Determination
前回までのあらすじ
自身が書いていた小説の主人公?ブランに転生した中村洋一。気がつくと目の前に2人の女の子、ミアとアミが引き気味で座っていた。父探しの旅へ行こうとする2人の運命を知っていたブラン、いや洋一は一旦後ろをつけることに。
「ママっ!ミアとアミねーちゃんでね、パパを探しにいくことにしたよ!」
「ダメよ。パパは絶対いつか帰ってくるから、それまで待っていなさい。」
彼女らの母は厳格かつ物悲しそうな顔で引き留めた。しかし、アミは顔をしかめた。
「…お母様。そう言って何年経ちましたか。ミアも然り、私ももう我慢の限界に達しています。そして私達はもう子供ではありません。お願いします。」
「…お母さんだって貴女たちが子供じゃないことなんてわかっているわ。だけど貴女たちに危険な目にあって欲しくないだけなの。今はこの通り動けないけど、少ししたらこんな病気、すぐ治るから。そしたら、みんなでまたピクニックに行こうよ…」
「……ちがうの!!ミアはね!ミアはね…っ、またみんなでピクニックしたいの!ミアとアミ姉ちゃん、ママっ、パパ!この4人で、走って笑って、サンドイッチ食べてまた遊んで……ミアはこれをしたいだけなのっ!」
ミアは、母の弱く、拙い声に泣きそうになりながら必死に訴えた。
「……っ………でもっ……」
「おねがいしますっ!!」
「お願いします…!!」
「……わかったわ…。ちゃんと準備してから行きなさい。だけどお母さんから絶対守って欲しいおねがいが1つあります。それは、生きて帰ってくること、です。」
母はかなりの葛藤を抱えながらも、彼女らの熱意に負け、生きて帰ってくることを条件に許可をおろした。しかし、不幸なことにこのセオリー通りにいけば、この願いはすぐに潰えてしまう。ブラン、いや洋一にはそれが見えていた。
彼女らが準備を進めている間、陰でブランはずっと考えていた。
(このままでは彼女らはやられてしまう。やはり僕が助けに出るべきか。しかし、僕が助けに入ったとしてもそれが本当に助けになるのか?)
ブランが考えているうちにも彼女らは着々と準備を進めていた。
そして数十分後……
「よし、準備もできたし、行こう!」
「…行ってきます。お母様。」
「……ちょっと待って!!お父さんに伝えて欲しいことがあるの。もし会えたら…もし会えたら、この手紙を渡してくれないかしら。」
「わかった!!ミアが持っておくね!」
「…貸しなさい。ミアが持つと碌なことが起こらないから。」
「なんでぇ!さっきミアのこと大人って言ってたじゃん!」
「子供じゃないとは言いましたけど、大人とは言っていませんよ。」
「そんなの同じじゃん!だからっ、だからぁ、これはミアが持つの!」
「ふふっ、2人は相変わらず変わらないわね。ほら、ミア、アミ姉ちゃんに渡しなさい。ミアは大人なんだから我慢できるわよね?」
「……はぁい。わかったよー。ミアは大人だからねぇ」
3人が茶番を交わしている間もブランは考えていた。だが、ほとんど考えはまとまっていた。出した答えは…
「…助けに行かなければ。」
「じゃあ、行ってくるねー!ママっ!」
「ミアは任せてください。」
「…いってらっしゃい!モンスターには気をつけてね!」
2人が元気よく家を飛び出したのを確認すると、こっそり、こっそりとドアに近づき、ドアを開けようとした。その時、
「ブ、ブラン?ブランよね?あなた何をしようとしているの?…ま、まさか姉妹たちに何かしようとしているの!?そんなことさせ……ぅ、ぅぅ……!!」
不幸にも、母に気づかれてしまったようだ。母は姉妹を守るために体を必死に動かそうとしているが、病気のせいでうまく動かせないようだった。そんな母にブラン、いや洋一はちゅうちょしつつも断言した。
「僕は!!ブランは!!絶対にミアとアミを守り抜きます!!父に会って手紙を渡します!!そして、みんなで生きて帰ります!!」
ブランはそう言い切った後、思い切りドアを開け、後ろを振り返らずに走っていった。
今日の感想
昨日本文を書こうとしたのですが、疲れすぎて寝落ちしてました(困)。なので今日めっちゃ早急に本文を書きました。一応誤字脱字などはセルフチェックするようにしていますが、あったらごめんなさい(/>_</)