友だちになったライオンといのしし
これは私のこどもが書いた物語です。あまりにも可愛らしかったので、少しだけ加筆して、こちらに代理で投稿します。
どんなに敵対していた相手でも、自分達が窮地にたたされた時、協力しあえば、その窮地を脱することができる。そうして結ばれた友情は堅いもの。
あるあさ、ライオンはひがしから、いのししはにしから、たべものをさがしていた。
ちょうどおひるに、にひきはであった。
「こんにちは」
いのししがあいさつをした。
「えさがきた」
はらぺこのライオンがいった。
にひきはにらみあい、けんかをはじめた。
ライオンのつめが、いのししのかおをひっかき、いのししのきばがライオンののどをねらいます。上になったり下になったりしながら、たたかいつづけた。
けれど、なかなかしょうぶがつきません。
にひきはパッととびはなれて、ひといきつきました。
「さあ、こい。こんどこそ、しょうぶをつけてやる」
ひとやすみして、げんきをとりもどしたいのししが、いきおいよくたちあがると、
「ちょっとまて」と、ライオンがいった。
「なんだ。こうさんするのか?」
「そうじゃない。まわりをみてみろ!」
そういわれて、いのししがまわりをみてみると、おどろいたことに、たくさんのハゲタカが、にひきのまわりをとりまいていたではありませんか。
ハゲタカは、しんだどうぶつのにくをたべるとりで、ライオンかいのししか、さきにたおれたほうをたべてやろうとまちかまえていたのです。
「おれたち、このままでいいのか?」
ライオンがすこしだけくびをかしげた。
「そ、そ、そうだな」
いのししはチラリと、ハゲタカのするどい目とつめをみた。
にひきは、たたかうふりをして、はなしあった。
いのししがライオンのみみにささやく。
「ぼくをたおしても、きみはたべられず、やつらがぼくをたべ、きずついたきみもたべようと、どこまでもおいかけるだろうね」
それをきいたライオンがいのししにコソコソといった。
「おれたち、にひきともたべられてしまうな・・・」
ハゲタカたちはのんびりと、ふたりのけっちゃくがつくのをまっている。
「いいことをおもいついた!いのししくん、そのきばでハゲタカをおっぱらってくれ。そうしたら、おれがきみをせなかにのせて、ぜんそくりょくではしりぬけるよ」
ライオンがいのししに、そうもちかけた。
にひきのきもちは、ひとつになった。
はなしあったとおりに、いのししがきばをふりかざしてさわぎまわり、ハゲタカがそらたかくまいあがったところで、ライオンはイノシシをのせてはしりだした。
ライオンのはやいこと、はやいこと。ちかくのもりまで、ひとっとび。
さすがに、もりのなかまでは、ハゲタカたちもおってきません。
にひきはきゅうに、むねがくるしくなりました。
「ハア、ハア、ハア・・・」
じかんがたつと、むねのこどうもおちついてきた。
そこで、いのししは、ライオンがこちらをじっとみつめていることにきがついた。
「ま・・・まさか・・・ぼくをたべようなんて、いわないだろうね?」
いのししがいうと、
「いわないよ。もう、きみはともだちだから」
ライオンがふさふさしたたてがみをふりふり、えがおでこたえた。
「うん。じゃあ、いっしょにたべものをさがしにこうか」
いのししがブフフとはなをならした。
それから、にひきはおたがいたすけあいながら、いつまでもしあわせにくらしました。
おわり