Reincarnation
前回までのあらすじ
謎の病にかかった洋一は、病院のベッドで休んでいた。
昼食を食べている際、奇妙な手紙が何もないところから投げつけられてきたが、字が所々霞んでおり読めず、ゴミ箱に捨ててしまった。
その数時間後、午後2時30分、家族に惜しまれながら、洋一は死んだ。
ちゅんちゅん、ちゅんちゅん…
ガラガラガラガラ……バタン!
「わぁーーっ、いいてんき!こんなに天気がいいとピクニックしたくなってくるよね!」
「ピクニックは昨日2人で行ったでしょ?」
「違う、ミアは…」
「大丈夫、ミアが何を言いたいかもう分かっているわ。"4人で"ピクニックに行きたいのでしょう」
「うん…早く元気になって、昔みたいにいっしょに遊びたいよっ!遊びたいよね!アミねーちゃん?」
「それはもう昔の話でしょ?ミアは甘えすぎなのよ。この歳になってもあれ買いたい、これ買いたいだのいくら言えば気が済むのかしら。まあミアはまだ子供だから仕方ないのかな〜ぁ?」
「っっっぅぅー!!ミアはこどもじゃないし、欲しいって言ったのはアミねーちゃんもじゃない?」
「えっ?違うわ!私は自分で買うって言ったはずよ………」
ざわざわざわ……
パタパタパタ……
ここはクレア村。国外れの村で、住人は数十人程度。道中が険しく、外から人が来ることはあまりないから、住人全員で協力して村を運営している。
そんな住人の中にミア、アミと呼ばれる姉妹とブランという兄がいた。彼らの母は病気で寝たきりである。
彼らの父は元村長であったが、あることを契機に帝都へ向かってから戻ってきていない。
ミア、アミらは幼少期から非常に仲良しであり、家族でピクニックに行った時は2人でずっと走り回っていたという。
しかし、ブランという名の兄は家族から常に外れていた。特に捻くれた、不用心な性格であったため、姉妹からかなり嫌われていた。ピクニックも彼抜きで行っていた。
しかし、最近は静かだそうで……
んっ、んんっ……
あれ、僕は死んだのか?
あのとき急に全身に痛みが走って、それから魂が抜けたような脱力感があって……
そして今ここにいる。とりあえず目を開けよう。
むくっ
((ひっ))
目を開けると右に大人な女性、左に女の子が顔を引きずり、引き気味で立っていた。
体を起きあげた瞬間、幼いほうの女の子がもう1人の女性の背後にそっと隠れた。
「お、起きたのね、じゃあ…」
と言い放し、さっと振り返ると、
「お、おい待て。お前らミア、アミ、だよな?」
「う、うん。そうだけど…」
彼女らは困り気味に答えた。
「ならば僕は…」
洋一はベッドの横にあった鏡を見た。
「薄青色のボサボサ髪、目。そんでこの服……ブランか?」
洋一は髪を触ったり、顔を触ったり、少し動いてみたりしていた。間違いなく彼は洋一ではなく「ブラン」であった。
「…ねぇ、アミねえちゃん。この人気持ち悪い。」
「しっ!!事実でもここで言わないで。」
ミアとアミがコソコソと話しているのをみて洋一、いやブランは何かを察した。
(確かこの2人とブランはかなり仲が悪かったのを記憶している。このままこのキャラで行くか?いや、このままだと確か……)
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ここでひとつ。なぜ洋一は一目見て彼女らの名前、自分自身の名前、そして関係性などがわかったのか。結論から言ってしまうと、勘のいい人なら気づいているだろうが、この小説はまさに、
洋一が書いていた小説
であったのだ。
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「ミア、アミ。一緒に行こう。父探しの旅へ。」
「……やだ。こないで。」
「2人で十分よ。ブランは休んでなさい。」
そりゃ当然の反応か、とブランは呆れ顔をした。
(どうするべきか、このまま行かせたらやられる。だからといって勝手についていくか?うーーむ……)
ブランが考えているうちに2人はどこかへ行ってしまった。
(このままではいけまい。やはり後ろからついていくか。)
そう決心すると、ベットからそっと飛び出した。
2日に1話、13時40分ぐらいに投稿することに決めました!特別なことがない限り、続けていこうと思います。
今日の感想
なぜ13時40分というビミョーな時間に投稿しているかというと、私が今いるカナダの時間でいうと13時40分は23時40分なんですね。寝る前にいつも投稿しているわけです。