第十話 始まりの終わりと新たな厄種
今回は少し短めです
俺は宿を飛び出し、ミライのいるであろう待ち合わせの場所へと向かう。
待ち合わせ場所には、案の定ミライがいた。
「キョー……じゃなかった、ミライ! やばいことが起きた!!」
「どした? そんなにやばいこと?」
「やばいもやばい! 俺の防具の耐久値がクソ雑魚になるらしい!!」
俺が元気にそう言うと、ミライは驚く。
「え? それ戦士として大丈夫そ?」
「大丈夫なわけないだろ?」
「あはは」
ミライは、乾いた笑いをした。
「てめぇ……まあ、一種の縛りプレイみたいなものだと考えれば良いか!」
「軽いなぁ」
「ところで、ミライもなんかあるんじゃねぇか?」
俺にあると言うことは、つまり一緒に戦ったミライの方もあると言うわけだ。
俺はそう確信して聞いた。
「まあ、そうなんだよね……実は……私もなんか謎のアイテムをゲットしてね」
「アイテム? どんなやつ?」
「これなんだけど……」
そう言ってミライは右腕を出す。
その右腕には、手錠に錠前がついているかのような見た目をした腕輪が付けられていた。
「なんだこれ、手錠?」
「いや、手錠っぽいけど手錠じゃなくて……」
ミライは俺に、これが何かを説明する。
「このアイテム……「無手情舞」って名前のアクセサリーらしいんだけど……」
ミライから聞いた話を要約するとこうなる。
無手情舞
このアイテムの装備者は、『毒耐性』が与えられる。
装備者はAGLが半分になる。
装備者は自身が受ける『炎属性』のダメージを倍増して受ける。
そして……
「このアイテムは装備したら自身の力では取り外せなくなる。外すためには〈無情の鍵〉が必要……らしい」
なるほど……
「つまり呪いの装備ってわけか」
「まあ、そう言うことになる……かな」
俺にも状態異常……ミライにも呪いの装備……
「あの敵は只者じゃないのかもしれないな……」
「ユニークモンスターの性質なのかも……? ちょっと調べてみないとわからないかな……」
ユニークモンスターが全てそうなのか、それともあいつだけが特別なのか……
まあ……難しいことは鏡花に任せよう。うんうん
「今何か私が損するようなこと考えた?」
「いやいや全然?」
うんうん、全然別に鏡花が損するわけでもないから! うんうん!
「まあでも、面白くなってきたじゃない……この手のデバフは腐るほど受けてきたわ……!」
「うわ、ミライさんやる気ですね〜」
「あったり前でしょ? ゲーマーの血が騒ぐってものよ!」
まあ確かに、俺もあいつを倒すまでは終われないかもな……
「てことは今日は解散か?」
「そりゃそうでしょ。今何時だと思ってんの?」
「まあ確かに……」
俺は時刻を確認する。時刻は、深夜の0時を超えていた。
「ふぁぁ〜……んじゃ、私は抜けるね〜」
「おう、また明日な!」
そう言ってミライは宿屋へと戻って行った。
「さて、俺も寝るか……」
それにしても……
先ほど確認した時、レベルが上がっていた……
あのサマルテGTとか言うやつのおかげで、レベルが上がったのか?
ユニークモンスターは出会うと経験値をもらえる……?うーん……
「やべぇ……頭回ってない……寝るか……」
そして、俺はログアウトした。
翌朝
「テストだってさ、景兎」
「おう、そうだな」
「自信のほどは?」
「もちろんあるに決まってるだろ? ここ2日はまともに勉強してなかったけど、その前はしてたし、いけるいける!」
「期末試験なんだから赤点取ったら先生にどやされるよ〜?」
「今回は大丈夫だ! ちょっとフログリに時間使ったけどそれくらいなんてことない!」
「まああんた馬鹿ではないもんね。阿呆だけど」
「阿呆でもねぇよ!」
そんなことを話しながらも、時間はやってくる。
「テスト始めるから、机の上は筆記具だけだぞ〜」
そんな先生の言葉を合図として、皆着席し、テストが始まる。
俺のゲーム脳を舐めるなよ〜? 高校の範囲なんてゲームで全部やったからな!
テストは全然難なく解けた。
◇◇◇
ある家の一室
「キョート……待っていろ……ふっはっは……!」
ある部屋の和室
「優しい人でした……またどこかで会えるかな?」
ある部屋の一角
「これがフログリ……これは……"映え"だね……!」
ある部屋の中
「嗚呼……ルベたんhshs……可愛すぎだろ!」
ある家の中
「アインス様ぁ……!! 麗しい!!」
ある部屋の……???
「未だ進まない……これでは何も生まれない……待ち遠しい……この世界に……欲望を持つものを……冒険者たち……もっともっと開拓して……己の欲望を……」
この時、俺は知る由もなかった。
この物語はまだ、序章に過ぎなかったということを。
序章完遂!
新章書くぞ〜バリバリ〜
ということで、溜まってた言いたいことをぶちまけるね……!()いいよね!()
やばいところはしっかり伏せたのでヨシッ!
〈作中設定ぶっちゃけコーナー〉
サマルテGTとは
原初の十四罪という存在の一体にして、至高な思考を持った〈ーーーーーーー〉ロボット。
ゲーム的には、プレイヤーに最も有効な技を擦り倒してきます。クソボスやないかい!ってのは半分正解。
なぜこやつがそう呼ばれるようになったのかは、後々語られることでしょう。