダッシュしてくる。あ、こけた。
「いたた……」
「大丈夫でしゅ……?」
「うんうん、これくらい平気平気」
「ったく……しっかりしろよな……んで? そんな急いでなんかあったのか?」
「あ! そうそう実はね〜」
「実は私達、お友達ができました!!」
「でしゅ!」
………ふーん……?
ほう……なるほど……
はぁぁぁ?