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エッセイ

ベランダから見えるプールの思い出

作者: 歌池 聡


※『第6回なろうラジオ大賞』応募作品です。使用キーワードは『ベランダ』『プール』。



 大阪に引っ越してきて最初に住んだ団地の目の前には、巨大な民営のプールがありました。


 もう〇十年も昔ですが、当時はまだ珍しかったウォータースライダーなどもあって、夏場は大変な賑わいでした。

 笑い声などの声も(うるさ)かったんですが、何より迷惑だったのが大音量のBGM!

 しかも、誰の趣味なのか、特定の何曲かがヘビロテでしょっちゅう流れているという──。


 よく覚えているのはE(アース・)W(ウィンド)F(ファイア)の『宇宙のファンタジー』と、ビリー・ジョエルの『ストレンジャー』。

 前者はともかく、後者は寂しげなイントロといい、歌詞の意味といい、どう考えても夏のプールのBGM向けじゃないですよねぇ。あれ、何でだったんだろ。






 当然、我が家のベランダからはプールの全容が一望できるわけですが、『女の子の水着姿が見放題だぜっ!』というわけにもいきません。

 小学校高学年から中学生くらいだと、性には目覚めつつも周りにはそれを絶対に知られたくないお年頃です。もし、調子に乗って双眼鏡でガン見しているところをクラスメイトに見られでもしたら──もう地獄ですね。


 そういうわけで、夏場はあまりベランダに出ないようにしてました。






 ところで、そのプールでは年に数回、芸能人が来てステージが開催されることがありました。

 けっこうな売れっ子アイドルが来て、水着で(!)歌ったりもするんですが──そういう日には、必ず我が家に来客が押し寄せます。


 ピンポーン♪ 『歌池くーん(仮名)、遊びに来たでー!』


 ──いや、君たち誰? 顔は見たことあるけどクラスも違うし、しゃべったことすらないよね?


『まあまあ、ええやん。ベランダに入れてーな』


 まあ、そうなることは、同じ棟に住む同級生に前もって聞いてたんですけどね。

 その日だけ高くなる入場料をケチって、この団地から双眼鏡でステージを見ようというわけです。


 で、ステージが終わるとあっという間に帰っていきます。結局誰だったのかもわからず終いだったりして。


 初めてこの襲来を経験した時、こう思いました。


『大阪人がずうずうしいって、ホントだったんだな』






 やがてこの襲来にも慣れて、顔なじみも出来て楽しめるようにはなりました。

 でもこの連中、なぜか男性芸能人の時にも来るんですよね。


『とりあえず生で芸能人が見られるなら何でもいいのかな?』なんて思ってましたが、そのうちに気づきました。


 ──君たち、男性芸能人のステージは口実で、双眼鏡の先はお姉さんたちの水着姿に向いてるよね?

 

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― 新着の感想 ―
あら〜(*´艸`*)
大音量BGMは大変ですね!! 「誰?」とわからないままにベランダに通してあげる大らかさにほっこり(*´ω`*)
プールが近くにあると、賑やかではあるでしょうがうるさくもあるでしょうね。 そして男の子は…やはりそれが目当てでしょうね(笑)
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