Wish
前回までのあらすじ
ミアの目の前に不意に現れた怪物。ミアは魔術を唱えるが、全く効かず。アミがカバーに入り、一回り強い魔術を何度も唱えるが、かすり傷ひとつつかず。怪物の重い右手が振り下ろされそうになった時、何者かが彼女らの前に飛び込んでくる…
…がはぁっ
ミアが目を開けると、目の前には血まみれになった何者かが倒れていた。
「もしかして……アミ姉ちゃんが?ミアをかばって?やだよっ…やだよそんなのっ!」
ミアは目を強く閉じて、現実を受け入れまいと、何度も泣きわめいた。しかし、幸いなことに、
「ミア?私はいるわよ。」
アミは無事であった。
「えっ…?えっ!アミ姉ちゃんなの…!?ホントに?ホントに?」
ミアはいまだに信じられない様子であった。
「それより、私は見てしまったの。私をかばってくれたのは……見間違いじゃなければ……」
アミは目の前の血まみれになった何者かを見つめ、目を細めた。
「あなた。ブランよね?」
ゴホッ、ゴホッ…
僕は2人を守れたのだろうか。
僕は何もできない。体を張るしかできない。これが2人にできる最大の助けである。
しかし、僕が想像していたモンスターにしては、あまりにも強すぎる。まるで鉄パイプで思い切り殴られたように、頭がジーンとして、何も考えられない。
僕はもう死んだのか?2人を救えずに。ははっ、バカみたいだ、な……
「ミア!この人の応急措置を!モンスターは私が時間を稼ぐわ!」
「う、うん!頑張ってみるよ」
ミアは血まみれのブランを後ろの岩陰まで引きずり、魔術をぶつぶつと唱え始めた。
「〜〜〜〜!これでできたはず。しかーし、この顔どこかで…?」
数分後…
「……んぐっ、んぅ……はっ!僕は!僕は!」
「!? びっくりした〜起きたのね。だけどまだ動いちゃダメだよ。かなりの致命傷を負ってるから。」
ブランは何か思いついたかのように突然起き出したが、やはり致命傷だったようで、動くことができないでいた。
「アミ姉ちゃん!この人、目、覚ましたよ!」
ミアは笑顔でアミの方を向くと、振り返らずに早口で答えた。
「わかったわ。ミアはそのまま面倒を見ておいて。私はまだ大丈夫だか、らっ……きゃっ!」
アミは数分にも及ぶ戦闘の疲労から足をくじいてしまった。
コロス…コロス…
「姉ちゃん!危ないっ!!」
ミアは急いで駆け出そうとしたが、ずっこけてしまった。
「はっっ…」
アミは尻もちをついて後退りをしていた。ミアは怖さでかがんだまま、右手を前に出しているのみであった…
僕は何もできないのか。ただ先の未来が見えるだけなのか?魔術はもちろん、何か励ましの言葉をかけることもできない。2人を守るどころか、守られている気がする。
そんな中で、僕にはさまざまな願いがある。
洋一として、ここにモンスターを置いたのは僕だけど、絶対に2人を守り抜きたい。
洋一として、あっけなくやられる、という設定にしようとしたのは僕だけど、絶対に2人を守り抜きたい。
ブランとして、何もできない僕だけど、絶対に2人を守り抜きたい。
何より、母の願いを守りたい。
ブランは目を強くつぶって、手を強く握りしめた。
絶対、2人を守り抜く、と。
ブランが目をゆっくりと開けると、右ポケットがキラキラと輝いていた。
なんだ、と思い、ポケットに手を突っ込むと、
「これは…?この小説を書いているノート?」
[題名未定]と書かれた、黒いノートが入っていたのであった。
今日の感想
戦闘シーンになると、書く手が止まらなくなってくるのですか、それに応じてミスも増えていきます。実際何話か改稿しています。一応投稿する前に目を通していますが、なぜかスルーしてしまうんですよね笑